はじめに
調査の目的
本調査は「オウンドメディア プラットフォーム」に関する情報を分かりやすく整理することを目的とします。オウンドメディアの定義や特徴、タイプと形式、プラットフォーム（CMS）の役割や機能、運用のメリットなどを体系的に解説します。企業が構築・運用する際の基礎知識や判断材料を提供します。
本調査の範囲
- オウンドメディアの基本概念とメリット
- 代表的なタイプ（企業ブログ、ブランドサイト、会員サイトなど）
- プラットフォーム（CMS）が担う機能と選定基準
- 運用時の注意点や簡単なチェックポイント
想定読者
マーケティング担当者、コンテンツ担当者、ウェブ担当者、経営者など、オウンドメディアの導入や改善を検討している方を想定しています。小規模事業者や非専門家の方にも役立つよう、専門用語は最小限にし具体例で補足します。
この記事の使い方
本書は全4章で構成します。まず本章で目的と範囲を確認し、第2章以降で具体的な考え方や選定基準、運用のポイントを順に学べます。実務に使えるチェックリストや比較の視点も後章で紹介しますので、段階的に読み進めてください。
オウンドメディアとは？基本の理解
概要
オウンドメディアは、企業やブランドが自ら所有・管理・運営する情報発信の場を指します。代表的なものにブログ、ブランドサイト、専門情報をまとめたWebメディアなどがあります。特徴は情報が自社の資産として蓄積される点です。
最大の特徴
長期的に記事やコンテンツが蓄積されることで、検索やSNS経由で継続的に見込み客と接点を持てます。たとえば役立つ記事1本が時間をかけて問い合わせや購入につながることがあります。
公式サイトとの違い
公式サイト（コーポレートサイト）は企業情報や採用、IRなどの公開が主目的です。オウンドメディアはマーケティングを主眼に置き、読者の課題解決や興味に応える内容で接点を増やします。具体例として、商品説明だけでなく使い方のハウツーや事例紹介を中心に発信します。
主なメリット
- 見込み客との接点が増える
- ブランドの信頼を育てやすい
- コンテンツが資産として残る
始め方の基本
目的とターゲット（ペルソナ）を決め、小さく始めて継続することが大切です。定期的に役立つ情報を出し、アクセスや問い合わせの変化を見ながら改善していくと良いです。
オウンドメディアのタイプと形式
オウンドメディアの運用形式は大きく「一体型」と「独立型」に分かれます。違いを具体例とともに分かりやすく説明します。
一体型（コーポレートサイトの一部）
- 概要：会社の公式サイト内にブログやニュース、採用情報を設置します。
- 例：会社サイトの「お知らせ」「採用ブログ」「導入事例」ページ。
- メリット：ブランドの一貫性が保てて、ドメインの評価を活かせます。運用や管理の負担が少ない点も利点です。
- 注意点：デザインや機能の自由度が低く、特定のキャンペーン向けには不向きな場合があります。
独立型（別サイト・マイクロサイト）
- 概要：製品専用サイトやキャンペーンサイト、コミュニティサイトなどを別ドメインやサブドメインで運用します。
- 例：新商品専用のランディングページ、顧客向けのフォーラム。
- メリット：ターゲットに合わせた設計やデザインができ、コンバージョン改善に取り組みやすいです。
- 注意点：立ち上げコストや集客の手間が増えます。SEOで成果を出すには時間が必要です。
PESOモデルと連携する役割
PESOモデル（Paid・Earned・Shared・Owned）では、オウンドは情報の“核”になります。具体例：
– Owned：商品の詳しい記事や導入事例を掲載。
– Shared：SNSで記事を拡散して導線を作る。
– Earned：プレスやメディア掲載を誘導して信頼を高める。
– Paid：広告で記事へ誘導し、短期的に流入を増やす。
運用形式は目的とリソースで決めます。まず小さく始めて、成果に応じて一体化するか拡張するかを判断するとよいでしょう。
プラットフォーム（CMS）の役割と機能
はじめに
プラットフォーム（CMS）はオウンドメディアの中枢です。記事作成から公開、権限管理、分析まで一元管理し、運用を効率化します。ここでは役割と主な機能、選び方のポイントを分かりやすく説明します。
CMSの役割
- コンテンツ作成・編集を簡単にする
- 公開スケジュールやバージョン管理を行う
- ユーザー権限や承認フローを管理する
- デザイン（テンプレート）とSEOの基盤を提供する
種類と特徴（具体例付き）
- オープンソース型：WordPressなど。導入費用を抑え、拡張プラグインが豊富です。自社で運用・保守する必要があります。
- 独自開発・商用型：企業ごとに最適化した機能を作れます。初期費用と開発期間がかかりますが、独自要件に対応できます。
- SaaS／クラウド型：ソフトとサーバーを一体で提供。すぐ使え、運用負担が小さい点が利点です。
主な機能（具体的に）
- 編集・公開：WYSIWYGやブロックエディタで直感的に制作できます。
- テンプレート管理：デザインを保ちつつページ量産が可能です。
- 権限・ワークフロー：編集者・承認者の役割を明確にします。
- SEO・メタ管理：タイトルやディスクリプションの設定、構造化データ対応。
- 分析・連携：アクセス解析や外部ツールとの連携が容易です。
- セキュリティ：アクセス制御やバックアップ機能が重要です。
選び方のポイント
- 目的と必要機能を明確にする（情報発信頻度、マルチメディア対応など）
- 技術力と運用体制を考慮する（内製か外注か）
- 予算と長期コストを比較する（運用費、拡張費用）
- 将来の拡張性を確認する（多言語対応、APIでの連携）
導入時の注意点
- 既存データの移行計画を立てる
- 定期バックアップと更新方針を決める
- 性能（表示速度）を意識する
- 法令や個人情報保護の対応を確認する
短いケース例
- 小規模ブログ：初期コストを抑えたいならオープンソースやSaaSがおすすめです。
- 企業ポータル：細かな権限や独自機能が必要なら独自開発や商用CMSを検討してください。
導入は目的により最適解が変わります。まずは運用体制と必要機能を整理してから比較検討してください。
