はじめに
概要
本資料は、国産の商用CMSであるMovable Type(ムーバブルタイプ)について、基本情報や主な特徴、機能、導入形態をわかりやすくまとめたものです。Movable Typeは静的CMSとしての高速表示や、複数サイト管理、セキュリティの高さ、カスタマイズ性が特長です。クラウド版とパッケージ版の二つの導入形態があり、用途に応じて選べます。
本資料の目的
読者がMovable Typeの概要を短時間で理解し、自社のサイト運用に適しているか判断できるようにすることを目的とします。用語は可能な限り平易にし、具体例で補足します。
想定読者
・企業のWeb担当者やサイト制作を検討している方
・CMSの選定に関わる管理者
・Movable Typeを初めて調べる開発者やディレクター
本資料の構成
第2章でMovable Typeの全体像を説明し、第3章以降で特徴・機能・導入形態を詳しく解説します。まずは全体のイメージをつかんでいただければ幸いです。
Movable Type(ムーバブルタイプ)とは?
概要
Movable Type(ムーバブルタイプ)は、シックス・アパート株式会社が提供する国産のCMS(コンテンツ管理システム)です。CMSとは、文章や画像を専門知識がなくても管理・公開できる仕組みのことです。Movable Typeは商用パッケージ型の製品で、企業サイトやオウンドメディア、会員制サイトなど幅広い用途で使われています。
主なポイント
- 国産でサポート体制が整っているため、導入や保守で安心感があります。
- Perlで開発されており、堅牢性と高速なページ生成が強みです。アクセスが多い大規模サイトにも耐えます。
- セキュリティや権限管理が充実しており、会員制サイトや企業の公式サイト向けに適しています。
利用シーンの具体例
- 企業のコーポレートサイト:公開コンテンツと管理者機能を明確に分けて運用できます。
- オウンドメディア:記事作成から公開までのワークフローを整え、複数人での編集がしやすいです。
- 会員制サイト:会員向けコンテンツの閲覧制限やログイン管理が行えます。
導入時のイメージ
Movable Typeは商用製品のため、導入時にライセンスやサポート契約を結ぶケースが多いです。設定やデザインをカスタマイズして、企業の運用フローに合わせて使うことができます。
Movable Typeの5つの主な特徴
1. 静的生成による高速表示と安定性
Movable Typeはページを静的に生成できます。表示が速く、アクセスが集中してもサーバー負荷を抑えられます。ニュースやコラムなど閲覧中心のサイトで、読み込みが速くなる利点が分かりやすいです。また攻撃対象になりにくく、運営の安定感が高まります。
2. 複数サイトの一元管理
1つの管理画面で複数のサイトを運用できます。会社サイトと支店サイト、ブランドごとのサイトをまとめて管理でき、テンプレートやユーザー権限を共有して効率化できます。更新作業の手間を減らしたい場合に便利です。
3. 低コストなライセンス
導入コストが抑えられるため、小規模〜中規模のサイトでも導入しやすいです。初期費用や運用費を抑えて、必要な機能だけを使い始められます。
4. ソース非公開で堅牢なセキュリティ
ソースコードを公開しない設計により、外部からの解析や悪用のリスクを低減します。大企業や公的機関で採用されるケースが多く、信頼性を重視するサイトに向いています。
5. 高いカスタマイズ性と拡張性
テンプレート編集やプラグイン開発、API連携で機能を拡張できます。独自デザインや業務システムとの連携も柔軟に行え、将来の要件変更にも対応しやすいです。
Movable Typeの主な機能
テンプレートタグ(MTタグ)
Movable Typeは独自のテンプレートタグ(MTタグ)を用意しています。HTMLの中にMTタグを入れるだけで、記事の一覧表示やタイトル、投稿日などを自動で差し込みます。たとえば「ブログタイトル」をテンプレートに入れておけば、管理画面で変更するだけでサイト全体に反映されます。プログラミング知識がなくても運用しやすい点が魅力です。
ブロック機能(レイアウトの自由度)
ヘッダーやフッター、サイドバーなどをブロック単位で作成・再利用できます。共通部分をまとめて編集できるため、ページごとの手直しを減らせます。デザインを部分ごとに差し替える例も簡単にできます。
画像・メディア管理
画像のアップロードやサイズ調整、サムネイル生成が可能です。投稿画面から直接画像を選び、表示サイズを指定して使えます。素材管理がしやすく、更新作業の手間を軽減します。
スマートフォン・タブレット対応
管理画面はスマートフォンやタブレットから操作できます。外出先での記事更新やコメント対応が必要なときに便利です。
フォーム機能(Premium版)
問い合わせフォームやアンケートを簡単に作成できます。Premium版ではフォームの項目設定やデータ保存が可能で、外部ツールを使わずに運用できます。
クラウド版の利点と料金
クラウド版は管理画面の表示や再構築(サイト更新)の速度が速く、快適に運用できます。ソフトウェア版と比べ再構築が約1.6倍速い点が特徴です。複数のプランがあり、月額5,000円から利用できるため、小規模サイトでも導入しやすいです。
Movable Typeの導入形態
パッケージ版(自社サーバー)
パッケージ版は自社のサーバーにソフトをインストールして運用します。サーバーの設定やバックアップ、セキュリティ対応を自社で行うため自由度が高いです。たとえば、社内だけで閲覧するサイトや独自の連携が必要なシステムに向きます。一方で運用スタッフや初期費用が必要になります。
クラウド版(SaaS)
クラウド版はプロバイダーがサーバーを管理するため、サーバー運用の手間が不要です。すぐに使い始められ、定期的なソフト更新や監視も含まれることが多いです。費用は月額制が一般的で、スモールスタートしたい場合に適しています。ただしサーバーの細かな設定や特殊な構成は制限されることがあります。
MovableType.net(Webサービス型CMS)
MovableType.netはWebサービス型のCMSで、再構築やサーバー管理が不要です。標準テーマを自分でカスタマイズしてサイトを作れます。初心者でも扱いやすく、デザインの差し替えや記事投稿に集中できます。大規模な個別拡張が必要な場合は他の形態を検討してください。
選び方のポイント
・機密性やカスタマイズ性を重視するならパッケージ版
・運用負荷を減らして早く始めたいならクラウド版やMovableType.net
・コストは初期投資と運用コストを比較して判断します
運用時の注意
バックアップとアクセス管理は必ず行ってください。外部連携や独自機能を後から追加する場合は、導入前に拡張性を確認しておくと安心です。












