はじめに
背景
本ドキュメントは、クラウドCMS「dino」に関する調査結果を分かりやすくまとめたものです。dinoは株式会社リボルバーが2015年に提供を開始した企業向けCMSで、2025年10月に大規模なリブランディングを行い「B2B CLOUD CMS」として再定義されました。
調査の目的
dinoの歴史と今回のリブランディングでの変更点(ブランド、料金、セキュリティ等)を整理し、導入検討や既存利用者の理解を助けることを目的としています。具体例を交えて、導入効果や運用上の留意点を提示します。
本書の構成と読み方
全10章で構成し、第2章以降で基本情報、戦略、機能、適用範囲、経営のビジョンなどを順に解説します。本章は全体像を把握するための序章です。各章は独立して読めますので、関心の高い項目からお読みください。
対象読者
中堅〜大企業の情報発信担当者、システム導入責任者、パートナー企業を想定しています。技術的な詳細は最小限に留め、実務で役立つ視点を重視して記載します。
dinoの基本情報と歴史
概要
株式会社リボルバーが提供するクラウドCMS「dino」は、2015年に自社開発として提供を開始した企業向けのコンテンツ管理システムです。従来はオウンドメディア向けのコンテンツマーケティングスイートとして位置づけられていましたが、2025年10月1日の大規模リブランディングにより、企業サイト全般を支えるクラウドCMSへと再定義されました。
開発の経緯と年表
- 2015年:初版リリース。編集機能と公開フローに注力し、オウンドメディア運用を想定した設計で提供開始しました。
- 2017–2020年:SEO支援や分析機能、テンプレート追加で中・大規模メディアにも対応しました。
- 2021–2024年:多人数でのワークフロー、権限管理、レスポンシブ対応を強化しました。
- 2025年10月1日:リブランディングを実施し、企業サイト全体を支えるプラットフォームへと転換しました。
用途の変遷と具体例
初期は記事作成と公開の効率化を重視し、編集者とマーケターが中心に使っていました。たとえば、週次で複数記事を公開するオウンドメディア運用に向いていました。近年は企業のコーポレートサイトや採用ページ、製品紹介ページなど、サイト全体を統合して管理する用途が増えています。
2025年リブランディング後の位置づけ
リブランディング後は、テンプレートや多言語対応、複数サイト管理、API連携などを強化し、より幅広い企業ニーズに応える設計になりました。これにより、コンテンツマーケティングだけでなく、企業サイト運用の中核として採用されるケースが増えています。
リブランディングの背景と戦略
背景
企業Webサイトは採用、営業、ブランディング、IRなど多様な役割を担います。dinoは160社以上の導入実績を通じて、顧客が求めるのは単なる“見た目”ではなく「発信力」「運用性」「信頼性」「安定性」の4点であると確認しました。既存ブランドではこれらを十分に伝えきれない場面が増えたため、リブランディングを決断しました。
戦略の柱
- 発信力の強化:情報発信を分かりやすくするテンプレートと編集機能を整備します。たとえば採用情報やIR資料を簡単に更新できる設計です。
- 運用性の向上:非技術者でも運用しやすいUIと、更新フローの自動化を進めます。社内担当者が短時間で作業できるようにします。
- 信頼性の提示:導入事例や運用実績を前面に出し、導入効果を具体的に示します。サポート体制も明文化します。
- 安定性の担保:性能と冗長性を改善し、ダウンタイムを最小化します。法令やセキュリティ基準への準拠も明確にします。
実施ステップ
- 顧客ヒアリングで課題を整理
- 新しいブランドメッセージとビジュアルを策定
- プロダクト改良と料金見直しを並行
- パイロット導入で検証後、本格展開
導入後の見通し
リブランディングにより、企業Webサイトが持つ多様な役割に対して、より実務的で信頼できる選択肢としてdinoを提示していきます。
ブランドアイデンティティの一新
概要
新ブランドキャッチを「B2B CLOUD CMS」に定め、ブランドカラーを従来の赤からバーミリオンレッドへ変更しました。信頼感と親しみやすさを両立させ、業種や事業領域を問わず継続的な情報発信を重視する企業に向けた選択肢を目指します。
ビジュアルの要点
- カラー:バーミリオンレッドをコアカラーに設定し、アクセントにグレーやホワイトを併用します。明るさを抑えた赤は堅実さを感じさせ、視認性も確保します。
- ロゴ:シンプルでモダンなマークと組名を組み合わせ、クラウドと連続性を表現する線や波形を取り入れます。
- タイポグラフィ:可読性の高いゴシック系フォントを採用し、見出しと本文で太さを変えて情報の階層を明確にします。
メッセージとトーン
ブランドメッセージは「継続的な情報発信を支える基盤」で、言葉遣いは親しみやすく丁寧です。専門用語は最小限にし、導入効果や運用のしやすさを具体例で伝えます。
運用ガイドの例
- 名刺・資料:ロゴのクリアスペースや最小サイズを定めます。
- ウェブ:バーミリオンレッドを主要CTAに使い、アクセントカラーは抑制します。
- プレゼン:スライドテンプレートを用意し、視覚的一貫性を保ちます。
期待される効果
視認性と親近感の向上により、意思決定者への訴求力が高まります。多様な業種でも受け入れやすいデザインにすることで、導入検討の障壁を下げます。
新料金プランと柔軟な設計
概要
取締役COOの西宏司氏は、新料金プランをブランド戦略の重要な選択と位置づけています。企業の成長段階や目的に合わせて選べる設計で、事業活動を支える基盤としての価値を高めます。
プラン設計の基本方針
- シンプルさを重視:用語を絞り、誰でも分かる料金体系にしてあります。例)ライト、スタンダード、エンタープライズ。
- 柔軟性を確保:固定料金と従量課金を組み合わせ、必要に応じて上限やオプションを追加できます。
成長フェーズ別の活用例
- スタートアップ:低コストのライトプランで試験導入し、利用状況に応じて段階的に移行できます。
- 事業拡大期:スケール対応のスタンダードで、トラフィック増加に伴う追加オプションを即時適用します。
- 大企業:カスタムのエンタープライズでSLA(稼働保証)や専用サポートを合わせて提供します。
柔軟性を支える仕組み
トライアル期間、月単位の契約変更、APIや管理画面からのオンデマンド設定を用意しています。これにより、短期キャンペーンや季節変動にも素早く対応できます。
導入時のメリットと留意点
メリットはコスト最適化と運用負担の軽減です。留意点は、利用状況の可視化を怠ると最適プランの選定が遅れる点です。ダッシュボードで定期的に指標を確認することを推奨します。
セキュリティ基盤の強化
ISMS認証の維持(2025年)
2025年、dinoはISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証を維持しました。これは継続的なリスク評価や改善活動が実行されている証拠です。企業サイト向けサービスとしての信頼性を裏付けます。
利用規約の全面改定と情報セキュリティ条項
利用規約を全面改定し、情報の取扱いや責任範囲、データ保持方針を明確化しました。具体例として、データの暗号化や第三者提供の条件、事故発生時の通知手順を条項に盛り込みました。
技術的対策と運用面の強化
通信はTLSで暗号化し、保存データも暗号化して保護します。アクセス制御は最小権限原則で設計し、多要素認証を提供します。脆弱性は定期的にスキャンし、発見時は迅速に対応します。ログは保管期間を定めて監査可能にしています。
継続的な監査と教育
外部監査と内部監査を組み合わせ、改善項目を明確にします。社員向けに定期的なセキュリティ教育を実施し、人的リスクを低減します。
導入企業への安心ポイント
これらの取り組みにより、dinoは企業サイト向けクラウドCMSとして安心して採用できる基盤を提供します。導入時には技術的な設定や運用ルールの相談を受け付けます。
dinoの主な機能と特徴
概要
dinoはサーバー準備が不要で、短時間でWebサイトを立ち上げられます。シンプルなテキストエディタで直感的に記事やページを作成でき、初心者でも迷わず使えます。
主な機能
- 直感的エディタ
- テキスト中心の編集画面で装飾や画像挿入が簡単です。例:文章を書いてドラッグで画像を配置できます。
- スピード構築
- テンプレート選択後すぐ公開可能です。数分でページを公開できます。
- MA(マーケティングオートメーション)機能
- 訪問者の行動に応じた自動メール配信やコンバージョン計測が可能です。例:資料ダウンロード後に自動でフォローメールを送ります。
- ソーシャル連携と外部広告
- SNSへの自動投稿や広告タグの挿入で集客を支援します。
- セキュリティと運用負担の軽減
- サーバー運用が不要なため、更新やバックアップの負担が減ります。
- 柔軟な拡張性
- 必要に応じて外部ツールと連携できます。
利用の流れ
- テンプレート選択
- コンテンツ作成(エディタで編集)
- 公開とSNS連携
- MAで収益化・分析
以上がdinoの主要な機能と特徴です。
適用範囲と制限事項
概要
dinoはオウンドメディアや企業サイトの情報発信に最適化しています。コンテンツ制作と配信をシンプルにし、少人数の運用や編集フローの効率化に向いています。
適した用途
- 企業ブログ、コーポレートサイト、製品紹介ページ
- キャンペーン用のランディングページや特集記事
- 社内向けのナレッジ共有(非ミッションクリティカル)
具体例:1日に数本〜数十本の記事更新を想定する中小〜中堅の広報チームに向きます。
不向きなケース
- 1日に数百ページを更新するような大規模運用
- 数千点単位の商品在庫をリアルタイムで表示する大規模EC
- 複雑な多テナント構成や高度な独自認証が必須の環境
しかし、このような場合は専用のエンタープライズCMSやCDN連携を検討してください。
選定時のポイント
- 更新頻度とページ数を把握する
- トラフィックと応答速度の要件を確認する
- 外部システム連携の必要性を明確にする
運用での工夫
- 静的キャッシュを活用して応答性能を補強する
- 画像やアセットは別サービスで配信する
- 必要に応じて部分的に他CMSを併用する
これらを検討すると、dinoの強みを活かしつつ限界を補えます。
代表取締役CEOのビジョン
松本庄司氏のメッセージ
代表取締役CEO兼CTOの松本庄司氏は、企業Webサイトを「採用・営業・IRなど事業の中核を担う存在」と位置づけています。長年の運用で得た知見をもとに、CMSには信頼性と競争力を同時に提供する役割が求められると述べています。
Webサイトが果たす具体的な役割
Webサイトは単なる情報発信の場ではありません。採用ページでは企業文化を伝え、良い人材との接点をつくります。製品ページは営業担当の補完となり、IRページは投資家との透明な対話を支えます。こうした場面でCMSの使い勝手が成果に直結します。
CMSに求める条件
松本氏は、CMSに対して「信頼性」「更新のしやすさ」「セキュリティ」「拡張性」を重視しています。例えば、数分で情報を差し替えられることや、アクセス増加時にも安定して動くことが挙げられます。
dinoの今後の方針
dinoは過去10年以上で培った技術を基盤に、次の10年にも通用するCMSを提供します。顧客の声を取り入れ、使いやすさと安全性を両立させる改良を続けます。企業の成長に寄り添うパートナーであり続けることを目指しています。
総括
調査結果の要点
本調査は、株式会社リボルバーのクラウドCMS「dino」が2025年10月に大規模リブランディングを実施し、企業サイト全般を支える「B2B CLOUD CMS」へ進化したことを示します。ブランド刷新、新料金プラン、セキュリティ強化により、中堅から大企業の継続的な情報発信ニーズに応える体制を整えています。
なぜ重要か
dinoは単なる見た目の変更に留まらず、運用面・コスト面・安全面での改善を図りました。たとえば、社内ポータルや製品情報サイト、採用ページなどの長期運用に向いた機能とサポートを提供します。これにより、企業は情報更新の効率化とリスク低減の両立が期待できます。
導入を検討する際のポイント
- 移行テストを行い、既存コンテンツの互換性を確認してください。
- セキュリティ要件(認証・アクセス制御・バックアップ)を自社基準と照らし合わせてください。
- サポート体制やSLA、カスタマイズの可否を事前に確認してください。
今後の期待
リブランディングで得た基盤を活かし、さらに機能拡張やパートナー連携が進むことが期待されます。継続的なロードマップ確認と段階的な導入で、安定した情報発信基盤を構築できるでしょう。












