はじめに
目的
本資料は、オウンドメディア運用代行にかかる費用の全体像をわかりやすく示すことを目的としています。費用の相場や工程別の内訳、代行プランの違い、年間の試算例、そして費用対効果の見方まで、実務で判断しやすい情報を提供します。
対象読者
マーケティング担当者、経営者、小規模事業者、あるいは外注検討中のご担当者など、オウンドメディア運用に関わる幅広い方を想定しています。専門知識が少なくても理解できるよう具体例を交えて説明します。
本資料で扱う主なポイント
- 依頼範囲によって費用が大きく変わる点(例:記事制作の本数、SEO対策、デザイン、広告運用など)
- 代行プランの種類と特徴(最低限の運用からフルサポートまで)
- 年間費用の試算方法と典型的なパターン
- 費用対効果(ROI)の見方と判断基準
- 外注と内製のバランスや注意点(人材採用の難しさを踏まえた実務的な助言)
本資料の使い方
各章を順に読むと、初めての方でも費用の見積りや外注判断に進めます。すでに気になる章があれば、その章だけ読んでも実務に役立つよう構成しています。必要に応じて、具体的な想定条件での試算や比較表を後の章で参照してください。
オウンドメディア運用代行の費用相場と工程別費用内訳
費用の全体相場
オウンドメディア運用代行は業務範囲やメディア規模で幅がありますが、月額で20〜50万円が一般的な相場です。小規模な更新中心の運用から、戦略設計・制作まで含む本格運用で金額が上がります。
工程別の費用内訳(目安)
- メディア構築費用:30〜300万円
- CMS導入やデザイン、テンプレ整備。テンプレのみなら低め、フルカスタムだと高めになります。
- 戦略設計費用:50〜300万円
- ペルソナ、編集方針、SEO設計。事前にしっかり作るほど成果が出やすいです。
- 記事作成・リライト:1記事あたり5万〜10万円
- 専門性やボリュームで変動。簡易記事はもっと安くなる場合があります。
- 記事入稿(CMS操作):数千円〜5万円/記事
- レイアウト調整や画像挿入、メタ設定を含みます。
- ディレクション費用:月5万〜20万円
- 編集・進行管理、クオリティチェックを担当します。
- SEOコンサルティング:月10万〜50万円
- キーワード設計や競合分析、改善提案を定期実施します。
費用が変わる主な要因
- 依頼範囲(制作のみ/設計含む/運用全般)
- 記事本数と品質要件
- 外部ツールや広告運用の有無
- 成果保証の有無や短期の改善要求
予算立てと交渉のポイント
- 必須業務とオプションを分けて見積りを取る
- 初期構築は一度かけておくと長期的に安くなる場合が多い
- 月次のKPIで段階的に拡張する契約にするとリスクを抑えられます
- 見積りは複数社で比較し、具体的な成果物と工数を確認してください。
代行プランの分類と費用体系
概要
オウンドメディア運用代行は目的やリソースに応じて複数のプランに分かれます。費用は目的(リード獲得、ブランディング、採用など)と提供範囲で変わります。以下で主要なプランと費用目安、特徴をわかりやすく説明します。
主なプランと費用目安
-
基本運用プラン(月額30〜50万円)
記事作成、公開、簡易分析を中心に提供します。小〜中規模の更新に向きます。費用対効果を重視する企業に適しています。 -
戦略込み運用プラン(月額50〜80万円)
KPI設計、コンテンツ戦略、編集方針の立案を含みます。継続的にリードを伸ばしたい場合におすすめです。 -
フル代行プラン(月額80〜150万円)
戦略設計から制作、広告運用、改善まで一貫して代行します。社内リソースが少ない企業や大規模施策に適します。 -
戦略代行プラン(月額20万円〜)
戦略立案のみを外部委託する場合の費用帯です。実行は内製する企業向けです。 -
カスタムプラン
特殊な要件や成果保証、短期集中など個別見積もりになります。
比較のポイント
- 目標とKPI(リード数、CVR、流入数)
- 提供範囲(制作頻度、広告、SEO、改善PDCA)
- 契約期間とオンボーディング費用(初期設計費が別途発生することが多い)
選び方の目安
- 初めてで予算が限られる:基本運用から始め、成果に応じて戦略を追加します。
- 成果を短期間で出したい:戦略込みかフル代行を検討します。
格安プランの注意点
価格が安いと戦略設計や改善が手薄になり、長期的な費用対効果が悪化することがあります。費用だけでなく成果と体制を確認してください。
オプションでよくある項目
広告運用、ランディングページ制作、CRM連携、分析レポートの高度化など。必要に応じて見積もりを取り、優先順位を付けて選びます。
年間総費用の試算パターン
年間総費用は外注の範囲や目的により大きく変わります。ここでは代表的な3つのパターンを、前提と内訳、メリット・デメリット、向き不向きを含めて分かりやすく示します。
1) 確実性重視・短期回収型(年間約1,500万円)
前提:立ち上げ時に投資を集中し、広告や記事制作を手厚く外注
内訳:構築費 300万円 + 月間運用費 100万円(年間合計 300 + 100×12 = 1,500万円)
メリット:短期間でトラフィックや顧客を獲得しやすい。成果が出れば回収が早い
デメリット:初期投資が高く、投資対効果が出ないリスクもある
向き:市場競争が激しく、短期で結果を出したい場合
2) バランス重視型(年間約600万円)
前提:費用と効果のバランスを取り、内製と外注を組み合わせる
内訳:構築費 120万円 + 月間運用費 40万円(年間合計 120 + 40×12 = 600万円)
メリット:費用負担が抑えられ、中長期的に安定しやすい
デメリット:短期の大きな伸びは期待しにくい
向き:予算に制約があり、継続的に育てたい場合
3) 成果最大化型(年間約1,360万円)
前提:コンテンツ品質とSEO、分析を徹底して長期的な成果を追求
内訳:構築費 400万円 + 月間運用費 80万円(年間合計 400 + 80×12 = 1,360万円)
メリット:高品質な資産を作り、長期で安定した流入を見込める
デメリット:回収には時間がかかる場合がある
向き:ブランディングや継続的成長を重視する場合
選び方のポイント:目標(短期売上か長期資産か)、社内リソース、リスク許容度を明確にしてください。したがって、目標に合った外注範囲と予算配分を決めると効果的です。
費用対効果(ROI)の目安
概要
オウンドメディアやマーケティング代行への投資は、適切な戦略と継続的な実行で高い効果を期待できます。本章では、目安となる投資額と想定される成果、簡単な算出例、注意点をわかりやすく説明します。
前提と算出方法
ROIは一般に「(増分収益 − 投資額)÷ 投資額×100」で計算します。ここでは分かりやすく「増分収益÷投資額×100」として目安を示します。期間は通常6〜12カ月を想定します。成果は業種や競合、運用の質で変動します。
具体例(目安)
-
基本SEO対策:月額30〜50万円の投資で検索流入が約2倍、ROI目安200〜400%。
例)現状オーガニック収益が月100万円で、対策後に200万円に増加した場合、増分100万円÷投資40万円(月)=2.5(=250%) -
包括マーケティング支援:月額50〜80万円でリード獲得数が3〜5倍、ROI目安300〜600%。
例)月のリードからの収益が50万円→200万円(増分150万円)で投資60万円なら150÷60=2.5(=250%)
測定すべきKPI
- オーガニック流入・セッション
- リード数・フォーム送信数
- コンバージョン率(CVR)
- 顧客生涯価値(LTV)と獲得単価(CAC)
ROIを高めるための実務ポイント
- コンテンツの質を優先し、ターゲットに合わせる
- CVR改善(ランディング改善・導線設計)を並行する
- 技術的なSEO(表示速度・構造化データ)を整える
- 小さな実験で仮説検証を繰り返す
投資判断の目安
最低でも3〜6カ月の試用期間を設け、KPIのトレンドを確認してください。短期だけで判断せず、流入増に対するCVRやLTVを合わせて見れば投資の妥当性が判断しやすくなります。
※上記は一般的な目安です。業種や市場状況で変動しますので、個別診断をおすすめします。
設計から運営までの一貫代行と注意点
導入費用の目安
設計から運営まで一貫で依頼する相場は600万円〜が目安です。費用は制作するサイトのデザインの凝り具合や、初期記事数・取材の有無で上下します。例えばデザイン重視・取材ありなら高めに、テンプレート利用・短納期なら低めになります。
外注と内製の最適バランス
オウンドメディアの専門人材を社内で採用するのは難しく、採用コストも高くなりがちです。戦略設計と記事制作は外注し、運用(編集・更新・効果測定)は内製化するハイブリッドが現実的で効率的です。社内でPDCAを回せる体制をつくると改善が早まります。
低価格プランのリスク
月額30万円以下の格安代行は、戦略立案や品質管理が手薄になりがちです。結果として費用対効果が悪くなるケースが多いので、安さだけで選ばないよう注意してください。
契約時のチェックポイント
- 成果指標(PV、コンバージョン、流入チャネル)を明確にする
- 記事本数・納期・修正回数の範囲を定める
- 知的財産と公開前の権利関係を確認する
内製化(移管)を成功させる手順
- 運用マニュアルと編集ガイドを作る
- 外注側と一定期間並走してナレッジを移す
- 社内担当者に実務トレーニングを行う
- ツール・アクセス権を整備する
運用中の品質管理とKPI
定期的なコンテンツレビュー、編集会議、月次の数値検証を習慣化してください。短期の数値だけで判断せず、半年〜1年の中期視点で改善を続けることが重要です。











