はじめに
目的
本レポートは「cms 会社」という検索キーワードに関する調査結果をまとめています。企業がCMSを選ぶ際に必要な情報を分かりやすく整理し、導入検討の初期段階で参考にしていただくことを目的としています。
対象読者
経営者、マーケティング担当、情報システム担当、制作会社など、CMSの導入やベンダー選定に関わる方を想定しています。専門用語は最小限にし、実例を交えて説明します。
本レポートの構成
第2章：企業向けCMS市場の現状と主要サービス提供企業の徹底比較
第3章：国産CMS企業とその特徴
第4章：エンタープライズ向けCMS企業の最新動向
第5章：その他の主要CMS企業と市場特性
各章で、機能、価格帯、導入事例、強み・弱みをできるだけ具体的に整理します。
調査方法と利用上の注意
公開情報（公式サイト、資料、導入事例等）を基に整理しています。機能比較や市場シェアには公表値と推定を併用していますので、最終的な判断は各社の最新情報や見積もり、PoC（概念実証）を通じて行ってください。
企業向けCMS市場の現状と主要サービス提供企業の徹底比較
現状の概観
世界市場ではWordPressが圧倒的1位、続いてShopifyやWixが上位に位置します。一方、日本市場は特徴が異なり、Adobe Systemsが3位に入り、Wixは15位に下がっています。2025年度の日本シェアではWordPressが1位、Shopifyが2位、Adobeが3位で、JimdoやJustSystems、Color Me Shopなど国産サービスの存在感も強まっています。
主要サービスの比較（ポイント別）
- WordPress：柔軟性と拡張性が高く、プラグインで機能追加しやすい。低コストで始められ中小〜大規模まで対応しますが、運用・保守は必要です。
- Shopify：EC特化型で決済や物流連携が充実。立ち上げと運用がスピーディーで、サブスク型の料金体系です。
- Wix：直感的なサイト構築が強みで小規模サイト向け。日本市場ではシェアが下がり、企業利用は限定的です。
- Adobe Experience Manager：企業向けの統合マーケティング機能を持ち、大規模サイトや多言語・多拠点運用に強い。導入コストと体制が必要です。
- Jimdo / JustSystems / Color Me Shop：日本語サポートや地域事情に馴染みやすく、中小〜EC寄りのニーズに合います。
選定の観点
規模、予算、運用体制、カスタマイズ要件、セキュリティの優先度で選ぶとよいです。例えば速く始めたいECはShopify、柔軟に拡張したい場合はWordPress、大企業の統合運用はAdobeを検討してください。
国産CMS企業とその特徴
日本の国産CMSは、日本企業の運用習慣や日本語表記への配慮、手厚いサポートを強みにしています。ここでは主な特徴と代表的なサービスを分かりやすく紹介します。
国産CMSの主な特徴
- 操作性：日本語の管理画面やワークフロー設定が充実し、担当者が迷わず使えます。たとえば承認工程を日本語ラベルで揃えられます。
- 日本企業向け機能：複数サイト管理、契約書類に合わせた権限設定、決済や帳票連携などに対応します。
- セキュリティ：国内規格に合わせたログ管理やアクセス制御、国内データセンター利用の提案が多いです。
- サポート体制：電話や訪問での導入支援、運用教育を日本語で受けられます。
代表的な国産CMSと特徴
- おりこうブログ：初心者向けでテンプレートや操作ガイドが豊富。中小企業や個人向けに導入しやすいです。
- STUDIO：デザイン重視のノーコード編集が得意で、ビジュアルを重視するサイトに向きます。
- Movable Type：大学や研究機関での採用が多く、安定した運用と豊富なプラグインが特徴です。
- HeartCore：大企業向けで多サイト運用やSSO、カスタム開発に強いです。
- はてなブログMedia：オウンドメディア向けの編集・コメント機能が充実し、コミュニティ要素を活かせます。
- ferret One：BtoBマーケティング向け機能（ランディングページ、リード管理、解析）が揃っています。
エンタープライズ向けCMS企業の最新動向
背景と求められる要件
大手企業は大量のコンテンツを多チャネルで配信する必要があります。そのため、管理しやすく、運用体制やセキュリティが整ったCMSを求めます。特に多言語対応、ワークフロー管理、可用性の高さが重要です。
主なサービスと特徴
- Connecty CMS on Demand（クラウド型・ワンストップ）
- クラウドで一括提供し、ホスティングや運用支援まで含めるサービスです。導入から運用までワンストップで対応するため、社内リソースが少ない企業でも導入しやすい点が強みです。
- microCMS（APIベースのヘッドレスCMS）
- API経由でコンテンツを提供するため、フロント側は自由に設計できます。スマホアプリやSPA（シングルページアプリ）など多様な表示に向きます。開発者にとって扱いやすく、拡張性が高いです。
- Newt（多用途の国産CMS）
- 管理画面が使いやすく、テンプレートやプラグインで柔軟にカスタマイズできます。国内サポートが手厚く、ローカル事情に合わせた導入がしやすい点が魅力です。
技術的な潮流
ヘッドレス化やAPIファーストの流れが続いています。さらに、CDNや認証連携（SSO）、ログ管理など運用面の自動化も注目されています。各社はセキュリティ対応やSLA（稼働保証）を強化しており、信頼性を重視する企業に適しています。
導入時の注意点
- コストの総額（初期＋運用）を確認してください。
- 既存サイトからの移行可否を事前に検証することをおすすめします。
- ベンダーのサポート体制やSLAを確認し、実際の運用フローを想定してPoC（概念実証）を行うと失敗を減らせます。
導入検討時は、要件に合わせて上記の特徴を比較し、実運用を見据えた選定を行ってください。
その他の主要CMS企業と市場特性
概要
世界的に使われるCMSは種類が多く、それぞれ得意分野が異なります。たとえばSquarespaceはクラウド型の使いやすさで世界的に人気ですが、日本ではパートナー体制や日本語対応の違いから存在感が薄くなる例があります。
主な企業と特徴
- Wix：直感的な編集が強みで小〜中規模のサイトに向きます。テンプレートが豊富で導入が早いです。例：個人事業や飲食店のサイト。
- Shopify：ECに特化し、決済や在庫管理の機能が充実しています。通販を主とする企業に適します。
- Webflow：デザイン自由度が高く、デザイナーと開発者の橋渡しに役立ちます。
- Ghost、Strapi、Contentful：記事中心やヘッドレス型で、開発者が柔軟に使えます。
日本市場の特性
言語や決済、税制に関するローカライズ、パートナー支援の有無が採用を左右します。中小企業は使いやすさを重視し、海外製は翻訳や連携が整っていないと選ばれにくい傾向があります。しかし、越境ECやグローバル展開を目指す事業では海外サービスが有利になる場合があります。
選ぶときのポイント
目的（情報発信・EC・デザイン自由度）、運用リソース、国内のサポート体制を基準に比較してください。小規模ならWixやSquarespace、EC重視ならShopify、柔軟性が必要ならヘッドレス系を検討すると良いです。
