はじめに
本資料の目的
本資料は「web ラーニング」について、基礎から導入方法、メリット・デメリット、学習形態の分類、LMS(学習管理システム)の役割、ブレンデッドラーニング、企業導入の目的、システムの特徴と導入形態までを順を追ってわかりやすく解説します。実務で使える知識を意識してまとめました。
対象読者
人事・教育担当者、研修担当者、講師、教材制作に関心のある方、これからwebラーニングを導入しようとする企業や団体まで幅広く想定しています。初心者でも読みやすいよう専門用語は必要最小限に抑え、具体例を多く挙げます。
本資料の特徴
単に概念を説明するだけでなく、導入の流れや運用で注意すべきポイント、実際の学習場面での使い方の例も紹介します。例えば社員研修で動画と演習問題を組み合わせる方法や、資格学習をスマホで行う際の工夫など、すぐに試せるヒントを載せます。
読み方のポイント
まず第2章から順に読むと理解が深まりますが、必要な章だけを選んで読むこともできます。導入を検討する方は第6章と第9章を重点的にご覧ください。
eラーニングの定義と基本概念
定義
eラーニング(e-Learning)は、インターネットや電子機器を使って行う学習の総称です。パソコン、スマートフォン、タブレットなどを用い、場所や時間にとらわれずに学べます。例えば、通勤中にスマホで動画を視聴したり、自宅のパソコンで教材を進めたりする学習形態を指します。
主要な要素
- コンテンツ:動画、スライド、テキスト、クイズなど。具体例として、操作手順を示す短い動画や、知識チェックの選択式問題があります。
- 配信環境:学習プラットフォームやアプリ。受講者はログインして教材にアクセスします。
- 管理機能:学習の進捗管理や成績記録。企業や学校で誰がどこまで学んだかを把握できます。
- 相互作用:講師への質問フォームや受講者同士の掲示板で意見交換ができます。
基本的な学び方の特徴
- 時間と場所の柔軟性が高いです。夜間や移動中にも学習できます。
- 自分のペースで進められるため、復習や早送りが自由にできます。
- データを使って学習状況を見える化でき、効果的な改善につなげられます。
留意点
学習設計や教材の質が重要です。良い教材と適切な支援があれば、eラーニングは効果的に学びを広げます。
eラーニングの最大の特徴
特徴の核
eラーニングの最大の特徴は、学ぶ場所と時間を自分で選べる点です。自宅やカフェ、通勤中の電車内など、インターネット環境があれば学習できます。決まった会場や時間に縛られず、自分の生活に合わせて学べます。
どこでも学べる具体例
例えば育児中の方は昼寝の合間に動画を視聴できます。出張の多い社員は移動時間に問題集を解くことができます。学生は学校の授業と並行して自宅で復習できます。これらは従来の集合研修では難しかった柔軟さです。
自分のペースで進められる
学習者は早く理解できる箇所を飛ばし、苦手な箇所を繰り返し学べます。テキストの読み返しや動画の再生を自由に行えるため、学習効率を高めやすくなります。
学習を続けやすくする工夫
短いモジュールに分ける、進捗を可視化する、スマホ通知で学習時間を促すなどの工夫で継続率を上げます。クイズや課題で理解度を確認するとモチベーションも保てます。
注意点とその対策
自己管理が苦手だと学習が滞ることがあります。学習計画を立てる、学習コミュニティに参加する、定期的なリマインダーを設定すると効果的です。
eラーニングのメリット
概要
eラーニングは学習の場所や時間にとらわれず、効率よく学べる点が最大の魅力です。ここでは具体的なメリットを分かりやすく説明します。
自由度の高さ
好きな場所・時間で学べます。例えば出張の多い社員が移動中にスマホで復習できます。繰り返し見られるため理解が深まります。
コスト削減
会場・交通・講師手配の手間を減らします。集合研修を映像配信に切り替えれば、同じ内容を低コストで多数に提供できます。
学習状況の把握
受講履歴やテスト結果を記録し、進捗や理解度を可視化します。管理者はダッシュボードで未受講者や学習停滞者を把握できます。
スケーラビリティ
人数の増減に柔軟に対応します。新入社員が一度に増えても、追加の会場手配なく研修配信で対応できます。
個別最適化と多様な教材
学習者のレベルや進度に合わせたコース分岐や、動画・クイズ・資料の組合せで学習定着を高めます。
迅速な更新とアクセシビリティ
教材をすぐに更新でき、字幕や音声解説で多様な学習者に配慮できます。導入前に目的を明確にして設計することが重要です。
eラーニングの学習形態の分類
概要
eラーニングは大きく2つの学習形態に分かれます。それぞれの特徴を理解すると、目的や学習者に合わせた設計ができます。
同時双方向型(Synchronous Learning)
- 特徴:講師と学習者が同時に接続して学びます。ライブ配信、オンライン授業、ウェビナーが典型例です。
- 具体例:Zoomでの講義、オンライン討論、リアルタイムの質疑応答、模擬試験の同時監督。
- 長所:即時に疑問を解決でき、討論やグループワークを活性化します。学習の緊張感やスケジュール管理がしやすいです。
- 短所:時間をそろえる必要があり、参加環境(通信、時間帯)が制約になります。
非同期型(Asynchronous Learning)
- 特徴:教材を用意して学習者が自分のペースで進めます。録画動画、テキスト、クイズ、フォーラムが代表例です。
- 具体例:LMSで学ぶモジュール、短い動画と確認テスト、学習日誌や掲示板でのやり取り。
- 長所:時間や場所にとらわれず学習できます。復習や反復がしやすく、多忙な人に向きます。
- 短所:自己管理が必要で孤立感を感じることがあります。即時のフィードバックが得にくい場合があります。
選び方のポイント
- 目的:討論やスキルの演習は同時型、知識習得や反復学習は非同期型が向きます。
- 学習者の状況:業務で不規則な人には非同期型、チームで統一的に学ばせたいときは同時型を優先します。
運用のコツ
- 同時型では時間を守る工夫と録画保存を用意します。
- 非同期型では短い単元と小テスト、掲示板での交流を設けると継続しやすくなります。
LMS(学習管理システム)の役割と機能
概要
LMSは企業のeラーニング運用の中核です。受講者の登録や教材の配信、学習状況の把握を一元化し、運用負担を減らします。たとえば新人研修で受講者を一括登録し、課題提出と自動採点を行うといった使い方が典型です。
主な機能
- 受講者管理・認証:社員情報の登録、ログイン管理、グループ分けを行います。例:部署別にコースを割り当てる。
- コース・教材配信:動画やPDF、スライドを配信し、配信スケジュールを設定できます。
- 評価機能:小テストやレポートの提出、採点、合否判定を行います。自動採点で負担を減らせます。
- 進捗・理解度の可視化:ダッシュボードで誰がどこまで学習したかを確認できます。進捗レポートを出力して管理者に共有できます。
- 通知・コミュニケーション:期限のリマインド、掲示板やチャットでの質疑応答を支援します。
運用で意識したい点
権限設定や個人情報の扱い、教材の更新方法を事前に決めます。使いやすい画面設計とサポート体制が定着の鍵です。導入後は利用状況を見てコース構成を改善してください。
ブレンデッドラーニングという新しい学習形態
定義
ブレンデッドラーニングは、オンライン学習(eラーニング)と対面式研修を組み合わせた学び方です。オンラインで基礎知識を学び、対面で応用や討論、実技を行う流れが一般的です。
特長とメリット
- 柔軟性:学習時間や場所をオンラインで確保できます。
- 深い理解:対面での対話や実習で思考力や実践力が育ちます。
- 効率化:同じ資料を何度でも見直せるため復習がしやすくなります。
具体例として、事前に動画で手順を学び、教室で演習する研修があります。オンラインで予習し、対面で確認する流れが効果的です。
設計のポイント
- 目的を明確にする:知識習得が目的か技能習得が目的かで配分を変えます。
- 学習順序を工夫する:オンラインで基礎→対面で応用が基本です。
- 参加者の負担を考える:オンライン時間が長くなりすぎないようにします。
実施例
- 新入社員研修:座学をオンラインで行い、グループワークを対面で実施。
- 技術研修:操作手順をeラーニングで習得し、現場で実技確認。
導入時の注意点
- 学習効果を測る評価方法を用意します。
- 対面の価値を明確にしておくことが重要です。
- システムや環境の準備、参加者への説明を十分に行ってください。
eラーニング導入の目的
導入の主な目的
企業がeラーニングを導入する目的は、学習の機会を増やし、業務に直結する力を早く身につけさせることです。いつでもどこでも学べる環境を用意することで、出張や在宅勤務中でも研修を受けられます。例:営業社員が出張先でコンプライアンス研修を受講する。
具体的な効果(例)
- 集合研修のオンライン化でコストと時間を削減します。会場手配や移動時間が減ります。
- 新人研修を標準化して早期戦力化を促します。全員に同じ基礎を短期間で提供できます。
- 定期的なスキル確認や資格更新が容易になります。安全教育や法令対応の再学習に役立ちます。
- 個別学習で理解度に応じた学習を実現します。苦手分野だけを補強する使い方ができます。
導入時の注意点
- 目的を明確にします。何を達成したいかでコンテンツと運用が変わります。
- コンテンツは短く具体的に作ります。動画と確認テストを組み合わせると効果的です。
- 運用体制を整えます。受講促進やサポート窓口を用意してください。
- 評価と改善の仕組みを持ちます。受講データを元に内容を見直します。
目的をはっきりさせると、eラーニングは教育の効率化と定着に大きく貢献します。
eラーニングシステムの特徴と導入形態
概要
eラーニングシステムは学習の進捗を管理し、学習内容を組織全体で統一できる点が大きな特徴です。1990年代に学習スタイルの多様化を支える手段として注目され、インターネット普及とともに発展しました。
主な特徴
- 進捗管理:受講状況や理解度を一覧で確認できます(例:誰がどの教材を終えたか、テストの点数)。
- 学習の統一:同じ教材を全員に配信でき、人による差を減らします。
- いつでもどこでも受講:ブラウザやスマホで学べます。
- 自動化:受講履歴や修了証発行を自動で行えます。
導入形態
- クラウド型:インターネット上のサービスにログインして使います。短期間で導入でき、運用はベンダー任せです。例:社員がブラウザで受講し、管理者は管理画面で進捗を確認する方式。導入・保守の手間が少ない点が利点です。
- オンプレミス型:自社サーバーに設置して運用します。カスタマイズや社内データの管理を重視する場合に向きます。
- ハイブリッド型:機密情報は社内で管理し、一般コンテンツはクラウドで配信するなど混在させます。
導入時のポイント
ネット環境、運用担当者の確保、教材の整備、受講者向けサポート体制を事前に整えると円滑に始められます。












