はじめに
目的
本書は、Googleサーチコンソールで確認できるCTR(クリック率)について、初心者にも分かりやすく目安や改善のヒントを伝えることを目的としています。数値の見方から、検索順位やデバイスごとの違い、実践につなげる施策まで順を追って説明します。
対象読者
・サイト運営を始めたばかりの方
・自社・クライアントの検索流入を改善したい方
・サーチコンソールの数値を正しく解釈したい方
本書の使い方
各章は独立して読めますが、まずは第2章でCTRの基本を押さしてください。第4章では2024年の最新データを紹介し、第9章で実践的な改善策をまとめます。実例を交えて、日々の運用にすぐ使える内容にしています。
注意点
CTRは業種やキーワードで大きく変わります。ここで示す目安は参考値です。まずは自分のデータを基準に改善を進めることをおすすめします。
CTR(クリック率)の基本概念
CTRとは
CTRは「クリック率」を表す指標です。検索結果や広告が表示された回数(インプレッション)に対して、実際にクリックされた割合を示します。Web集客や広告の効果を測る基本の数値です。
計算式と具体例
計算式は「クリック数 ÷ インプレッション数 × 100」です。たとえば、表示が2,000回でクリックが10回なら、CTRは0.5%になります。簡単な式なのでデータからすぐに算出できます。
なぜ重要か
CTRはユーザーの興味を測る速い指標です。検索結果でCTRが高ければ、タイトルやスニペットが魅力的だと判断できます。コンテンツ改善の優先順位を決める際に役立ちます。
注意点と使い方
CTRは単独で見ると誤解を招くことがあります。たとえば表示回数が少ないと割合が乱高下しますし、上位表示されれば自然とCTRは上がります。したがって、順位やインプレッション数と合わせて分析してください。改善では、タイトルやメタディスクリプションの変更、構造化データの活用などが有効です。
サーチコンソールにおけるCTRの一般的な目安
概要
サーチコンソールで見るCTR(クリック率)は、全体ではおおむね1%〜5%が一般的な目安です。ただし検索順位ごとに大きく変わります。以下は実務でよく使われる目安です。
検索順位ごとの平均CTRの目安
- 1位: 約20〜30%(ブランド名や明確なニーズがある場合はさらに高くなる)
- 2位: 約10〜15%
- 3位: 約7〜10%
- 4〜10位: 約3〜6%(順位が下がるほど急速に低下します)
- 11位以下: 1〜2%未満(2ページ目以降はほとんど見られません)
目安の見方と使い方
CTRは順位だけで決まるわけではありません。検索意図(情報収集か購入か)、タイトルやスニペットの魅力、検索結果に表示されるリッチ要素(画像、ナレッジパネル、広告など)で大きく変わります。サーチコンソールではインプレッション数が少ない場合は数値がぶれやすいので、一定期間の平均で判断してください。
注意点
- サンプル数が少ないとCTRは安定しません。最低でも数百インプレッションを目安にすることをおすすめします。
- ブランドクエリはCTRが高く出ます。比較時は非ブランド検索で見比べてください。
- モバイルとPCでCTRに差が出ることがあります。デバイス別に確認しましょう。
短い改善アドバイス
- タイトルとメタ説明を見直して魅力を高める
- スニペットで伝える情報を明確にする(数字や期限など)
- 構造化データでリッチ表示を狙う
これらを優先的に試し、サーチコンソールでCTRの変化を追ってください。
2024年の最新調査データとデバイス別CTR
調査結果のポイント
2024年の最新調査データでは、検索順位とCTRに明確な差が見られます。検索順位1位のページは平均39.8%のCTR、2位は約18.7%、3位は約10.2%、10位は約1.6%となっています。上位ほどクリックを集めやすいのは変わりません。
デバイス別の傾向
- デスクトップ:1位のCTRは約32.35%と高めです。画面が広いため検索結果をじっくり比べる傾向があり、タイトルや説明文の魅力が効きます。
- モバイル:1位は約26.7%で、デスクトップより低めです。画面が小さく、ユーザーは即決しやすいためスニペットやファーストビューの影響が大きく出ます。
2位以降はデバイス問わず徐々にCTRが下がりますが、モバイルでは順位差による落ち幅がやや大きくなることが多いです。
実務への示唆
- モバイル最適化を優先してください。タイトルは短く、重要語を前半に入れると有効です。
- 構造化データやリッチスニペットで視認性を上げると、順位が同じでもクリックを増やせます。
- Search Consoleでデバイス別のCTRを定期的に確認し、目標値(例:1位なら30%前後)と比較して改善点を探してください。
注意点:調査元と集計方法で数値は変動します。自サイトのデータを基準に調整すると実用的です。
検索順位1位と2位のCTR格差
概要
検索順位1位のCTRは2位のおよそ2倍になることが多く、上位表示の重要性を端的に示します。ユーザーは検索結果を上から順に見る傾向が強く、上位ほどクリックされやすくなります。
なぜ差が生まれるのか
- 視認性の差:上に表示されるほど目に留まりやすいです。
- 信頼性:1位は“より適切”と判断されやすいです。
- スニペット効果:タイトルや説明文、リッチスニペットが1位で目立つとクリック率が上がります。
- ブランドと慣れ:既知のサイトは上位でさらに選ばれます。
- デバイス要因:スマホでは画面が小さく、順位差の影響が大きく出ます。
具体例(イメージ数値)
例:1位30%、2位15%というような比率で表れることが多いです(検索意図や業界で上下します)。
上位を狙うための実務的ポイント
- タイトルとメタ説明を魅力的にしてCTRを引き上げます。
- 構造化データでリッチ表示を狙います。
- 検索意図に合った良質な本文を提供します。
- 内部リンクと被リンクでページの評価を高めます。
- ページ速度やモバイル対応を改善します。
- タイトル文言のABテストで実際のCTRを計測します。
したがって、1位を目指す努力はCTRと流入数に直結します。
検索結果画面の状況によるCTRの変動
概要
検索結果(SERP)は常に変化します。広告表示、AI Overviews、リッチスニペット、ローカルパック、画像カルーセルなどが現れると、オーガニックのクリック率(CTR)は大きく変わります。ここでは代表的な要因と対策をわかりやすく解説します。
主なSERP機能とCTRへの影響
- 広告(Google広告): 上部に広告が並ぶと、自然検索の上位でもクリックが減ります。短い意図の検索ほど影響が出やすいです。
- AI Overviews / 概要表示: 検索結果上部に要約が出るとユーザーが満足してクリック不要となる場合があります。
- リッチスニペット(レビュー、レシピ、FAQ): 注目度は上がりやすく、CTRを増やすことが可能です。構造化データで獲得を狙えます。
- ローカルパック・マップ: 地域検索ではオーガニックよりも地図結果が優先され、CTR配分が変わります。
デバイス別の違い
スマホは画面が小さいため、上部の広告やカルーセルが目立ちやすいです。したがってスマホでのオーガニックCTR低下が顕著になることが多いです。一方、PCでは複数の結果が同時に見えるため、挽回の余地があります。
測定と実務的な対応策
- Search Consoleでクエリやデバイス別にフィルタして、変動の原因を特定してください。
- 構造化データを導入してリッチ表示を狙うと、目立ちやすくなります。
- タイトルやディスクリプションを強化し、スニペットで即答できる要素を入れてください。
- 特定のクエリでAI Overviewsが出る場合は、記事冒頭に簡潔な要約を置き、スニペット化を意識して構成すると有利です。
注意点
SERPは短期間で変化します。定期的に観察し、表示状況に合わせて柔軟に対策を続けることが重要です。
キーワードの種類別によるCTRの目安の違い
概要
キーワードの種類でクリック率(CTR)は大きく変わります。検索意図・競合状況・表示形式で差が出ます。ここでは代表的な例と目安、現場での扱い方をわかりやすく説明します。
一般キーワード(情報・比較系)
例:”ダイエット 食事 メニュー”、”スマホ 比較”
目安:検索順位1位で25〜40%前後。競合や比較サイトが多く、2位以下のばらつきが大きいです。タイトルとスニペットで差がつきやすいです。
商標・ブランド系
例:”〇〇メーカー 型番”、”ブランド名 口コミ”
目安:1位は非常に高く、40%を超えることもあります。購買意欲が高く、明確なニーズがあるためです。
購買意欲の高いキーワード(導入・購入系)
例:”ウォーターサーバー 購入”、”クラウドサービス 比較 見積り”
目安:上位で30〜50%程度になることが多いです。広告や料金表示によりCTRが左右されます。
BtoBニッチワード
例:専門的な製品名や業界用語
目安:検索ボリュームが少ないため、1位でも10〜20%にとどまることがあります。ユーザー層が限定的で比較検討が慎重です。
地域・ローカル系
例:”○○市 レストラン”、”歯科 口コミ 近く”
目安:マップ表示や営業時間情報の影響でCTRが上下します。上位でのCTRは高めになりやすいです。
実務的な扱い方(短く)
- 目安は参考値と考え、実データで検証してください。
- タイトル、スニペット、構造化データでCTRを改善できます。
- ボリュームが小さいキーワードはCVR(成約率)で評価する工夫が有効です。
想定CTRの概念とその活用
想定CTRとは
想定CTRは「特定の検索順位で平均的に期待されるクリック率」を指します。実際のCTRと比べることで、検索順位に対するタイトルや説明文の強さを客観的に判断できます。
算出の考え方(簡単な式)
想定CTRを順位ごとの目安(例:1位30%、2位15%など)とし、実際CTRと比較します。差分は「実際CTR ÷ 想定CTR」で評価できます。例:想定10%に対し実績5%なら50%(低い)です。
活用手順(実務向け)
- 検索コンソールでクエリ別・ページ別のCTRと順位を確認します。2. 想定CTR表を用意し、順位に応じた期待値を当てはめます。3. 実際CTRが大きく下回るページを抽出します。4. タイトル・メタ説明・スニペットや構造化データを改善して再計測します。
実例と優先順位付け
高インプレッションで想定よりCTRが低いページは優先改善します。低インプレッションは改善しても効果が出にくいため、まずは表示回数の多い箇所を狙います。
注意点
想定CTRはあくまで目安です。検索意図やSERP表示(リッチ結果・広告など)で大きく変わるため、定期的に見直してください。
CTR改善のための15の施策
検索結果でのクリック率(CTR)を上げるには、小さな改善を積み重ねることが大切です。以下に実践しやすい15の施策を挙げ、具体例を添えて説明します。
- 業界平均を把握する
-
Search Consoleや業界リポートで目安を確認します。まず自分の立ち位置を知りましょう。
-
検索順位ごとの違いを理解する
-
1位と2位でCTRは大きく異なります。優先順位を決める参考にします。
-
低CTRページを特定する
-
インプレッションが多いのにCTRが低いページを抽出し、改善対象にします。
-
キーワード別にCTRを比較する
-
「購入」系と「情報収集」系で期待値が違います。意図ごとに施策を変えます。
-
タイトルを最適化する
-
重要ワードを前方に置き、魅力的な表現や数字を入れるとクリックされやすくなります。
-
メタディスクリプションを改善する
-
利益や行動を明示する簡潔な説明とCTAを入れて、意欲を引き出します。
-
スニペットに差別化を入れる
-
他と違う強みや限定性を示すと目を引きます(例:期間限定、無料相談)。
-
構造化データを活用する
-
FAQやレビューなどのスキーマでリッチ表示を狙い、視認性を向上させます。
-
リッチスニペット狙いの調整
-
商品なら価格、レビュー、レシピなら調理時間などを明示すると有利です。
-
表示URLを整える
-
短く分かりやすいパスは信頼感を与えます。
-
モバイル表示を最適化する
-
タイトルや説明が切れないよう短めに調整し、ファーストビューを重視します。
-
ページ速度を改善する
-
画像圧縮や不要スクリプトの削減で表示遅延を防ぎ、離脱を減らします。
-
A/Bテストを行う
-
タイトルや説明文を複数パターン試し、効果が高いものを選びます。
-
季節・イベントを活用する
-
セールや季節ワードをタイトルに入れるとクリック率が上がることがあります。
-
SERPの外的要因を確認する
- ナレッジパネルや広告、競合の強い表現をチェックし、それに対抗する戦略を取ります。
これらを優先度をつけて継続的に試すと、着実にCTR改善につながります。












