サーチコンソールと広告流入を連携して効果的に分析する方法

目次

第1章: はじめに

背景

インターネット広告と自然検索は、多くのウェブ運営者にとって重要な集客チャネルです。検索から来る訪問者と広告から来る訪問者は行動が異なるため、混同してしまうと改善点が見えにくくなります。本書では、Googleサーチコンソールと広告データを組み合わせて分かりやすく分析する方法を紹介します。

本書の目的

本書は、サーチコンソールの基本から広告流入の分類、両者の連携によるキーワード分析やランディングページ改善まで、実務で使える手順を丁寧に解説します。具体的な手順と実例を通じて、広告効果とSEOの両面で改善につなげることを目指します。

想定読者

・広告担当者やSEO担当者
・サイト運営者やマーケティング担当者
・分析結果を実務に落とし込みたい方
専門知識がなくても読み進められるよう、専門用語は最小限にし具体例を交えて説明します。

本書の使い方

章ごとに実務で使える方法を示します。まずは全体像をつかみ、必要な章を深掘りしてください。実際の操作画面やレポート例を参考にしながら自社データに当てはめると効果が出やすくなります。

注意点

ツールの表示や仕様は更新される場合があります。本書の手順は基本的な考え方と実践例に重きを置いていますので、自社環境に応じて調整してください。

Googleサーチコンソールと広告流入の基本概念

はじめに

Googleサーチコンソール(以下、サーチコンソール)とGoogle広告は、どちらもサイトへの流入を把握する重要なツールです。役割が異なるため、併用すると効果的な改善につながります。

サーチコンソールとは

サーチコンソールは主に自然検索(オーガニック)からの流入に関するデータを示します。検索クエリ、表示回数、クリック数、平均掲載順位、クリック率(CTR)などが分かります。例えば「旅行 格安」で自分のページが多く表示されるがクリックが少ない場合、タイトルやディスクリプションの改善が必要だと分かります。

Google広告とは

Google広告は有料での流入に関する成果を計測します。広告の表示回数、クリック率、費用、コンバージョンなどが主な指標です。広告は即効性があり、新しい訴求のテストにも向いています。

両者の違いと補完関係

サーチコンソールは“何が検索されているか”を教え、広告は“どの訴求が反応するか”を教えます。例えば自然検索でインプレッションが大きいキーワードを広告で試すと、訴求の有効性を素早く検証できます。

連携でできること(例)

  • 自然検索で見つかった高インプレッション語を広告の候補にする
  • 広告で効果の良い表現をSEOに反映してCTRを改善する

運用上の注意点

  • 広告では自動タグ(gclid)やUTMを正しく設定して計測を分ける
  • サーチコンソールは低ボリュームのクエリを省略するため、完全な一覧にはならない

次章では、広告流入の種類と具体的な確認方法を詳しく説明します。

広告流入の分類と確認方法

広告流入とは

広告から訪れたユーザーは、一般に「Paid(有料)」として計測されます。自然検索は「Organic(自然)」に分類され、広告流入とは分けて見ることで効果を正しく評価できます。たとえば検索広告で来た人はPaid、検索結果から自然に来た人はOrganicです。

確認手順(Googleアナリティクス)

  1. 「レポート>集客>すべてのトラフィック」を開きます。
  2. ディメンションを「セッションのデフォルトチャネルグループ」に切り替えます。
  3. チャネル別にセッション数や直帰率、コンバージョン数を確認できます。

チャネルの見方と具体例

  • Paid: 検索広告やディスプレイ広告、SNS広告からの流入が含まれます。例: Google広告のクリック。
  • Organic: 検索エンジンの自然検索での流入。例: 検索結果の上位表示から来た訪問者。

実務的な注意点

  • UTMパラメータや自動タグ付け(gclid)が正しく設定されていないと、広告流入が別チャネルに分類されることがあります。
  • SNS広告は設定次第でPaidまたはReferralに分かれるため、mediumやsourceの命名ルールを統一してください。

上記を定期的に確認すると、どの広告が本当に流入を生んでいるかを正確に把握できます。

サーチコンソールと広告の連携による自然検索キーワードの分析

概要

サーチコンソールのクエリ(検索語句)を見れば、ユーザーが実際に何を検索しているか分かります。表示回数・クリック数・CTRを確認し、自然検索で流入が少ない語句を把握します。これにより広告で補うべきキーワードが分かります。

見るべき指標と意味

  • インプレッション:検索結果に表示された回数。認知状況を示します。
  • クリック数:実際に訪問した回数。興味の強さを示します。
  • クリック率(CTR):表示に対するクリックの割合。タイトルや説明文の魅力を示します。
  • 平均掲載順位:検索結果での表示位置。上位でない語句は広告で補助を検討します。

分析手順(実務的に)

  1. クエリレポートを期間指定で抽出し、インプレッションとCTRで並べ替えます。
  2. 表示は多いがクリックが少ない語句を抽出します。意図と合っているかページを確認します。
  3. 自然検索でほとんど流入がないがビジネス価値が高い語句をリストアップします。
  4. 広告でテスト出稿し、CTRやコンバージョンを比較します。

活用のコツ

  • 広告文は検索意図に合った文言を使います。LPも一致させると効果が上がります。
  • 日別・デバイス別の傾向も確認してターゲティングを調整します。
  • テストを続けて、自然検索が伸びれば広告予算を削減できます。

注意点

検索語句は表記ゆれや類義語が多いので、似た語をまとめて分析してください。広告と自然検索を組み合わせて、効率的に流入を増やしましょう。

広告キーワード選定への活用

概要

Googleサーチコンソールの自然検索キーワードを広告に活かす方法を丁寧に説明します。自然流入がある語句を広告キーワードや広告文に取り入れると、無駄の少ない訴求が可能になります。

実務手順(ステップ)

  1. サーチコンソールで検索クエリを抽出する(期間やページで絞る)。
  2. クリックはあるが広告の検索語句レポートに出ていないワードをピックアップする。
  3. 意図(購入系・検討系・情報系)で優先度を付ける。
  4. 広告アカウントに追加し、マッチタイプや除外語を設定する。

広告文と入札への応用

自然検索で反応が良い表現を広告見出しや説明文に使います。例:ユーザーが”最安値”で流入しているなら、広告文にも”最安”や”価格比較”を入れて訴求します。入札は最初は控えめにして、CTRやCVRで調整します。

テストと評価

追加後は、クリック率、コンバージョン率、CPAを定期的に確認して効果を判断します。A/Bテストで見出しやマッチタイプを比較すると改善が早まります。

注意点

検索での流入は必ず広告で同様に成果が出るとは限りません。ユーザーの意図やランディングページの内容を合わせて最適化してください。

ランディングページの改善への活用

ランディングページ改善の狙い

広告で誘導したユーザーがページを離脱せずに目的を達成できるかを高めることが目的です。滞在時間、直帰率、コンバージョン率を改善すると広告の費用対効果が上がります。

サーチコンソールと広告データで見るべきポイント

  • 流入経路ごとの離脱率やコンバージョン率:広告から来たユーザーの行動を広告ツールと比較して確認します。具体例:ある広告文で滞在時間が短いなら訴求とLPがずれている可能性があります。
  • ランディングページの読み込み速度:サーチコンソールで表示速度やCore Web Vitalsを確認します。読み込みが遅いと直帰が増えます。
  • 検索キーワードと広告キーワードの一致度:自然検索でPVの多いキーワードがランディングに反映されているかを見ます。

改善の具体手順(優先順位)

  1. 読み込み速度改善(画像圧縮、遅延読み込み、不要スクリプト削除)
  2. 見出しとCTAの訴求合わせ(広告文と一致させる)
  3. ファーストビューの明確化(価値提案を一目で分かるように)
  4. フォーム簡略化(入力項目を減らす)

テストと効果測定

A/Bテストで各改善の効果を測ります。指標はコンバージョン率、直帰率、平均滞在時間、広告の平均クリック単価です。1つずつ変えて因果を明確にしましょう。

注意点

ユーザー層やデバイスで反応が変わるため、セグメント別に分析してください。小さな改善でも積み重ねると大きな効果になります。

GA4とサーチコンソールの連携による統合分析

概要

GA4とサーチコンソールを連携すると、自然検索からの流入(クリック数・CTR)とサイト内の行動(セッション・コンバージョン)を一画面で比べられます。ページごとの効果や自然流入施策の貢献度を総合的に評価できます。

連携で得られる主な指標

  • サーチコンソール:表示回数、クリック数、クリック率(CTR)、平均掲載順位
  • GA4:ユーザー、セッション、コンバージョン数、CTAクリック、滞在時間
    これらを照らし合わせると、検索の機会とサイト内での成果を結び付けられます。

具体的な分析手順(簡単)

  1. GA4にサーチコンソールをリンクする(プロパティ設定で連携)
  2. ページ毎に「検索クリック数」と「コンバージョン数」を比較
  3. 高クリック・低CVのページはランディング改善、低クリック・高CVは表示拡大を検討

分析例と活用ポイント

例:ある商品ページが検索でよくクリックされるがコンバージョンが低い場合、導線や訴求を見直します。逆に検索流入は少ないがコンバージョン率が高ければ、該当キーワードの広告強化を検討します。

活用ポイント:定期的に比較表を作り、優先度の高い改善項目を洗い出して施策へつなげてください。

Looker Studioによる可視化と多角的分析

概要

Looker Studioはサーチコンソール、GA4、Google広告、スプレッドシートなどをつなげて、データを一画面で確かめられます。検索クエリの表示回数・クリック数・CTR・掲載順位をグラフで見比べ、日別・週別・月別の推移を直感的に把握できます。月間約10万件の検索クエリが扱えるため、細かな分析も可能です。

データソース連携の基本

  • サーチコンソール:検索クエリや掲載順位を取り込めます。具体例:特定キーワードの掲載順位推移を表示。
  • GA4:コンバージョンやセッションを結合して効果測定できます。
  • Google広告:広告からの流入と自然検索を比較できます。
  • スプレッドシート:社内リストやタグ付け情報を補完できます。

可視化のポイント

  • 指標は最大3つまで同時表示すると見やすい(例:表示回数・CTR・クリック)。
  • 日別は増減の瞬間を、週別は傾向を、月別は季節性を把握します。
  • フィルタで地域・端末・ページを切り分けると原因分析が早くなります。

大量クエリの扱い

10万件規模のクエリはサンプリングや絞り込みで扱います。まず上位1,000件を重点分析し、パターンが分かれば対象を広げます。スプレッドシート連携でバッチ処理する運用も有効です。

実践的なダッシュボード例

  • トップクエリ一覧(CTR・掲載順位付き)
  • ランディング別コンバージョン率と検索意図マトリクス
  • 広告と自然検索の重複キーワード分析

注意点

データ更新のタイムラグに注意してください。指標定義をチームで統一すると誤解を防げます。

広告運用における実践的な活用例

はじめに

自然検索で流入が少ないがビジネス上は重要なキーワードを、広告で補強して成果を上げる具体的な流れを説明します。実務で使える手順に沿って紹介します。

1. キーワードの特定方法

Search Consoleでクエリごとの「表示回数」「クリック数」「CTR」「平均掲載順位」を確認します。表示回数はあるのにクリックが少ない、または表示自体が少ない重要語句をリスト化します(例:商品名+比較、地域名+サービス)。着目点は購買意図が高い語句です。

2. 広告での補強手順

リスト化した語句を元にキャンペーンを作成します。まずは絞ったマッチタイプ(フレーズ/完全一致)で入札を上げ、広告文は検索意図に合わせます。ランディングページも該当コンテンツに直結させ、CTAを明確にします。

3. コンテンツ改善へのフィードバック

広告で反応の良いキーワードや文言を元に、該当ページを強化します。見出し追加、FAQ設置、内部リンク強化などで検索結果での魅力度を上げます。広告で得た検索語を自然検索施策に取り入れることで長期的な流入増が期待できます。

4. 計測と最適化

キーワード別にコンバージョンとCPAを計測します。広告→自然検索の効果もGA4とSearch Consoleで追い、広告を絞るか継続するか判断します。A/Bテストで広告文やランディングの改善を繰り返します。

注意点

予算配分を明確にし、ネガティブキーワードで無駄クリックを防ぎます。短期的な広告効果と長期的なSEO効果のバランスを意識して運用してください。

まとめと期待される効果

要点のまとめ

Googleサーチコンソール(GSC)と広告ツールを連携すると、自然検索で来るキーワードの傾向を広告運用に生かせます。自然検索の流入キーワードは、広告のキーワード選定やランディングページ(LP)改善のヒントになります。具体的には、流入が多い語句を広告に反映したり、流入ユーザーが求める情報をLPに先回りして追加したりします。

期待される効果(具体例)

  • 広告費の効率化:無駄なキーワードを減らし、費用対効果を高めます。
  • コンバージョン率(CVR)の向上:ユーザーの検索意図に合うLPで成約率が上がります。
  • SEOパフォーマンスの改善:検索で評価されるコンテンツを増やせば自然流入も育ちます。

例)「無料 比較」という検索流入が多ければ、広告文やLPに“無料で比較できる”という訴求を入れてテストします。

実践の次の一歩

  1. GSCと広告アカウントのデータを定期的に確認する。
  2. 見つけたキーワードでA/Bテストを回す。
  3. GA4やLooker Studioで結果を追い、改善を続ける。

注意点

データには遅延やサンプリングがあります。キーワードだけで判断せず、CVや滞在時間など複数指標で検証してください。

これらを継続すれば、広告効果とSEOの両方で確かな改善が期待できます。少しずつ仮説を立てて試すことをおすすめします。

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