はじめに
この章では、本記事で扱う内容と読み進める際の前提をわかりやすく説明します。
本記事の目的
CDNを利用したBootstrap Datepickerの導入方法を中心に、実装例、主要機能、代替ライブラリ(Flatpickr)や他のBootstrap連携カレンダー、そしてFormidable Formsとの簡単な統合方法、実装時の注意点まで丁寧に解説します。初めて導入する方でも実用レベルで扱えることを目指します。
対象読者
- Webフォームに日付入力を追加したい開発者やデザイナー
- Bootstrapを既に使っていて、手早くカレンダー機能を導入したい方
- 代替ライブラリとの比較を知りたい方
前提知識
基本的なHTMLとCSS、そしてBootstrapの導入方法がわかっていると理解が進みます。JavaScriptの簡単な知識があれば実装でつまずきにくくなります。
この記事は、順を追って読み進めれば導入から注意点まで実践的に学べる構成です。まずは次章でBootstrap Datepickerの概要を見ていきます。
Bootstrap Datepickerとは
Bootstrap Datepickerは、Webフォームに直感的な日付選択機能を追加するためのコンポーネントです。見た目はBootstrapのデザインに馴染み、カレンダー形式で日付を選べるため入力ミスを減らせます。例として予約フォームでカレンダーから日にちを選ぶ場面が想定されます。
主な特徴は次のとおりです。カスタマイズ性:表示形式や開始曜日、利用可能な日付範囲を設定できます。使いやすさ:マウスやキーボードで操作でき、モバイルでも扱いやすい設計です。互換性:Bootstrapのスタイルに合わせやすく、既存のフォームに自然に組み込めます。
導入は比較的簡単で、必要なCSSとJavaScriptを読み込み、対象の入力に対して初期化スクリプトを呼び出すだけです。日付フォーマットやローカライズ(日本語表示)も設定できますので、用途に応じて柔軟に調整できます。
CDNを使用したBootstrap Datepickerの導入方法
CDNを使うと、ローカルにファイルを置かずにBootstrap Datepickerを手早く導入できます。必要なのはHTMLのhead(とbodyの終わり)にCSSとJavaScriptを読み込むことだけです。ここではjsdelivrの例を示します。
必要な読み込み順
- jQuery
- BootstrapのCSS/JS(Bootstrapのバージョンに合わせる)
- bootstrap-datepickerのCSS/JS
- 必要ならロケール(日本語)ファイル
例(Bootstrap 4 + bootstrap-datepicker 1.9.0)
<head>
<link rel="stylesheet" href="https://cdn.jsdelivr.net/npm/bootstrap@4.6.2/dist/css/bootstrap.min.css">
<link rel="stylesheet" href="https://cdn.jsdelivr.net/npm/bootstrap-datepicker@1.9.0/dist/css/bootstrap-datepicker.min.css">
<script src="https://cdn.jsdelivr.net/npm/jquery@3.6.0/dist/jquery.min.js"></script>
<script src="https://cdn.jsdelivr.net/npm/bootstrap@4.6.2/dist/js/bootstrap.bundle.min.js"></script>
<script src="https://cdn.jsdelivr.net/npm/bootstrap-datepicker@1.9.0/dist/js/bootstrap-datepicker.min.js"></script>
<script src="https://cdn.jsdelivr.net/npm/bootstrap-datepicker@1.9.0/dist/locales/bootstrap-datepicker.ja.min.js"></script>
</head>
初期化の簡単な例
<input id="datepicker" class="form-control">
<script>
$(function(){
$('#datepicker').datepicker({
language: 'ja',
format: 'yyyy-mm-dd',
autoclose: true
});
});
</script>
ポイント:読み込み順を守ると動作します。CDNは手軽ですが、特定バージョンを指定しておくと将来の互換性が安定します。オフライン環境では利用できない点にご注意ください。
実装の具体例
以下では、基本的なHTMLとJavaScriptでBootstrap Datepickerを動かす最小の例を示します。ポイントは、input要素にクラスを付けて、JavaScript側でdatepickerを初期化することです。
HTML
<!-- CSS/JSは事前に読み込んでおきます -->
<input type="text" class="datepicker form-control" placeholder="mm/dd/yyyy">
JavaScript(初期化)
$('.datepicker').datepicker({
format: 'mm/dd/yyyy',
autoclose: true,
todayHighlight: true
});
説明
- format: 日付表示の形式を指定します(ここでは mm/dd/yyyy)。
- autoclose: 日付を選ぶと自動でピッカーを閉じます。
- todayHighlight: 今日の日付を強調表示します。
選択後の処理例
$('.datepicker').on('changeDate', function(e){
console.log('選択された日付:', e.format());
});
複数の入力に適用する場合は同じクラスを付ければまとめて使えます。必要に応じて開始日・終了日・禁止日をオプションで制御してください。
Bootstrap Datepickerの主要機能
日付選択(基本)
シンプルなカレンダーで日付を選べます。入力欄にクリックするとカレンダーが開き、日付を選択すると自動で入力されます。例: autoclose: true を指定すれば選択後に自動で閉じます。
日付範囲の指定
開始日と終了日を設定して、範囲選択を制御できます。startDate / endDate を使うと、過去や未来の特定の期間を禁止できます。予約フォームや検索フィルターに便利です。
表示とスタイルのカスタマイズ
見た目はCSSやBootstrapのクラスで調整できます。表示フォーマットは format で変更可能です(例: yyyy-mm-dd)。テーマやクラスを組み合わせてフォームに馴染ませます。
Bootstrapとの統合
モーダルやフォームグループなど他のBootstrapコンポーネントと自然に連携します。入力欄にアイコンを置いたり、グリッド内に配置したりしても動作します。
イベントとコールバック
選択時や表示時のイベントを受け取り、処理を追加できます。changeDate で入力値の検証や同期処理を行うと柔軟です。
ローカライズとフォーマット
曜日や月名を日本語表示にできます。language: "ja" を設定すると日本語表記になり、ユーザーに優しい表示になります。
アクセシビリティと操作性
キーボード操作やフォーカス管理に対応できます。タッチ端末ではタッチ操作での選択が快適に動作します。
他のBootstrap関連カレンダーソリューション
MDBootstrap Calendar
MDBootstrap(MDB)はデザイン重視のコンポーネント群を提供します。カレンダーは見た目が整っており、テーマに合わせて簡単に色やレイアウトを変更できます。動的なイベント表示や日付選択を必要とする管理画面に向きます。
AdminLTE Calendar
AdminLTEはダッシュボード向けテンプレートで、カレンダーは管理画面との相性が良いです。イベントの一覧表示やドラッグ&ドロップでの操作を組み合わせやすく、業務用ツールに適しています。
Bootstrap Vue Calendar
Bootstrap VueはVue.jsとBootstrapを統合したライブラリです。コンポーネントとして使えるカレンダーを提供し、状態管理や双方向バインディングと相性が良いです。Vueアプリで使うと開発効率が上がります。
CDN統合のポイント
ほとんどのソリューションはCSSとJSをCDNで読み込めます。導入はリンクタグとスクリプトタグを足すだけで済み、既存のプロジェクトに手早く組み込めます。互換性のあるBootstrapのバージョンを確認してください。
選び方の例
- デザイン重視:MDBootstrap
- 管理画面向け:AdminLTE
- Vueベースのアプリ:Bootstrap Vue
使用目的と既存の技術スタックを照らし合わせて選ぶと導入がスムーズです。
Flatpickr – 代替ソリューション
概要
Flatpickrは軽量で使いやすいJavaScript製の日付ピッカーです。CDN経由で簡単に導入でき、シングル日付や範囲選択、時間選択などを直感的に扱えます。導入がシンプルな点とレスポンスの良さが魅力です。
CDNによる導入例
HTMLにCSSとJSを追加して、入力要素を初期化します。
<link rel="stylesheet" href="https://cdn.jsdelivr.net/npm/flatpickr/dist/flatpickr.min.css">
<script src="https://cdn.jsdelivr.net/npm/flatpickr"></script>
初期化の基本例:
flatpickr('#date', {dateFormat: 'Y-m-d'});
日付範囲とプリセット
範囲選択はmode:’range’で有効化できます。プリセットはボタンからsetDateを呼ぶと簡単です。
flatpickr('#range', {mode: 'range'});
// プリセット例: 過去7日
fp.setDate([startDate, endDate]);
カスタマイズ例
- ロケール変更: locale: Japanese
- 無効日付: disable: [“2025-12-25”]
- 最小/最大日付: minDate/maxDate
アクセシビリティと互換性
キーボード操作やスクリーンリーダー対応の設定があり、Bootstrapと併用できます。CSS調整で見た目を合わせやすいです。
長所と短所
長所: 軽量・速い・設定が豊富。短所: プラグインや拡張はBootstrap専用のDatepickerほど多くない場合があります。
実装は簡単で、特にシンプルなUIを求める場面で有効です。
Formidable Formsの活用
導入と全体の流れ
Formidable Forms(WordPressのフォームプラグイン)にBootstrap Datepickerを組み込むと、ユーザーが直感的に日付を選べます。手順はおおむね次の通りです。
- Formidable Formsをインストールして日付フィールドを作成します。
- Datepicker用のCSS/JSを読み込みます(子テーマのfunctions.phpでwp_enqueueするか、ヘッダー用のスニペットで読み込みます)。
- 日付フィールドに「カスタムCSSクラス」を設定し、そのクラスへDatepickerを初期化するスクリプトを当てます。
実装例(簡易)
フォームの該当フィールドに「my-datepicker」というクラスを付けたとします。JavaScriptは次のように書けます。
jQuery(function($){
$('.my-datepicker').datepicker({
format: 'yyyy-mm-dd',
autoclose: true,
todayHighlight: true,
startDate: new Date(),
datesDisabled: ['2025-12-25','2025-01-01']
});
});
この例ではフォーマットをサーバー処理しやすい「yyyy-mm-dd」に揃え、過去日を選べないようstartDateで制限しています。ブラックアウト(選択不可)の日はdatesDisabledで指定します。
バリデーションと保存
Formidable側でも必須チェックやカスタム検証ができます。サーバーで日付形式を再チェックし、保存前に意図した形式へ変換してください。
応用ポイント
- 条件分岐(特定の選択肢でのみ有効)にはFormidableの表示ルールを使います。
- 複数言語対応が必要なら、Datepickerのロケール設定を追加します。
- プラグインやテーマに既にカレンダー系スクリプトがある場合、競合しやすいので読み込み順と名前空間に注意してください。
上記手順で、見た目と使い勝手の良い日付入力をFormidableに簡単に追加できます。
実装時の注意点
CSSはJavaScriptより先に読み込む
Bootstrap Datepickerは見た目のスタイルにCSSを使います。CSSを後から読み込むと表示が崩れたり、カレンダーが正しく位置決めされなかったりします。基本は内でCSS(BootstrapとdatepickerのCSS)を先に読み込み、その後にJavaScriptを読み込んでください。例: link(CSS)→ script(jQuery)→ script(Bootstrap)→ script(datepicker)。
jQueryへの依存を確認する
多くのDatepicker実装はjQueryを前提とします。プロジェクトでjQueryを使わない場合は、jQuery不要の代替(flatpickrなど)を検討してください。既にjQueryを使う場合はバージョン互換性を確認し、複数回読み込まないように注意します。
名前衝突とセレクタ管理
複数のカレンダーやプラグインを同ページで使うと、クラス名やデータ属性が衝突することがあります。各要素に固有のIDや限定的なセレクタを付け、初期化時に明示的に対象を指定してください。
ブラウザ互換性とアクセシビリティ
主要ブラウザで動作確認を行ってください。キーボード操作やスクリーンリーダーでの利用を考慮して、フォーカス管理やaria属性を設定すると親切です。
テストとデバッグのコツ
コンソールのエラーをまず確認し、スタイル問題はdevtoolsで要素のCSS適用順をチェックします。時間帯やロケール設定が絡む場合は異なる環境で日付の表示を検証してください。












