はじめに
調査の目的
本調査は「サイト構造 解析」に関する情報をわかりやすくまとめたものです。Webサイト全体の構造を正しく把握し、ページの配置や導線を見直すための基礎知識と具体的手法を提供します。ディレクトリマップの重要性や作成手順、Excelでの実例、改善案、SEOに配慮した設計ポイントまで扱います。
なぜ重要か
サイト構造が整っていると、訪問者が目的のページにたどり着きやすくなります。たとえば商品ページや問い合わせページが分かりにくいと、離脱が増えます。構造を可視化するディレクトリマップは、問題点を見つけ改善計画を立てる際に役立ちます。
本書の構成（全8章）
- 第2章: Webサイトの構造とは — 基本概念をやさしく解説します。
- 第3章: ディレクトリマップの重要性 — 実務での利点を紹介します。
- 第4章: ディレクトリマップの作成手順 — 手順を段階ごとに示します。
- 第5章: Excelでの作成方法 — 実際の表を例に説明します。
- 第6章: サイト構造改善の具体例 — 改善前後の比較を示します。
- 第7章: SEOに強い構造の設計ポイント — 検索に有利な考え方を伝えます。
- 第8章: サイト構造解析の実践手順 — 実務で使える手順をまとめます。
読者への期待
担当者や運営者、制作に関わる方が本調査を通じて現状を把握し、具体的な改善に取り組めるようサポートします。次章から順に、実務で使える知識と手順を丁寧に説明していきます。
Webサイトの構造とは
概要
Webサイトの構造は、ページやコンテンツの配置を指します。訪問者が目的の情報にたどり着けるかは、この構造で大きく左右されます。身近な例では「トップページ→カテゴリ→個別ページ」の流れが挙げられます。
階層構造（ツリー型）
階層構造はトップから下層へ枝分かれする形です。例：トップページ→製品一覧→製品詳細。全体像が把握しやすく、初めての訪問者でも道順が分かりやすくなります。
リンク構造（網目型）
リンク構造は関連記事やタグでページをつなげます。例：ブログ記事の「関連記事」やサイト内検索結果。関連性の高い情報へ素早く移動でき、回遊性が高まります。
ユーザー体験と運用面での役割
構造はナビゲーション、内部リンク、パンくずリストなどでサポートします。深すぎる階層や孤立ページ（オーファンページ）は発見性を下げます。したがって、階層は必要以上に深くせず、関連ページは適切に結び付けると良いです。
よくある課題と対策
・階層が深すぎる：重要ページを上位に移動する。
・内部リンクが少ない：関連記事やカテゴリを増やす。
・URL設計が不明瞭：短く分かりやすいパスにする。
これらを意識すると、訪問者も運営側も扱いやすいサイトになります。
ディレクトリマップの重要性
ディレクトリマップとは
ディレクトリマップは、サイト内の全ページやURLを一覧にしたものです。ページの階層やグループを一目で把握できます。紙やExcel、図で表現して可視化します。
ディレクトリマップで見えること
- ページ数の分布（カテゴリごとのページ数など）
- 階層の深さ（トップ→カテゴリ→詳細の深さ）
- URL構造のパターン（例：/products/123 や /blog/2024/ ）
- 重複や抜け漏れ（同じ内容が別URLにある、リンク切れなど）
重要な理由
ディレクトリマップは、サイト改善の出発点です。検索エンジンの巡回（クローリング）効率を高め、ユーザーが目的のページにたどり着きやすくします。運用面では、ページ整理やリダイレクト設計の判断材料になります。
具体的な活用例
- 重複ページを見つけて統合する（例：/product/toaster と /toaster）
- 階層が深すぎるページは短縮して回遊性を上げる
- 新規コンテンツの追加場所を決めやすくする
ディレクトリマップを定期的に更新すると、サイトの整備が進みます。運用者と開発者が同じ地図を持つことで、改善がスムーズになります。
ディレクトリマップの作成手順
はじめに
ディレクトリマップはURLごとの役割と状態を見える化する表です。作成すると重複ページや導線不足が分かり、改善計画を立てやすくなります。
ステップ1：URLの収集と一覧化
サイト内の全URLを抽出し、スプレッドシートに一覧化します。クローラーやサーバーログ、CMSのエクスポート機能を使うと効率的です。
ステップ2：ページタイプの分類
各URLをTOP、カテゴリ、詳細記事、コンバージョン（CV）ページなどに分類します。例：/products/ はカテゴリ、/products/123 は詳細記事という具合です。
ステップ3：記録すべき項目
・ページタイプ
・対象キーワード（対策キーワード）
・想定文字数または現状文字数
・パンくず表示の有無
・公開日／更新日
・内部リンクの有無（内部リンク元）
・主要CTAの有無
これらを1行ごとに記入します。
ステップ4：充実度チェックとスコア化
各項目に点数を付けて充実度を評価します。例：文字数（満点）、内部リンク（満点）、CTA（満点）で合算し、改善優先度を決めます。
ステップ5：問題点の抽出と優先順位付け
スコアが低いページを抽出し、機会損失が大きい順に優先します。CVに近いページや流入量が多いページを先に改善します。
ステップ6：作成フローとツール例
テンプレートを用意し、担当者が更新できる運用フローを決めます。ツールはExcel／Googleスプレッドシート、Screaming Frogなどのクローラーを推奨します。
運用のポイント
更新履歴を残し、定期的に（例：四半期ごと）見直してください。ページタイプ別に改善計画を立てると効果が出やすいです。
Excelでのディレクトリマップ作成方法
概要
Excelでディレクトリマップを作ると、サイト全体を一覧で把握できます。URLやタイトル、ページタイプ、階層レベル、更新日などの列を用意すると運用が楽になります。
列の設計と例
- URL：フルパスを入力します（例：https://example.com/about）。
- ページタイトル：実際の表示タイトルを記載します。
- ページタイプ：トップ、カテゴリ、詳細、ブログなどに分類します。
- 階層レベル：1、2、3のように数値で管理します。
- 更新日・担当者：メンテナンス管理に役立ちます。
階層の表現方法
インデントを使って見た目で階層を示します。例えば階層レベル列を作り、別列でREPT関数（=REPT(” “,B2*2)）などでスペースを入れるとわかりやすくなります。記号（●、–）を先頭に付けても整理しやすいです。
色分けと条件付き書式
重要なページや期限切れのページは色で強調します。条件付き書式で更新日が古い行を自動で赤にするなど、視覚で判断しやすくします。
フィルターと並べ替え
フィルターで特定のページタイプや担当者を抽出できます。階層レベルで並べ替えると、ツリー構造を一時的に確認できます。
保守のコツ
定期的にエクスポートとバックアップを取り、担当者がすぐ更新できるように編集権限を整理してください。Excelのコメント欄に修正履歴を残すと引き継ぎがスムーズです。
サイト構造改善の具体例
はじめに
ディレクトリマップを元に、実際に手を入れると効果が出やすい改善例を具体的に挙げます。例ごとにやること、注意点、目安を示します。
1. 重複コンテンツの統合
やること：類似する複数ページを一つにまとめる。重要な方に残し、他は301リダイレクトするかcanonicalを設定します。
例：同じ商品説明が複数のURLにある場合、一つに統合して古いURLはリダイレクト。
2. 不要ページの削除
やること：アクセスがほとんどなく、価値の低いページを削除または非公開にします。削除前にバックアップとリダイレクト計画を作成します。
目安：過去6ヶ月でアクセス0〜ごく少数のページ。
3. 内部リンク設計の最適化
やること：関連ページ同士を自然につなぎ、重要ページへリンクを集中させます。パンくずや関連投稿を整備すると巡回が改善します。
例：カテゴリーページから重要記事へ3クリック以内で到達できるようにする。
4. URL構造の再設計
やること：分かりやすく短いパスにする。動的パラメータを整理し、意味のあるキーワードを含めます。移行時は必ず301リダイレクトを設定します。
例：/products?id=123 → /products/商品名
5. 階層見直しとページ配置の最適化
やること：深すぎる階層を減らし、重要なコンテンツは上位階層に移動します。カテゴリの分割や統合も検討します。
目安：主要ページはサイトルートから2〜3階層以内に配置。
6. 優先順位の付け方
やること：影響度（トラフィック・収益・クロール頻度）と対応コストで優先順位を決めます。小さな改善は速やかに実行し、大きな構造変更はテスト環境で段階的に展開します。
実行後はアクセスやインデックスの変化をモニタリングし、問題があれば速やかに戻す準備をしておくと安心です。
SEOに強いディレクトリ構造の設計ポイント
概要
SEOに強いディレクトリ構造は、ユーザーと検索エンジンが理解しやすい階層を作ることが基本です。例：example.com/mens/shirts/cottonshirts/ のように大カテゴリ→小カテゴリで整理します。
重要ページは浅く置く
トップページや主要カテゴリ、人気商品ページは階層を浅くします。深すぎるとクロールや評価が届きにくくなるため、できるだけ3階層以内に収めるのが実務的です。
分かりやすいディレクトリ名
短く意味が分かる英単語や日本語ローマ字を使います。スペースは使えないためハイフン（-）で区切ると読みやすいです。例：/mens-shirts/ より /mens/shirts/ の方が論理的です。
一貫した命名と小文字
すべて小文字で統一し、同じ意味のカテゴリは別名を作らないでください。重複URLや類似ページを減らせます。
パンくずと内部リンク
パンくずを設置すると階層構造が明確になり、ユーザーの回遊も増えます。重要ページから下層へ適切にリンクを張ってください。
技術的な注意点
動的パラメータやセッションIDをURLに残さないでください。重複が生じる場合は正規化（canonical）や301リダイレクトで統一します。
キーワードの使い方
URLにキーワードを入れて意味を伝えるとよいですが、詰め込みは避けます。自然で説明的な名前が最も効果的です。
実例
ECサイトなら：/category/subcategory/product-name/。重要ページは /category/ や /category/subcategory/ に配置します。
サイト構造解析のための実践的な手順
1. 目的とターゲットを明確にする
最初に解析の目的（例：流入改善、回遊率向上、重複ページの発見）と対象（全サイト、特定カテゴリ）を定めます。これで優先順位と範囲が決まります。
2. クローリングして全ページを把握する
サイトクローラーで全URLを収集します。例：トップページ→カテゴリ→記事の階層を一覧化します。ExcelやCSVで保存し、ディレクトリマップを作ります。
3. リンク構造を可視化する
内部リンクのつながりを図にします。関連ページがどこで結ばれているか、孤立ページ（リンクが少ないページ）を探します。図は手書きでもツールでも構いません。
4. データを結び付ける
アクセス数、直帰率、掲載キーワードなどの分析データを各ページに紐づけます。問題のある深い階層や訪問が少ない重要ページを見つけやすくなります。
5. 問題発見と優先順位付け
重複、深すぎる階層、リンク不足などをリスト化し、影響度と工数で優先順位を付けます。まずは重要ページの導線改善から着手します。
6. 改善案の設計と検証
内部リンクの追加、カテゴリ再編、パンくず変更など具体案を作成し、A/Bテストや期間を決めて検証します。小さな改善を積み重ねて効果を確認します。
