はじめに
本ドキュメントは、AWSマネジメントコンソールに新たに追加されたマルチセッションサポート機能について、わかりやすく解説します。複数のAWSアカウントやロールに同時にサインインして操作できるこの機能は、日常の作業をシンプルにし、ミスを減らし、作業時間を短縮します。
目的
この章では、本記事全体の目的と読み進める際のポイントをお伝えします。機能の概要を把握したうえで、設定方法や運用上の注意点にスムーズに移れるよう構成しています。
想定する読者
クラウド環境を管理する担当者、開発者、運用チームなど、複数のアカウントを扱う方を想定しています。初心者の方にも理解しやすいよう、専門用語は最小限にし具体例を交えます。
期待できる効果(例)
- 本番と開発のアカウントを同時に確認でき、切替えの手間が減ります。
- ロール切替ミスが減り、安全性が向上します。
- 日常の運用やデバッグが効率化します。
本記事の構成
第2章で機能の詳細、第3章で有効化と設定手順、第4章で実践的な使い方と運用のポイント、第5章でまとめを順に解説します。気軽に読み進めてください。
AWS マネジメントコンソールが複数の AWS アカウントの同時サインインに対応
概要
2025年1月16日に、AWS マネジメントコンソールがマルチセッションをサポートしました。1つのブラウザで最大5つのAWSアカウントやロールに同時サインインできます。これはブラウザ上の複数タブをまたがる煩雑な切り替えを減らす機能です。
サポートされる組み合わせ
- 異なるAWSアカウント同士
- 同一アカウント内の複数IAMロール
- ルートアカウント、フェデレーションロール、IAMロールを任意に組み合わせ
これらを同時に扱えるため、作業ごとに別ブラウザやプロファイルを用意する必要が減ります。
利点(具体例を交えて)
- 作業効率向上:開発アカウント、ステージング、監査用アカウントを同時に開いて比較できます。
- テストや移行が容易:実際の切り替えを最小化して並行検証できます。
- 運用負荷低減:ロール切り替えのクリック回数を減らせます。
注意点
- 最大は5セッションです。超える場合はブラウザプロファイルや別端末を併用してください。
- セッション混在に注意し、どのアカウントで作業しているかを常に確認してください。
- セキュリティ(多要素認証や監査ログ)は従来どおり有効にして運用してください。
利用可能リージョン
全ての商用リージョンで利用可能です。
有効化方法と設定手順
以下は、AWS マネジメントコンソールでマルチセッションサポートを有効にする手順とポイントです。わかりやすく順を追って説明します。
1. コンソールにサインイン
AWS マネジメントコンソールに普段どおりサインインします。組織アカウントや個人アカウントでも同じ手順です。
2. アカウントメニューを開く
画面右上のアカウント名やアイコンをクリックしてアカウントメニューを開きます。メニュー内に「マルチセッションサポートをオンにする」が表示されます。
3. 有効化の選択と確認
「マルチセッションサポートをオンにする」をクリックし、表示される確認ダイアログで再度オンにします。確認操作は誤操作を防ぐためのものです。
4. 有効化後の確認ポイント
- URLに識別子やパラメータの変更が見られる場合があります。これは複数セッションの識別に使われます。
- ページ下部にアカウント管理用のプルダウンが表示され、そこから別アカウントへの切り替えや追加サインインが行えます。
5. 無効化の方法
無効にしたい場合は同じアカウントメニューから「マルチセッションサポートをオフにする」を選び、確認してオフにします。設定はいつでも戻せます。
6. トラブル時の確認事項
- アカウントメニューが見当たらない場合はブラウザの拡張やポップアップブロックを確認してください。
- 組織や管理者が機能を制限している場合は、権限担当者に問い合わせてください。
以上が基本的な有効化と設定手順です。
実践的な使用方法と運用のポイント
概要
マルチセッションを使うと、スイッチロール先が別タブで併存し、最大5つのセッションを同時に操作できます。環境を並べて比較したり、複数アカウントを同時に管理したりする場面で便利です。
日常の使い方(例)
- 開発・検証・本番を同時に確認する:各環境を別タブで開き、設定やログの差をすばやく比べます。
- 障害対応時:影響範囲を別アカウントで並行して調査できます。
セキュリティと権限管理
- 最小権限を設定してください。必要な操作だけ許可するロールを用意します。
- MFAを有効にして、不正アクセスを防ぎます。
- セッション数は最大5なので、長時間の放置は避け、不要になったらタブを閉じます。
モニタリングと運用ルール
- CloudTrailやログで誰がどのロールを使ったかを記録してください。
- 定期的にロール名や説明を見直し、分かりやすくします。
トラブルシュートのポイント
- ロールが表示されない場合:ブラウザのクッキーや拡張機能を確認します。機能がまだ展開されていないユーザーもあります。
- 同名のセッションが混在する場合は、タブごとに役割を明記したブックマークを作ると分かりやすくなります。
運用チェックリスト(簡潔)
- ロールの最小権限化、MFA設定、不要セッションの終了、監査ログの確認
これらを習慣にすると、複数アカウント運用が安全で効率的になります。
まとめ
要点の整理
AWSマルチセッションサポートは、複数のAWSアカウントやロールに同時サインインできる機能です。ブラウザ1つで開発・検証・本番といった環境を並行して操作でき、作業の切り替えが速くなります。
導入のメリット
- 作業効率が上がります(例:開発アカウントで確認しながら本番で修正を行う)。
- ロール切り替えのミスが減ります。ラベルや色分けで識別できます。
設定と運用の簡単な実践
まずは少数ユーザーで試験導入し、セッション名を分かりやすく設定してください。日常はブラウザのタブごとに役割を決めると管理しやすくなります。
注意事項
セキュリティは最優先です。多要素認証(MFA)や最小権限の原則を守り、不要な長時間セッションは避けてください。自動ログアウトや監査ログを有効にすると安心です。
最後に
設定は難しくありません。手順に沿って有効化し、少しずつ運用ルールを整えるだけで、多くの場面でメリットを感じられます。まずは小さなチームで試し、運用を広げてください。












