はじめに
概要
本資料は、Webやクラウドサービスを活用した年末調整業務の効率化に関する調査結果をまとめたものです。主にWeb年末調整の仕組み、主要システムの比較、導入メリットや注意点を分かりやすく解説します。企業が最適なシステムを選定する際の判断材料を提供します。
目的
・年末調整業務の現状と課題を明確にします。
・Web化による効果と注意点を整理します。
・導入検討時に比較すべきポイントを提示します。
対象読者
人事・総務担当者、経理担当者、システム導入を検討する管理職の方を想定しています。ITに詳しくない方にも分かるよう具体例を交えて説明します。
本資料の使い方
各章を順に読むことで、Web年末調整の基礎から導入判断まで一通り把握できます。比較表や導入のポイントは、ベンダー選定や社内説明にそのまま活用できます。
Web年末調整とは
概要
年末調整は従業員の年間所得や各種控除をもとに所得税の過不足を清算する手続きです。従来は紙の書類を配布して回収し、担当者が入力・確認する手間がかかりました。Web年末調整はこの一連の作業をオンラインで完結できる仕組みです。社員はブラウザや専用アプリから申告し、会社は集計・計算・書類作成をシステムで行います。
Web年末調整でできること(具体例)
- 申告書の配布・回収:従業員が自宅から保険料や配偶者情報を入力します。
- 自動計算:入力内容に基づき税額を自動計算します。
- 証憑の添付:保険料の領収書を写真でアップロードできます。
- 修正・差戻し:誤りがある場合、担当者が差し戻して再提出を促せます。
- 帳票出力:源泉徴収票や提出用書類をPDFで出力します。
利用の流れ(簡潔に)
- 会社がシステム上で申告フォームを準備・公開します。
- 従業員がログインして扶養や保険料などを入力・証憑を添付します。
- システムが入力チェックと税額計算を行います。
- 給与担当が確認し、必要なら差戻して修正を依頼します。
- 最終確定後に給与システムへ反映し、書類を出力します。
誰に向くか
人事・経理の負担を減らしたい企業と、手元で簡単に申告したい従業員の双方に向きます。記録が残るため監査対応や保存管理も楽になります。
主なWeb年末調整システムの特徴
SmartHR
- 特徴: AIによる入力チェックと差し戻しの自動化、生命保険料控除証明書の取り込みに対応。
- 具体例: 社員がアップロードした証明書をAIが判別し、足りない項目だけを案内します。人事は確認と承認に集中できます。
レコル
- 特徴: 給与担当から配布・回収・修正までをWebで完結。控除額自動計算とスマホ対応。
- 具体例: スマホで扶養情報を修正すると即座に控除額が再計算され、従業員に確認画面を表示します。
オフィスステーション
- 特徴: 完全ペーパーレス提出、他システムとのAPI連携が可能。
- 具体例: 給与ソフトと連携してデータを自動取り込みし、二重入力を防ぎます。
ハーモス年末調整
- 特徴: 無料プランがあり、質問形式で自動的に申告書を作成。
- 具体例: 質問に答えるだけで従業員用の申告書が生成され、人事は最終確認のみで済みます。
弥生給与 Next
- 特徴: 社内の業務フローに沿った進捗管理、再年末調整(修正対応)に対応。
- 具体例: 修正が発生しても履歴を残しつつ再処理でき、監査対応が楽になります。
Web年末調整のメリット
1. 業務効率化とミス削減
Webで書類の配布・回収・修正を完結できます。従業員が扶養や保険料などを入力すると自動計算で金額が出るため、手計算の誤りを減らせます。例えば、紙の集計に比べて集計作業にかかる時間を大幅に短縮できます。
2. ペーパーレスとコスト削減
印刷や郵送が不要になるため用紙代や郵送費を節約できます。社内の保管スペースも減り、環境負荷の低減にもつながります。
3. 従業員の利便性向上
スマホやPCからいつでも申告できます。通勤途中や自宅で入力できるため、提出忘れを減らせます。入力画面にヘルプや注意書きを付ければ、初めての人でも迷わず申告できます。
4. 管理負担の軽減
提出状況をリアルタイムで確認できます。未提出者への自動リマインドや、差し戻し・修正依頼の通知を自動化すると管理者の手間が減ります。修正履歴も残るため、後から確認しやすくなります。
5. 最新税制への対応と担当者の負担軽減
システム側で税率や控除の改定に対応できるため、担当者が毎年細かい改定を確認・反映する負担を減らせます。安心して運用できます。
導入のポイント・注意点
1. 導入前に確認すること
自社の規模や業務フローに合わせて選びます。例えば、従業員数が少ない会社は簡易な機能で十分です。人事や経理の承認フローが複雑なら、ワークフロー機能が充実した製品を検討します。法改正への対応状況を必ず確認してください。
2. 従業員の利用環境と教育
従業員のITリテラシーや端末環境に配慮します。スマホで入力する人が多ければモバイル対応が必須です。導入時はマニュアルや短い動画を用意し、説明会や問い合わせ窓口を設けると定着します。
3. セキュリティとデータ管理
個人情報を扱うため、アクセス権の設定や通信の暗号化、ログ管理を確認します。バックアップやデータ保存期間の規定も重要です。外部委託する場合は委託先の管理体制をチェックしてください。
4. コストと運用体制
導入費用だけでなく、年間の運用費やサポート費も見積もります。社内で担当者を決め、ベンダーとの連絡窓口を明確にしておきます。初年度は予期せぬ手間が増えるので余裕を持った体制を整えます。
5. 移行とテスト運用
本稼働前に一部の部署でパイロット運用を行い、入力や承認の流れを確認します。紙で管理していたデータの移行は段階的に行い、並行運用期間を設けると安全です。
6. トラブル対応とサポート
障害時の連絡フローや復旧手順を事前に決めておきます。よくある質問をまとめたFAQを用意すると問い合わせが減ります。ベンダーのサポート対応時間や料金を確認してください。












