はじめに
この記事の目的
本記事は、Google Search Console(以下、サーチコンソール)で表示される「リダイレクト」に関するエラーや警告について、わかりやすく解説することを目的とします。意味や原因、検索結果に与える影響、そして具体的な調査・対処の手順までを網羅します。
対象読者
・自分でサイトを運営している個人や中小企業の担当者
・Web担当になったばかりで、サーチコンソールの警告が気になる方
・開発者や外注先に状況を正確に伝えたい方
本記事の読み方
第2章以降で「リダイレクトの種類」「よくあるエラーと原因」「調査・修正方法」などを順に説明します。技術的な用語は最小限に抑え、具体例を挙げて説明しますので、段階を追って読んでください。
注意点
本記事は一般的な解説を目的とします。個別のサイト構成やサーバー設定により対処法が変わる場合があります。その際はエラー内容を示して専門家に相談してください。
サーチコンソールの「リダイレクト」エラー・警告とは
概要
Google Search Console(以下GSC)は、サイトをクロールした際にリダイレクトがあると通知します。主に「ページにリダイレクトがあります」(警告)と「リダイレクトエラー」(エラー)の二種類です。
何を示すか
- 「ページにリダイレクトがあります」: 指定したURLが別のURLへ転送されていることを示す警告です。意図的な転送(例: 古いページ→新しいページ)なら問題ありません。意図しない転送はユーザーや検索エンジンに悪影響を与えます。
- 「リダイレクトエラー」: リダイレクト設定に問題があり、Googleがアクセスやインデックス登録を完了できなかったことを示します。
具体例
例: example.com/old が 301 で example.com/new に飛ぶのは警告でOK。だが無限ループや転送先が存在しない場合はエラーになります。
なぜ放置してはいけないか
インデックスされない、検索順位に影響する、ユーザーがページを見られないなどの問題が起きます。まずはGSCの該当URLを確認し、意図的かどうかを判断してください。ブラウザでの確認やURL検査ツールの利用が次の一歩です。
リダイレクトの種類と検索エンジンへの影響
概要
リダイレクトは主に「恒久的な移転(301)」と「一時的な移転(302)」に分かれます。用途を正しく使い分けることで検索エンジンの評価を保てます。
主なリダイレクトの種類
- 301(恒久的): URLを永久に変更したときに使います。検索エンジンは元URLの評価を新URLへ引き継ぎます。例: example.com/old → example.com/new(301)。
- 302(一時的): 一時的な移転やテスト用に使います。基本的に元URLの評価は移りません。例: キャンペーンページの一時切替。
- その他: 307やmeta refresh、JavaScriptリダイレクトもあります。サーバー側の301/302が最も確実です。
検索エンジンへの影響
- 301はリンク評価やインデックス移行に有利です。長期的な移転は301が適切です。
- 302を誤用すると評価が分散したり、旧URLがインデックスされたままになることがあります。
- リダイレクトチェーン(複数回の転送)はクロールコストを増やし、評価が薄れる原因になります。
- ループや無限リダイレクトはインデックス失敗やユーザーの閲覧不能を招きます。
確認と対処のポイント
- 恒久的移転は301で設定する。短期は302を使う。
- curlやブラウザのデベロッパーツールで実際のHTTPステータスと遷移を確認する。
- チェーンを短くし、最終URLへ直接向ける。
- クライアント側のリダイレクトはSEO上不利になる場合があるためサーバー設定を優先する。
サーチコンソールで出るリダイレクト関連の主なエラーと原因
よく見るエラー一覧
- リダイレクトチェーンが長すぎる
- 意味:A→B→Cのように複数回転送が続く状態です。例:旧ページ→中間ページ→最終ページ。
-
原因:古いリダイレクトを残したまま新しい設定を追加した、CMSのプラグインや.htaccessの重複ルール。
-
リダイレクトループ
- 意味:A→B→Aと無限に繰り返される状態です。ユーザーやGooglebotが目的地にたどり着けません。
-
原因:誤った条件分岐、wwwと非wwwの強制、HTTPSリダイレクト設定ミス。
-
リダイレクト先のURLが長すぎる
- 意味:Googleが許容する長さを超える極端に長いURLへ飛ばしている場合です。
-
原因:不要なクエリパラメータの付加、自動生成された長いパス。
-
不正または空のURLへのリダイレクト
- 意味:存在しないパスや空のURL(例:””や”/null”)に転送される状態です。
- 原因:テンプレートやスクリプトのバグ、データベースの値が空。
共通の影響と見つけ方
- 影響:Googlebotがクロールを中断し、インデックス登録や検索順位に悪影響を及ぼします。ユーザーはページを読み込めず離脱します。
- 見つけ方:サーチコンソールの検出レポートやURL検査でエラー表示を確認し、実際にブラウザで遷移を追うと原因が分かりやすいです。
まとめ代わりの注意点(作業前のチェック)
- まずリダイレクトの最終到達先を確認する。2. 不要な中間リダイレクトを削除する。3. ループや空URLはテンプレートやサーバ設定を優先して点検してください。
第5章: エラー・警告発生時の具体的な調査・対処法
初めに行う確認
まずそのリダイレクトが意図的かどうかを確認します。例えば「/old-page」から「/new-page」へ移行しているなら意図的です。意図がない場合は不要なリダイレクトとして扱います。
基本の調査手順(手を動かす順)
- URL検査:Search ConsoleのURL検査で問題のURLを調べます。どのステータスが返るかを確認します。
- 実際の応答を確認:ブラウザの開発者ツールのNetworkタブ、または curl -I https://example.com/old-page でステータスとLocationヘッダを見ます。例:HTTP/1.1 301 Moved Permanently
- チェーンとループの検出:curl -I -Lやオンラインのリダイレクトチェッカで途中のステップを確認します。複数回転送される場合はチェーン、元に戻る場合はループです。
修正の具体例
- ステータスの使い分け:恒久移転なら301、短期なら302を使います。誤って302を使っているならサーバー設定(nginxのreturn/redirect、.htaccessのRewriteRuleなど)で301に修正します。
- チェーンの短縮:A→B→Cのような場合はAを直接Cにリダイレクトするよう設定します。
- ループの解消:設定ファイルの条件を見直し、相互リダイレクトになっているルールを削除します。
サイト内の更新とSearch Consoleへの対応
サイトマップ、内部リンク、CMSの設定を新しいURLに更新します。更新後はSearch Consoleで「インデックス登録をリクエスト」してGoogleに再確認を依頼します。
再検証と注意点
修正後に再テストを行い、ステータスとLocationが期待どおりか確認します。外部サイトからのリンクやキャッシュで古いリダイレクトが残る場合があるので、反映まで数日かかることを説明しておきます。
推奨ツール(例)
- curl(コマンドライン)
- ブラウザ開発者ツールのNetwork
- オンラインのリダイレクトチェッカー
- Screaming Frogなどのクロールツール
- Google Search ConsoleのURL検査
実際に順を追って調べると問題箇所が明確になります。落ち着いて一つずつ潰していきましょう。
意図しないリダイレクトが出る場合の注意点
症状の確認
まず表示されるメッセージと実際の挙動を比べます。ブラウザでページを開いたときの遷移先、ステータスコード(例: 301, 302)を確認してください。ブラウザのキャッシュや拡張機能で誤判定することがあるので、シークレットモードや別の端末でも試します。
原因となりやすいポイント
- サーバーやCDN側の自動設定(例: ドメインの統一設定)
- CMSプラグインやテーマによる自動リダイレクト
- SSL化の際の設定ミス(http→https の二重リダイレクト)
- .htaccess やサーバーのリライトルールの誤配置
調査の手順
1) サーバーログを確認し、どの時点でリダイレクトが発生しているか特定します。
2) .htaccess や nginx 設定、CDNのルールを順に無効化して再現を試します。
3) プラグインは一時的に無効化し、問題が消えるか確認します。
4) curl -I コマンドなどでヘッダーを直接確認します(例: curl -I https://example.com)。
対応のヒント
- 一度に多くを変更せず、1つずつ確認します。誤った設定を戻しやすくなります。
- 301と302を使い分けて、恒久的な移動は301を選びます。
専門家に相談する目安
ログを見ても原因がわからない、またはサーバー設定に不安がある場合は、ホスティング会社か開発者に相談してください。早めに対応すると検索エンジン上の影響を抑えられます。
SEOに与える影響とベストプラクティス
リダイレクトがSEOに与える主な影響
リダイレクトを正しく使うと、評価を引き継げます。たとえば古いURLを新しいURLへ301リダイレクトすると、検索順位や被リンク価値をほぼ移せます。一方で長いリダイレクトチェーンや不要なリダイレクトは評価の分散やクロール効率の低下を招き、インデックスされにくくなることがあります。
基本のベストプラクティス
- 可能な限り301リダイレクトを使う(恒久的な移転)。
- リダイレクトは短くシンプルに。直接新しい最終URLへ飛ばす。
- ループやチェーンを避け、サーバー設定で管理する。
チェックと運用のポイント
- サーチコンソールで定期的にエラーを確認する。
- リダイレクトを実装したら実際にブラウザやcurlで挙動を確認する。
- サイトマップや内部リンクは可能な限り最終URLを指すように更新する。
よくある誤りと簡単な対処例
- 302を誤って使う:一時的に残したい場合以外は301にする。
- チェーン:A→B→CではなくA→Cにする。
- 不要なリダイレクト:内部リンクやメニューを直接更新して削除する。
日常的に確認と整理を行えば、リダイレクトはSEO改善とユーザー体験向上に役立ちます。
まとめ
サーチコンソールでリダイレクト関連のエラーや警告が出たら、まず「そのリダイレクトが意図したものか」「実際の経路はどうか」を確認してください。多くの問題はリダイレクトのチェーン(A→B→C)やループ、URLのタイプミスやプロトコル違い(http/https、末尾スラッシュの有無)に起因します。意図しない経路があれば、最短で直接目的のURLへリダイレクトするよう修正します(例:A→Cへ1回の301にする)。
具体的には次を実行します。
- 意図確認:対象ページが恒久的に移動したなら301、一時的なら302を使います。
- 調査:Search ConsoleのURL検査やcurl、オンラインのリダイレクトチェッカーで経路を確認します。
- 修正:サーバー設定やアプリ側でチェーン・ループ・誤った相対パスを直します。メタリフレッシュは避けます。
- 検証:修正後に再検査リクエストを出し、Search Consoleで問題が解消されたか確認します。
適切なリダイレクト管理は検索結果の評価とユーザー体験を守ります。小さな見直しで大きな効果が期待できますので、定期的にチェックしてください。












