初心者向けにわかりやすく解説するwebのview2とは何か

目次

はじめに

目的

本ドキュメントは、MicrosoftのWebView2について分かりやすく紹介します。Windowsデスクトップアプリに最新のWeb技術を組み込む方法や、その利点、導入時の注意点を整理します。開発の方向性を決める参考にしてください。

対象読者

デスクトップアプリを開発するエンジニアや技術担当者、プロジェクトマネージャーを想定しています。Web技術を既存アプリへ組み込みたい方や、ブラウザ機能を内蔵したアプリを検討する方に役立ちます。

本書で扱う内容

  • WebView2の概要と仕組み(ChromiumベースのMicrosoft Edgeエンジンを利用)
  • 従来のWebViewとの違いとメリット
  • 主な利用例と導入事例
  • 開発者向けAPIと機能
  • 導入時の注意点
    各章で具体例を示し、実際の検討や設計に役立つ情報を提供します。

読み方の目安

まず第2章で基本を押さし、第4章以降でメリットや具体的な使い方を参照してください。実装に進む場合は第6章のAPI説明を中心に読み進めると効率的です。

WebView2とは何か

概要

WebView2は、MicrosoftのChromiumベースのEdgeエンジンを使って、Windowsデスクトップアプリの中にWebコンテンツ(HTML/CSS/JavaScript)を組み込んで表示するためのコントロールです。従来のInternet Explorerベースの仕組みの後継で、より現代的なWeb技術に対応しています。

何ができるか

  • アプリ内でWebページやSPA(シングルページアプリ)をレンダリングできます。
  • ローカルのHTMLを表示したり、外部サイトを埋め込んだりできます。
  • JavaScriptとネイティブコード(C#やC++)で相互通信できます。たとえば、ボタン操作でネイティブ処理を呼び出したり、逆にネイティブから画面更新を通知したりできます。

対応環境と配布

.NET(WPF/WinForms)、WinUI 3、C++など複数の開発環境から利用できます。実行環境の配布方法は主に2種類あり、自動的に最新を使う方法と、特定バージョンを同梱する方法があります。用途に合わせて選べます。

利用シーンの具体例

帳票表示、ヘルプ画面、管理画面の埋め込み、既存Web資産の再利用など、GUIとWebを組み合わせたい場面で活躍します。

従来のWebViewとの違い

ベースエンジンの違い

従来のWebViewは主にInternet Explorer(IE)やEdgeHTMLを基にしていました。一方、WebView2はChromium(Google Chromeの基盤)を使います。つまり、描画やJavaScriptの実行方法が根本から違い、最新のブラウザ機能をそのまま利用できます。

対応する環境と想定用途

従来のWebViewはモバイルや古いWindows環境向けに使われることが多く、OSの更新に依存しました。WebView2は主にWindowsデスクトップアプリ向けで、デスクトップでのリッチなUI統合を想定しています。

ランタイムの更新方法

従来はOSやアプリの更新でWeb表示の改善を行います。WebView2はEvergreenモデルを採用し、ランタイムが自動更新されます。これにより最新のセキュリティ修正や機能をユーザーに素早く届けられます。

Web標準と互換性

WebView2はHTML5、CSS3、ES6以降のJavaScriptなど現代のWeb技術を広くサポートします。従来のWebViewでは最新のレイアウトやAPIが動かないことがあり、表示崩れや機能制限が起きる場合があります。

ネイティブ連携と制御

WebView2はホストアプリと細かく連携できます。例えば、JavaScriptからネイティブ機能を呼び出したり、ネイティブ側でページを制御したりできます。従来のWebViewではこの連携が限定的で、実装が複雑になりがちでした。

実際の違い(具体例)

  • モダンなシングルページアプリ(SPA)がスムーズに動く
  • CSS Gridや新しいアニメーションが正しく表示される
  • ランタイムの自動更新でセキュリティリスクを低減できる

これらにより、開発者は最新のWeb体験をデスクトップアプリに取り入れやすくなります。

WebView2の特徴とメリット

概要

WebView2は、Chromiumベースのブラウザーエンジンをアプリ内に組み込む仕組みです。これにより、モダンなWeb技術(HTML/CSS/JavaScript)で作った画面や機能を、デスクトップアプリの一部として自然に動かせます。

主な特徴

  • Chromium準拠:最新のレンダリングや標準機能に対応します。例:動画再生やモダンなレイアウトがそのまま動く。
  • 組み込みAPI:アプリ側からページの操作やデータ受け取りが可能です。例:ボタン押下でJavaScriptを実行し、結果を受け取る。
  • セキュリティ分離:Webコンテンツを隔離して安全に表示できます。
  • ネイティブ連携:ファイル操作やOS機能と橋渡しできます。

利用上のメリット(具体例を含む)

  • 最新Web技術の活用:社内のWebアプリをそのまま埋め込み、更新はサーバー側で行えます。例:社内ポータルをアプリに取り込み、即時反映。
  • UIの一体化と機能拡張:ネイティブUIとWeb画面を違和感なく混在させられます。例:設定画面はWeb、メニューはネイティブ。
  • セキュアな実行環境:外部コンテンツを隔離して読み込み、権限を限定できます。例:外部広告をサンドボックスで表示。
  • ネイティブ機能との連携が容易:カメラやファイル選択などをWebから呼び出せます。例:Web画面からファイルを選んでローカル保存。
  • メンテナンス性の向上:Web側を更新すれば多くのUI変更に対応でき、リリース工数を減らせます。

補足(導入判断のヒント)

既存のWeb資産を活かしたい、UIを短期間で改善したい、ネイティブとWebを組み合わせた機能が必要な場合に有効です。技術的な要件や配布方法を確認してから導入を検討してください。

WebView2の主な利用例・導入事例

大手製品での採用例

  • Microsoft Teams、Office(Office 365)、Visual Studio、Outlook、Microsoft To Doなどで採用されています。これらは、Web技術で作ったUIやヘルプ、設定画面をネイティブアプリに組み込むためにWebView2を利用しています。例えばTeamsはチャットの一部や設定画面をWebでレンダリングしています。

サードパーティ製アプリの事例

  • DiscordやSpotify、Adobe Creative Cloudなどでも使用例があります。ログイン画面や設定、プラグインのUI、コンテンツプレビューにWebView2を使うことで、開発者は既存のWeb資産を活用できます。

クロスプラットフォーム開発での活用

  • .NET MAUIやWinUI 3などでは、Windows向けの表示部分にWebView2を組み込み、他プラットフォームでは別のWebコンポーネントを使う設計が増えています。共有ロジックはそのままに、UIだけWeb技術で作ることが可能です。

よくある利用パターン

  • 認証フロー(OAuth等)の表示
  • ヘルプやマニュアルの埋め込み
  • ダッシュボードやリッチな設定画面
  • プラグインや拡張機能のサンドボックス表示
    これらの事例は、既存のWeb資産を効率よくデスクトップアプリに統合したい場合に特に有効です。

WebView2のAPIと開発者向け機能

概要

WebView2のAPIは大きくEnvironment、Controller、Coreの三つに分かれます。環境作成やランタイムの指定はEnvironment、ウィンドウやレイアウト制御はController、DOM操作やJavaScript実行、通信はCoreが担当します。アプリ側からWeb表示を細かく操作できます。

主要クラスと役割

  • Environment:ランタイムのパス指定やプロファイル保存先を設定します。例)テスト用に別プロファイルを作る。
  • Controller:ウィンドウにWebViewを埋め込み、サイズや可視状態を制御します。例)ウィンドウリサイズ時に表示を調整。
  • Core:DOMアクセス、ExecuteScriptAsyncでJSを実行、WebMessageReceivedで双方向通信を受け取ります。Cookieや権限管理のAPIもここにあります。

よく使う操作の具体例

  • 初期化:CreateCoreWebView2EnvironmentAsync→CreateCoreWebView2Controller
  • ナビゲーション:CoreWebView2.Navigate(“https://…”)
  • JS実行:var result = await CoreWebView2.ExecuteScriptAsync(“document.title”) → タイトル取得
  • 双方向通信:ページ側でwindow.chrome.webview.postMessage(…)、アプリ側でWebMessageReceivedイベントで受信
  • 権限制御:PermissionRequestedイベントでカメラや位置情報の許可を判断

開発者向け便利機能

  • DevToolsを開いてデバッグ可能
  • Cookieやストレージをプログラムで操作
  • Zoomやレンダリング設定で表示を細かく調整

開発時の注意点

APIは非同期が多くUIスレッドと非同期呼び出しの扱いに注意してください。ネイティブとJS間で渡すデータはシリアライズして安全に扱うと安定します。

WebView2導入時の注意点とまとめ

ランタイム確認と配布

WebView2は別途ランタイムが必要です。利用環境にランタイムがないとアプリが正しく動きません。起動時に存在をチェックし、見つからなければ自動インストールか案内を行う仕組みを用意してください。オフライン環境では、必要なインストーラーを同梱する方法が安全です。

クロスプラットフォームの制約

WebView2はWindows専用です。MacやLinuxでは動作しません。複数OSを対象にする場合は、ElectronやネイティブのWebコンポーネントと併用するなど代替手段を検討してください。

コンポーネント管理と削除

WebView2マネージャーやランタイムのバージョン管理を計画してください。不要になったときのアンインストール手順や、企業配布時のポリシーも決めておきます。管理者権限が必要な配布方法や、ユーザー単位での導入違いに注意してください。

運用上の注意点

セキュリティ設定や自動更新の方針を決め、テスト環境で事前検証してください。Webコンテンツの権限や外部通信の制御、クラッシュ時のフォールバック動作も用意すると安全です。

最後に、WebView2はWindowsアプリに最新のWeb体験を簡単に統合できる強力な技術です。導入前に配布方法・対応OS・運用ルールを整理し、スムーズに展開してください。

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