はじめに
ここでは、WebサイトやWebアプリケーションのフォームで日付や日時を入力させる際に役立つ「datetimepicker(日時ピッカー)」について、特にCDN経由で手軽に導入できるプラグインに焦点を当てて解説します。
なぜ日時ピッカーが必要か
カレンダー型の入力を用いると、ユーザーは入力ミスを減らせます。視覚的に日付を選べるため直感的で、入力欄に自由な文字列を書く必要がなくなります。アクセシビリティやモバイル操作性も向上します。
CDNで導入する利点
CDNを使うと、ファイルを自分で配布せずに読み込めるため導入が速くなります。最新バージョンやキャッシュの恩恵も受けやすく、サーバー負荷を抑えられます。軽量なものは初期表示や応答も速くなります。
本書で扱う内容
代表的なCDN対応プラグイン(flatpickr、jQuery UI Datepickerなど)の比較、flatpickrの具体的な導入手順、WordPressなどへの組み込み例、用途別の選び方を順に説明します。これから実装に進む際の道しるべとしてお読みください。
主要なCDN対応datetimepickerプラグインの比較
以下は代表的なCDN対応datetimepickerプラグインの比較表です。日本語対応やモバイル対応、カスタマイズ性、依存ライブラリ、主な特徴をまとめました。
| プラグイン | 日本語対応 | モバイル対応 | カスタマイズ性 | 依存ライブラリ | 主な特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| jQuery UI Datepicker | あり(ロケール) | 部分対応 | 中 | jQuery | 歴史ある安定版。フォーム向け基本機能。 |
| flatpickr | あり(ロケール) | 良好 | 高 | なし(軽量) | 高機能で拡張性が高い。時間選択や範囲選択が得意。 |
| Pikaday | 一部(ロケール) | 良好 | 中 | moment.js(任意) | シンプルで使いやすい。日付選択に特化。 |
| Litepicker | あり | 良好 | 中〜高 | なし(オプションでmoment等) | デザイン性が高く範囲選択に強い。 |
| Air Datepicker | あり | 部分対応 | 高 | jQuery(軽量) | カスタム表示や多言語対応が充実。プラグイン豊富。 |
各プラグインの簡単な説明:
– jQuery UI Datepicker:古くから使われておりフォームとの親和性が高いです。カスタムは可能ですが、最新設計の機能は少なめです。
– flatpickr:軽く高速で、モバイル操作も考慮されています。プラグインやオプションで見た目や機能を細かく変えられます。
– Pikaday:最小限の機能で十分な場合に向きます。moment.jsを組み合わせると柔軟になります。
– Litepicker:モダンなUIで範囲選択がやりやすいです。デザイン重視のサイトに向きます。
– Air Datepicker:多彩な表示オプションとロケール対応が強みです。jQueryベースですが導入は簡単です。
用途別の選び方の目安:
– シンプルで互換性重視:jQuery UI
– 高機能かつ軽量:flatpickr
– 最小構成で素早く導入:Pikaday
– デザイン・範囲選択重視:Litepicker
– 多機能でカスタム豊富:Air Datepicker
次章ではflatpickrのCDN導入手順とサンプルコードを丁寧に解説します。
flatpickrのCDN導入手順とサンプルコード
概要
flatpickrはCSSとJSをCDNで読み込むだけで使えます。日本語対応、日時フォーマットの変更、最小日付指定など柔軟に設定できます。以下はすぐ使える手順とサンプルです。
CDNで読み込む(例:jsDelivr)
基本のHTMLと初期化(日付のみ)
document.addEventListener(‘DOMContentLoaded’, function(){
flatpickr(‘#date’, {
dateFormat: ‘Y-m-d’,
locale: ‘ja’
});
});
時間を含む例(24時間表記)
flatpickr(‘#datetime’, {
enableTime: true,
time_24hr: true,
dateFormat: ‘Y-m-d H:i’,
locale: ‘ja’
});
最小日付・範囲選択・無効化の例
flatpickr(‘#date’, {
minDate: ‘today’, // 今日以降のみ
mode: ‘range’, // 範囲選択
disable: [“2025-01-01”] // 個別日付の無効化
});
実装のコツ
- DOM読み込み後に初期化してください。CSSが先に読み込まれていると見た目が崩れません。
- 複数のフィールドがある場合はクラスでまとめて初期化できます。
- バージョン違いでオプション名が変わることがあるため、使用するflatpickrのドキュメントを参照してください。
すぐ導入できる最小構成を示しました。用途に合わせてオプションを追加して使ってください。
WordPressやCMSへの組込み例
概要
WordPressなどのCMSでは、テーマのfunctions.phpやプラグインからflatpickrのCDNを読み込み、JavaScriptで初期化するだけで使えます。ここでは読み込み方法、ショートコード例、初期化・カスタマイズ、バリデーションを紹介します。
functions.phpでの読み込み例
function enqueue_flatpickr(){
wp_enqueue_style('flatpickr-css','https://cdn.jsdelivr.net/npm/flatpickr/dist/flatpickr.min.css',[],null);
wp_enqueue_script('flatpickr-js','https://cdn.jsdelivr.net/npm/flatpickr',[],null,true);
wp_enqueue_script('flatpickr-init', get_template_directory_uri().'/js/flatpickr-init.js', ['flatpickr-js'], null, true);
}
add_action('wp_enqueue_scripts','enqueue_flatpickr');
管理画面用ならadmin_enqueue_scriptsを使います。
ショートコード/テンプレート挿入例
function fp_input_shortcode($atts){
$a = shortcode_atts(['class'=>'datetimepicker'],$atts);
return '<input type="text" class="'.esc_attr($a['class']).'">';
}
add_shortcode('datetimepicker','fp_input_shortcode');
JavaScript初期化とカスタマイズ(例:js/flatpickr-init.js)
document.addEventListener('DOMContentLoaded',function(){
flatpickr('.datetimepicker',{ enableTime:true, dateFormat:'Y-m-d H:i', locale:'ja', minDate:'today' });
});
日本語化はflatpickrのlocaleファイルをCDNで読み込んでlocale:’ja’を指定します。
バリデーション例
- クライアント側: onChangeやonCloseで過去日や営業時間外を弾く処理を追加します。
- サーバー側(PHP): フォーム送信時にDateTimeで検証し、不正ならエラーを返します。例:
$date = sanitize_text_field($_POST['date']);
$dt = DateTime::createFromFormat('Y-m-d H:i',$date);
if(!$dt || $dt < new DateTime('today')){ wp_die('無効な日時です'); }
補足
- プラグインやテーマのキャッシュ対策でバージョン指定を行うと便利です。
- ブロックエディターやビルダー利用時は、それぞれのスクリプト登録方法に合わせて読み込んでください。
他のCDN対応datetimepickerプラグイン
ここでは、CDNで手軽に導入できる代表的なdatetimepickerプラグインを使い分けの観点から紹介します。各プラグインの特徴、導入のポイント、簡単な初期化例を示します。
jQuery UI Datepicker
- 特徴: 古くから安定して使われる日付ピッカーで、jQueryに依存します。保守中の既存案件や広範なブラウザ互換が必要な場合に向きます。
- 導入: jQueryとjQuery UIのCSS/JSをCDNから読み込みます。
- 初期化例: $(“#date”).datepicker();
Bootstrap Datepicker
- 特徴: Bootstrapベースの見た目でUIに馴染ませやすいです。フォームと統一したデザインが必要なときに便利です。
- 導入: BootstrapのCSS/JSとdatepickerのCDNを読み込みます。
- 初期化例: $(‘#date’).datepicker({format: ‘yyyy-mm-dd’});
Litepicker
- 特徴: 依存関係が少なく軽量でモダンなUIを持ちます。範囲選択やモバイル表示を重視するプロジェクトに適します。
- 導入: CSS/JSをCDNから読み込み、JSでインスタンス化します。
- 初期化例: new Litepicker({ element: document.getElementById(‘date’), singleMode: false });
Air Datepicker
- 特徴: カスタマイズ性と多言語対応が強みで、軽量かつ使いやすいUIを提供します。ローカライズが必要な場合に便利です。
- 導入: CDNでCSS/JSを読み込み、new AirDatepicker(‘#date’, { range: true }); のように使います。
選択のコツ: 既存の技術スタック(jQueryやBootstrap)に合わせると導入が速くなります。新規開発で軽快さやモダンな見た目を優先するならLitepickerやAir Datepickerを検討してください。
まとめ・用途別の選び方
概要
軽量で高機能かつ日本語対応が必要なら、flatpickrが最もおすすめです。既存のjQueryプロジェクトにはjQuery UI DatepickerやAir Datepickerが適しています。Bootstrapを使うサイトにはBootstrap Datepickerが向いています。CDN経由ならHTMLに数行追記するだけで導入できます。
用途別の選び方(短く)
- 軽さとカスタマイズ重視:flatpickr(テーマ・オプションが豊富、日時や範囲選択も対応)
- 既存のjQuery環境:jQuery UI Datepicker、Air Datepicker(互換性が高く導入が簡単)
- Bootstrapサイトと統一したい:Bootstrap Datepicker(見た目が自然に馴染む)
- 多言語対応・日本語:flatpickrが設定やロケールファイルで対応が容易
導入時のポイント
- 最初に必要な機能(日時・時間・範囲・多言語)を明確にする
- CDNならとを追加するだけで試せる
- デザイン統一が重要なら、テーマやCSS調整を優先する
- アクセシビリティやキーボード操作の確認も忘れずに
用途に合わせて優先度を決めれば、導入後の手間を少なくできます。flatpickrは汎用性が高くバランスに優れるため、初めてならまず試す価値があります。
参考実装例(flatpickrで日時ピッカー)
概要
flatpickrをCDNで読み込み、enableTimeをtrueに設定することで日時ピッカーを簡単に実装できます。ここでは最小構成のHTMLとJavaScript例を示します。
CDN読み込み(例)
HTML
JavaScript(初期化)
flatpickr(“#datetime”, {
enableTime: true,
dateFormat: “Y-m-d H:i”,
time_24hr: true,
minuteIncrement: 1,
locale: “ja” // 日本語化する場合
});
// 値の取得
// const value = document.getElementById(‘datetime’).value;
補足
- dateFormatで表示と送信の形式を統一できます。
- time_24hrをfalseにすると12時間表記になります。
- サーバ送信時は value をそのまま扱うか、必要に応じてISO形式に変換してください。












