AWSで学ぶwebサーバー構築の基本と応用完全ガイド

目次

はじめに

本ドキュメントは、AWS(Amazon Web Services)を利用してWebサーバーを構築する際に必要な基本知識と実践的な手順、運用上のポイントをわかりやすくまとめた入門ガイドです。主にAmazon EC2とAmazon Lightsailの特徴や違い、具体的な構築手順、メリットと注意点を扱います。初心者から中級者の技術者が読みやすいように、専門用語は最小限にし、具体例を交えて説明します。

本書の目的

  • AWSで実際にWebサーバーを立て、公開・運用できるようにすること
  • EC2とLightsailの使い分けを理解し、目的に合った選択ができること
  • 運用時の代表的な注意点を把握してトラブルを減らすこと

(例)静的な会社サイトを安く公開したい、あるいはWordPressでブログを運用したい、といった用途に対応します。

対象読者

  • クラウドでサーバーを初めて立てる方
  • 既にサーバー運用の経験があり、AWSでの最適な構成を知りたい方

本書の構成(全7章・概要)

  • 第2章:AWSでの主な構築方法(比較)
  • 第3章:EC2での具体的な構築手順
  • 第4章:Lightsailの特徴と手順
  • 第5章:AWSで構築するメリット
  • 第6章:運用時の注意点
  • 第7章:まとめ

前提と準備

基本的なパソコン操作とインターネットの知識があれば進められます。AWSアカウントを用意し、後の章ではSSHキーや簡単なコマンドを使います。SSHは遠隔でサーバーに接続するための方法で、手順で丁寧に説明します。

AWSでWebサーバーを構築する主な方法

概要

AWSでWebサーバーを作る主な手段は、Amazon EC2とAmazon Lightsailの二つです。用途や予算、運用の手間に応じて使い分けます。

Amazon EC2(自由度が高い)

  • 特徴:OSやソフトの細かい設定ができ、ネットワークやストレージも柔軟に構成できます。大規模サイトや高負荷のサービス向けです。
  • 利点:必要に応じてサーバー性能を上げ下げでき、オートスケールやロードバランサーなど高度な構成が可能です。
  • 注意点:設定や運用が手間です。セキュリティやバックアップも自分で設計します。

Amazon Lightsail(簡単に始められる)

  • 特徴:ワンクリックでサーバーやWordPressなどを立ち上げられます。固定料金のプランが分かりやすいです。
  • 利点:初心者でも短時間でサイトを公開できます。小規模サイトや検証用途に向きます。
  • 注意点:高度なカスタマイズや大規模なスケールには向きません。

比較のポイントと選び方の目安

  • 手間をかけずに始めたい:Lightsail
  • 高い柔軟性や拡張性が必要:EC2
  • 料金体系:Lightsailは月額プラン、EC2は実行時間やリソースで課金(長期運用なら割引もあり)
  • 運用管理:EC2は知識や作業が必要、Lightsailは運用負担が小さい

目的(ブログ・社内検証/小規模サービス/商用大規模)とスキルを照らし合わせて選ぶと良いです。

AWSでWebサーバーを構築する具体的な手順(EC2の場合)

はじめに

ここではEC2を使った代表的な手順を、初心者にも分かりやすく順を追って説明します。実際の操作はAWSコンソールから行います。

ステップ1: AWSアカウント作成・サインイン

アカウントを作り、管理コンソールにサインインします。請求情報が必要です。

ステップ2: VPCとサブネットの準備

VPCは自分専用のネットワークです。デフォルトのVPCを使えば簡単です。サブネットは公開用(インターネット接続可)を選びます。

ステップ3: インターネットゲートウェイとルート設定

インターネットゲートウェイをアタッチし、ルートテーブルで0.0.0.0/0をゲートウェイへ向けます。これで外部と通信できます。

ステップ4: セキュリティグループ設定

HTTP(80)、HTTPS(443)、SSH(22)を許可します。アクセス元は必要最低限に絞ると安全です(例: 自分のIPだけSSH許可)。

ステップ5: EC2インスタンス作成

OS(例: Amazon Linux 2やUbuntu)、インスタンスタイプ、ストレージ、キーペア(SSH接続用)を設定して起動します。

ステップ6: サーバーへログインとWebソフト導入

SSHで接続後、パッケージを更新してApacheやNginxを入れます。例: Ubuntuなら
sudo apt update && sudo apt install nginx -y
サービスを有効化して起動します。

ステップ7: 独自ドメイン・ロードバランサー(任意)

独自ドメインはRoute53などでAレコードを作成します。負荷分散や冗長化が必要ならELB(ロードバランサー)を追加します。

ステップ8: 動作確認

ブラウザでパブリックIPまたはドメインにアクセスし、ウェルカムページが表示されるか確認します。ログやファイアウォールもチェックしてください。

LightsailによるWebサーバー構築の特徴と手順

概要

Amazon Lightsailは手軽さを重視したサービスです。管理画面でプランを選び、WordPressなどのアプリをワンクリックで入れられます。初期設定の多くが自動化されるので、初心者でも迷わず進められます。

主な特徴

  • ワンクリックでアプリ導入(例:WordPress、LAMP)。
  • 月額固定の料金プランで費用が分かりやすい。
  • 固定IP割当やDNS管理、スナップショットなどが画面で操作可能。

向いている用途

個人サイト、ブログ、小規模なコーポレートサイト、テスト環境などに向きます。短期間のキャンペーンや簡単なデモにも便利です。

簡単な手順(初心者向け)

  1. プランを選択(容量と転送量で決めます)。
  2. イメージを選ぶ(OSのみ、またはWordPressなどのアプリ)。
  3. インスタンスを作成して起動。
  4. 静的IPを割り当ててDNSに登録。
  5. SSHで初期設定やアプリの管理を行う。
  6. スナップショットで定期的にバックアップ。

制約と注意点

自由度や高度なカスタマイズはEC2の方が高いです。トラフィックや負荷が増えるとスケールに限界が出ますので、その点は事前に計画してください。

AWSでWebサーバーを構築するメリット

概要

AWSでWebサーバーを作ると、必要に応じて簡単に増減や変更ができ、信頼性や運用のしやすさが高まります。以下で主な利点をわかりやすく説明します。

スケーラビリティ(柔軟に拡張・縮小)

負荷が増えたらサーバーを追加し、減ったら減らせます。自動で増減する仕組み(オートスケール)を使えば、アクセスに応じて資源を自動で調整できます。たとえば、セール時だけサーバーを増やして対応できます。

高可用性(止まりにくい構成)

物理的に離れた複数の場所(AZ)に分散して置けます。ロードバランサーを使うと、1台が止まっても別の台が引き継ぎます。障害時の影響を小さくできます。

セキュリティ(きめ細かなアクセス管理)

セキュリティグループはサーバーごとの簡易なファイアウォールです。IAMは誰が何をできるかを細かく決められます。鍵管理やログ管理と組み合わせて安全性を上げられます。

コスト(使った分だけ支払い)

従量課金で使った分だけ払います。無料枠や予約割引もあるため、小規模から始めてコストを抑えやすいです。使わない時は停止して料金を節約できます。

運用のしやすさと自動化

監視やログ、バックアップの機能が揃っています。テンプレートで環境を自動構築(Infrastructure as Code)でき、同じ構成を再現しやすくなります。

グローバル配信・高速化

複数のリージョンやCDNを使えば、世界中のユーザーに高速で配信できます。コンテンツ配信の遅延を減らせます。

注意点・運用時のポイント

AWSでWebサーバーを運用するときに押さえておきたいポイントを、分かりやすくまとめます。

コスト管理

  • EC2は従量課金です。使わない時間はインスタンスを停止または削除してください。停止中でもストレージは課金されます。
  • 定期的に請求ダッシュボードを確認し、予算アラームを設定しましょう。小さなテスト環境でも不要なリソースが残りやすいです。

セキュリティ

  • 必要最低限のポートだけ開放します(例:HTTP/HTTPS、管理用にSSHは特定IPのみ)。
  • SSHはパスワードより公開鍵認証を使うと安全です。管理ユーザーは最小権限にします。

バックアップと復旧

  • 定期的にスナップショットやAMIを作成しておきます。障害時の復旧時間を短くできます。
  • データベースは別サービス(RDS等)や専用バックアップで保護します。

アップデートと脆弱性対策

  • OSやWebサーバーソフトは定期的にアップデートします。自動更新と手動確認を組み合わせると良いです。

監視とログ

  • CPU・メモリ・ディスク・応答時間を監視し、アラートを設定します。ログは集中管理(例:CloudWatch)で保管し分析に備えます。

運用の自動化

  • スクリプトやIaC(Infrastructure as Code)で再現性を確保します。デプロイはロールバックできる手順を用意してください。

可用性とスケーリング

  • トラフィック増加に備えて負荷分散やオートスケールを検討します。単一インスタンスに依存するとリスクが高まります。

運用時は小さな対策を積み重ねることが重要です。定期点検の習慣をつけ、問題が起きたときに迅速に対応できる体制を整えましょう。

まとめ:AWSでのWebサーバー構築は柔軟かつ拡張性も高い

AWSを使えば、手軽な構成から大規模な本番運用まで幅広く対応できます。ポイントを分かりやすくまとめます。

  • 選択の目安
  • 個人ブログや小規模サイトならLightsailで最短構築。料金もわかりやすく管理しやすいです。
  • 高カスタマイズや大規模トラフィックを想定するならEC2。必要に応じて負荷分散や自動スケールを組めます。

  • 運用で意識すること

  • セキュリティ(アクセス制御とOS更新)は最優先で実施してください。
  • 監視とログで稼働状況を常に確認し、障害に素早く対応します。
  • バックアップとコスト管理を定期的に見直します。

最後に、目的に合わせてサービスを選び、段階的に機能を拡張すると失敗が少なくなります。まずは小さく始め、必要に応じてスケールする運用をおすすめします。

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