はじめに
本記事の目的
本記事は、2025年最新版のWebサイト向けフォント選びをわかりやすくまとめたガイドです。人気のフォントや用途別のおすすめ、配信サービス、選び方の注意点まで幅広く扱います。初めての方にも実務者にも役立つ内容を目指します。
対象読者
・Web制作に携わるデザイナー、コーダー
・個人でサイトを運営する方
・ブランドの印象を見直したい担当者
専門知識がなくても読み進められるよう、具体例を交えて説明します。
記事の構成と使い方
全8章で構成します。第2章で基本ポイントを押さえ、第3〜5章でフォントの具体例と用途別の選び方を紹介します。第6章は配信サービスの比較、第7章は実装時の注意点、第8章で2025年のトレンドをまとめます。必要な章だけ読み飛ばしても使えるように作りました。
読む際のポイント
見出しや本文でのフォント使い分け、可読性とブランディングのバランスに注目してください。実例を見ながら自分のサイトに合わせて選んでください。
Webサイトフォント選びの重要性と基本ポイント
フォントがサイトに与える影響
フォントは見た目の美しさだけでなく、読みやすさや信頼感に直結します。例えば、読みづらい小さな文字や装飾の多い書体は、訪問者が途中で離脱する原因になります。企業サイトなら信頼感、メディアなら読みやすさ、サービス紹介なら分かりやすさを優先します。
可読性の基本ポイント
- サイズと行間:本文は16px前後を基準にし、行間は文字サイズの1.4〜1.8倍が読みやすいです。
- コントラスト:背景と文字の色差を十分に取り、視認性を確保します。
- 字形の明瞭さ:似た形が少ないシンプルな書体を選ぶと誤読が減ります。例:丸ゴシックは親しみやすく、明朝体は長文に向きます。
ブランドとトーンの一致
フォントはブランドの声です。堅実な企業はセリフ系やしっかりしたゴシック、スタートアップやクリエイティブ領域は個性的な書体で親しみを出せます。ただし個性を優先しすぎると可読性を損ないます。
用途別の考え方
- 見出し:太めでアクセントになる書体を使い、階層を明確にします。
- 本文:長時間の読書に耐えるシンプルな書体を選びます。
- ボタン・UI:視認性と短文の判読性を優先します。
実務でのチェックリスト
- 主要デバイス(PC・スマホ)で表示確認
- 異体字や記号の表示確認
- 読了時間を想定して本文をテスト
- ライセンスや配信方式の確認
この章では、まず基本を押さえ、目的に応じてバランスよく選ぶことを重視しています。
Webサイトでよく使われるおすすめフォントランキング
概要
2023〜2024年のWebデザインで人気のフォントを、使いやすさと導入のしやすさで順位付けしました。多くが無料で手軽に使える点も魅力です。用途や雰囲気に合わせて選んでください。
ランキング(おすすめ順)
- Noto Sans JP — Google製のサンセリフ。クセが少なく本文に向きます。多言語対応で安心して使えます。
- Roboto — シンプルな英字フォント。UIや本文で読みやすく、多言語サイトに最適です。
- Noto Serif JP — 上品な明朝体。信頼感や高級感を出したいサイトに向きます。
- Montserrat — 見出しやロゴに人気の英字。太めのウエイトが視線を集めます。
- Inter — モダンで可読性が高いUI向けフォント。小さなサイズでも読みやすいです。
- Open Sans — 汎用性が高く視認性も良い英字フォント。幅広いデザインに合います。
- リュウミン — 日本語の伝統的な明朝体。落ち着いた印象を与えたい時に有効です。
- ヒラギノ角ゴ — Mac標準の角ゴ。安定感と信頼感を出したいサイトでよく使われます。
- メイリオ — Windowsで安定するゴシック。Web環境で読みやすさが保たれます。
- 游ゴシック/游明朝 — 丸みのあるやわらかさが特徴。本文・UIどちらでも使いやすいです。
選ぶときのポイント
読みやすさ、OSやブラウザでの表示、ブランドイメージとの相性を確認してください。見出しはアクセント重視、本文は可読性重視で選ぶと失敗しにくいです。
フォントの分類と用途別おすすめ
概要
Webで使うフォントは主に「デバイスフォント(システムフォント)」と「Webフォント」の2種類です。表示速度や見た目の安定性が異なるため、用途に応じて使い分けると良いです。
デバイスフォント(システムフォント)
- 特長:端末に標準搭載されているため読み込みが速く、表示が早いです。端末ごとに見え方が異なります。
- 例:ヒラギノ角ゴ(Mac)、メイリオ(Windows)、游ゴシック、MSゴシック、MS明朝。
- 向き:ページ表示速度を重視する場面や、汎用的な本文に向きます。
Webフォント
- 特長:外部サーバーから配信し、どの環境でも同じ見た目を再現できます。デザインの自由度が高い反面、読み込み時間を考慮します。
- 例:Noto Sans JP、Roboto、Montserrat、Open Sans、Noto Serif JP。
- 向き:ブランド表現が重要な見出しやロゴ、デザイン重視のサイトに向きます。
用途別おすすめ
- 見出し・タイトル:太めで個性の出るゴシック/サンセリフ(例:Montserrat、ヒラギノ角ゴ、Noto Sans JP)。視線を引き付けます。
- 本文:可読性重視のサンセリフや明朝(例:Noto Sans JP、Noto Serif JP、游明朝、リュウミン)。長文でも読みやすいです。
- UIパーツ:視認性と字幅の安定するフォント(例:Inter、Open Sans、UDフォント)。ボタンやフォームに適します。
選び方のポイント
- フォントは多用しないで2〜3種類に抑えます。サイズと太さで差をつけると整います。
- Webフォントは見出しやロゴに限定して使い、本文はシステムフォントで軽くする方法が実用的です。
- フォールバック(代替)を必ず指定し、端末差に備えます。
ユニバーサルデザイン(UD)フォントの台頭
概要
近年、ユニバーサルデザイン(UD)フォントが注目を集めています。視覚的なバリアフリーを意識して設計され、年齢や視力に関係なく読みやすいことが特徴です。企業サイトや公共機関での採用が増えています。
UDフォントの特徴
- 字形がシンプルで崩れにくい
- 文字の間隔(字間・行間)が読みやすく調整されている
- 誤認識しやすい字の判別がしやすい(例:1とl、0とOなど)
主なUDフォントと用途
- BIZ UDゴシック:コーポレートサイトや資料に適する
- ヒラギノUD:出版やブランド性を残したい場合に有効
- イワタUDゴシック:公共表示や窓口表示で信頼感が出る
導入時のポイント
- ライセンスを確認する。商用利用やWeb配信の範囲に注意してください
- フォールバックを設定する(font-familyで順序を指定)
- フォントサイズと行間を少し広めに設定し、コントラストも確保する
- 実機で表示確認し、サイズ変更や拡大表示でも崩れないか確かめる
UDフォントは誰にとっても見やすいサイト作りの基本になります。導入は読みやすさ向上に直結しますので、まずは試験的に一部ページで使ってみることをおすすめします。
おすすめWebフォント配信サービス・検索サイト
Google Fonts(無料・多言語対応)
Googleが提供する無料のフォント配信サービスです。多くの欧文フォントに加え、日本語フォントも増えました。CDNで読み込めるため導入が簡単で、表示速度に配慮した設計です。多言語サイトやコストを抑えたい場合に向きます。
FONTPLUS(国内向け商用フォント)
国内の高品質な日本語書体を中心に、商用利用を想定したサブスクリプション型サービスです。文字の美しさやブランド表現を重視するサイトに適しています。管理画面で利用状況を確認でき、導入も容易です。
Adobe Fonts(Creative Cloud連携)
Adobe CC契約者が追加費用なしで利用できるサービスです。数千書体をWebで使え、デザイナー向けの選択肢が豊富です。Creative Cloudとの連携でワークフローがスムーズになります。
フリーフォント検索サイト(例:フリーフォントの栞、フォントダス)
無料の日本語・英語フォントを探すときに便利な検索サイトです。配布条件やライセンスがサイトごとに異なるため、商用利用時は必ず確認してください。
使い分けと導入のポイント
1) ライセンスを最優先で確認する。商用可・改変可の範囲を必ず確認してください。
2) 表示速度に注意する。必要な文字だけに絞る(サブセット化)や読み込み方法(CDN、自己ホスト)を選びます。
3) フォールバックを設定する。対象ブラウザでの表示をテストし、互換性を確保します。
4) 表示品質を確認する。実際の文面で文字間や行間をチェックしてください。
これらのサービスを目的に合わせて使い分けると、見た目と性能のバランスが取れたサイトになります。
Webサイト用フォント選びの注意点とベストプラクティス
可読性と視認性を最優先に
本文は長く読まれるため、読みやすさを最優先に選びます。画面サイズや解像度で崩れない太さ(ウェイト)を選んでください。装飾が強い書体や極端に細い線は避け、行間や文字サイズで調整します。
パフォーマンス配慮(読み込み速度)
Webフォントはファイルが大きくなりがちです。使用するウェイトを絞り、必要な文字セットだけを読み込みます。可能ならWOFF2形式を使い、font-display: swapやプリロードを活用して表示ブロックを短くしてください。変動幅が大きいフォントは可変フォント(variable font)でまとめると軽量化できます。
ブランド整合と目的適合
サイトの目的やターゲットに合う雰囲気を選びます。信頼感を出すなら落ち着いたセリフやヒューマン系サンセリフ、カジュアルな場ならやわらかい丸ゴシックなど、用途に応じて決めます。見出しと本文で対比をつけると読みやすくなります。
アクセシビリティと表示環境の確認
十分なコントラスト、拡大時の崩れ、読み上げとの相性をチェックします。視認性が悪いとユーザーが離脱しますので、実機で必ず確認してください。
ライセンスとフォールバック設定
商用利用や配布条件を必ず確認します。万一Webフォントが読み込めない場合に備え、CSSのfont-familyで適切な代替フォントを指定します。
実装チェックリスト(簡易)
- 使用ウェイトと文字セットを最小化する
- font-displayを設定する
- 重要テキストはシステムフォントでフォールバックを用意する
- 実機で視認性と読み込みを確認する
これらを意識すると、読みやすく快適なWebフォント環境を作れます。
まとめ・2025年のトレンド
主要トレンド
2025年も、可読性の高いシンプルなサンセリフ(例:Noto Sans JP)が多く使われます。上品な明朝体や、読みやすさを重視したUDフォントの採用も増えています。Webフォント配信サービスの性能向上と、無料で高品質なフォントの増加により、表現の幅が広がりました。
実務でのポイント
- ユーザー目線で読みやすさを最優先にします。本文はシンプルなサンセリフ、見出しで明朝やデザイン性のある書体を使い分けると効果的です。
- パフォーマンスに配慮します。変数フォント(可変ウェイト)を使うと読み込みが軽くなります。難しい場合はfont-display: swapやプリコネクトを活用してください。
- ライセンス確認を必ず行います。商用利用や表示方法で制限がある場合があります。
ユーザーとブランドの両立
フォントは読みやすさとブランド性の橋渡し役です。視認性やサイズ、行間を調整してユーザーの負担を減らしつつ、ブランドの個性を小さなアクセントで表現しましょう。これが今後も変わらない選び方の軸です。












