はじめに
この資料は、Googleサーチコンソールを使って自社サイトに向けられた悪質・スパム・低品質な被リンクを否認(Disavow)する具体的な手順と注意点をやさしく解説します。
対象は、サイト運営者・SEO担当者・ウェブマスターの方です。意図しない外部リンクが検索順位に悪影響を与えるリスクを減らし、検索結果の安定化を目指します。
本ガイドでは、被リンク否認の基本、否認すべきリンクの見分け方、サーチコンソールでのリンク確認方法、否認リストの作成とアップロード手順、運用上の注意点やよくある疑問まで順を追って説明します。
注意点として、被リンク否認は強力な手段です。まずはリンクの精査を十分に行い、必要な場合のみ実施してください。不安があるときは専門家に相談することをおすすめします。
被リンク否認の概要
目的
被リンク否認は、自社サイトに向けられた低品質やスパム的なリンクをGoogleに知らせ、検索順位への悪影響を防ぐための手続きです。リンク元を直接削除できない場合のリスク回避手段として使います。
どんなリンクが問題か(具体例)
- 量産されたコメント欄のリンク
 - 明らかに関連性のない大量の相互リンク
 - リンクファームや自動生成サイトからのリンク
 - 有料で大量購入したリンク
 
いつ使うべきか
- 手動ペナルティ(Search Console通知)が来たとき
 - 大量かつ不自然な被リンクが確認でき、元サイトへ削除依頼しても撤去されないとき
 
注意点
- 誤って健全なリンクを否認すると順位を下げる恐れがあります。まずは削除依頼やリンクの精査を行ってください。
 - 否認はGoogle向けの助言であり、即時の解決を保証しません。効果は数週間〜数ヶ月かかることがあります。
 
補足
被リンク否認はあくまでリスク管理の一つです。他のSEO対策と併せて慎重に行ってください。
否認すべき被リンクの種類
概要
否認を検討すべき被リンクは、検索エンジンのガイドラインで「不自然」とされるものです。以下は具体例と見分け方です。初心者でも分かるように、実際のケースを挙げて説明します。
1. スパムリンク(自動生成や無差別なリンク)
- 例:コメント欄に自動投稿された短い英語の投稿や、意味のない文とURLだけの投稿。
 - 見分け方:同じ文面が多数のサイトにある、または文脈と無関係なリンク。
 
2. 購入リンク(有料で設置されたリンク)
- 例:”月額◯◯円で○件の被リンクを保証”のようなサービスからのリンク。
 - 見分け方:リンクが広告や紹介の形式で露骨、あるいは報酬が明記されている。
 
3. 相互リンク集やリンクファーム、ディレクトリ型サイト
- 例:テーマがバラバラの大量リンク集ページ、相互リンクだけを目的に作られたサイト。
 - 見分け方:リンク数が多く、説明がほとんどない。
 
4. 関連性のない低品質サイトからのリンク
- 例:あなたのサイトが健康系なのに、成人向けやギャンブルサイトから多数リンクがある場合。
 - 見分け方:内容の関連性が乏しい、ページの質が低い(テキストがほとんどない、広告だらけ)。
 
5. サイト全体(フッターやサイドバー)に張られた無関係なサイトワイドリンク
- 例:複数の外部サイトへ常に表示される同じリンク(脚注やフッター)。
 - 見分け方:サイト内のどのページにも同じ外部リンクがある。
 
6. 不自然なアンカーテキストの集中
- 例:同じキーワードのアンカーテキストが大量に使われている。
 - 見分け方:数多くの外部リンクで同一の語句が繰り返される。
 
最後に(判断の目安)
- リンクが自然な文脈で使われているか、サイトの質や関連性はどうかを基準にしてください。明らかに大量で機械的、あるいは金銭が絡むものは否認候補です。
 
サーチコンソールで被リンク確認と一覧取得
手順(ステップバイステップ)
- サーチコンソールにログインします。プロパティは対象のサイトを選んでください。
 - 左メニューの「リンク」をクリックします。
 - 「上位のリンク元サイト」内の「詳細」を選びます。
 - 右上の「外部リンクをエクスポート」をクリックし、CSVやGoogleスプレッドシート形式で保存します。
 
エクスポート時の注意点
- 最大で約1000件までダウンロードできます。すべてを取りたい場合は外部ツールとの併用を検討してください。
 - CSVを開く際は文字コード(UTF-8)に注意してください。文字化けを防げます。
 
取得できる情報と見方
- リンク元のドメインやページURL、リンク先のページ、アンカーテキストの一部が含まれます。
 - ドメイン単位とページ単位の両方が表示されるため、重複や同一サイトからの多数リンクを確認できます。
 
補足:プロパティ設定と精度
- ドメインプロパティとURLプレフィックスで結果が異なります。ドメインプロパティを使うとサブドメインもまとめて見られます。
 - サーチコンソールは完璧ではありません。外部のSEOツールを併用すると件数や発見精度が向上します。
 
実務的な小技
- エクスポート後にExcelやスプレッドシートでソート・フィルタをかけ、不要なパターン(同一IPや低品質サイト)を探します。
 - 注釈列を作って否認候補をマークすると、後工程がスムーズになります。
 
否認するリンクの精査
概要
ダウンロードした被リンク一覧から、否認すべきリンクを慎重に選びます。良質なリンクまで否認すると逆効果になりますので、ガイドライン違反や明らかに悪影響を与えるリンクだけを対象にしてください。
優先順位の付け方
- ペナルティや順位低下が見られるドメインを優先します。
 - スパム行為(大量の低品質サイト、短時間での大量リンク)を確認します。
 - 明らかに関係性がない業種や言語のリンクは優先度が高いです。
 
判定チェックリスト
- ドメイン全体が自動生成や薄いコンテンツか?
 - リンクが有料リンク・リンクファームの疑いはないか?
 - リンク元にトラフィックや信頼性の証拠があるか?
 - アンカーテキストが不自然に最適化されていないか?
 
実例
- 不自然なコメントスパム:否認対象
 - 明らかに無関係なディレクトリ:否認候補
 - 業界関連の自然な引用:否認しない
 
注意点
完全に自動化せず、人の目で最終確認してください。誤って良質な被リンクを否認すると検索順位に悪影響が出ます。
否認リスト(テキストファイル)の作成
概要
否認したいリンクはプレーンテキスト(.txt)に1行ずつ書きます。ページ単位(URL)でもドメイン単位(domain:例.com)でも指定できます。コメント行でメモも残せます。
作成手順(簡潔)
- テキストエディタを開きます(メモ帳やVS Codeなど)。
 - 否認する項目を1行に1つずつ記載します。余計な書式は入れません。
 - ファイルをUTF-8(BOMなし)で保存し、拡張子は.txtにします。
 
記述ルールと具体例
- ページ単位の例:
 - https://www.example.com/bad-page.html
 - http://example.net/spam/
 - ドメイン単位の例(そのドメイン全体を否認):
 - domain:spamdomain.com
 - コメント行は先頭に#を付けます(検索ツールは無視します):
 - 
2025-05-01 チェック済み
 
注意点
- 1行に複数のURLを入れないでください。ツールは1行1指定を想定します。
 - ワイルドカードや正規表現は使いません。部分一致は機能しません。
 - サブドメインを含めて否認したい場合はdomain:example.comの形式を使ってください。
 
次の章で、作成したファイルをサーチコンソールの否認ツールにアップロードする手順を説明します。
サーチコンソール否認ツールへのアップロード
準備
作成した否認リスト(.txt)はプレーンテキスト、UTF-8または7ビットASCIIで保存してください。書式は1行1エントリです。例:
– domain:example.com
– http://spam.example.com/badpage.html
行頭に「#」を付けるとコメント扱いになります。
アップロード手順
- Google サーチコンソールにログインします。
 - 対象のプロパティを選択します(ドメイン/URLプレフィックスどちらか)。
 - 否認ツールの画面を開き、作成した.txtファイルを選んでアップロードします。
 - 確認画面で内容をチェックして送信します。
 
アップロード後の確認
アップロード後、Googleが順次リストを評価して無効化を適用します。反映には数日〜数週間かかる場合があります。必要なら同じ手順で新しいファイルを再アップロードして更新できます。
注意点(簡潔に)
- ファイルは必ず.txt形式で保存してください。
 - 書式ミスや余計な文字があると処理されないことがあります。
 - 不要なリンクを否認すると検索順位に悪影響が出る可能性があります。慎重に行ってください。
 
否認ツール利用時の注意点
被リンクの否認は強力な手段です。安易に使うと良質なリンクまで除外してしまい、検索順位が下がることがあります。以下の点に注意して慎重に進めてください。
誤って良質リンクを否認しない
被リンク元が信頼できるサイトかどうかを必ず確認してください。例えば業界の関連記事や自然発生した引用は価値が高いことが多いです。疑わしいリンクはまず手動で精査し、意味が分からない場合は保留にします。
反映には時間がかかる
否認後も検索順位がすぐに改善するとは限りません。再評価やクローリングに数週間〜数ヶ月かかることがあります。短期の変動に一喜一憂せず、定期的に順位と被リンク状況を観察してください。
まずは削除依頼を試みる
ペナルティ解除や順位回復が目的なら、先に被リンク元サイトに削除依頼を出すことをおすすめします。連絡の記録を残し、それでも対応がない場合に否認を検討します。
変更履歴と理由を記録する
否認リストの作成日、対象URL、否認理由を書き残してください。後で見直す際に理由がわかると判断が容易になります。
段階的に実施する
一度に大量のリンクを否認せず、少しずつ適用して様子を見てください。問題が出た場合はロールバック(同じリストで除外を解除)を検討します。
専門家に相談する選択肢
判断に迷う場合はSEOの専門家に相談すると安心です。第三者の意見で誤否認を防げます。
よくある疑問・トラブル
サーチコンソールの被リンク数が少ない
表示される数が期待より少ない場合、リンク元ページがGoogleにインデックスされていないケースが多いです。クロール頻度が低い、robots.txtやmeta noindexでブロックされている、リンクがJavaScriptで生成されているなども原因です。確認方法はURL検査でリンク元を調べるか、別の被リンクツールで同じリンクが出るかを比べることです。リンク元がインデックスされていなければ、まずはそのページのインデックス状況を改善します。\n\n### 否認後に順位が上がらない
否認は悪影響のあるリンクを無効にする手段ですが、即座に順位回復するとは限りません。Googleの再評価には通常数週間〜数ヶ月かかりますし、コンテンツ品質やサイト内部の問題、技術的な要因が原因であることも多いです。Search Consoleのメッセージを確認し、サイト改善(コンテンツ充実・内部リンク・速度改善など)を並行して行ってください。否認ファイルはいつでも修正・再アップロードできます。\n\n### アップロードできない・エラーが出る
否認ファイルはUTF-8で保存し、BOMを付けないテキスト形式(.txt)にしてください。1行に1つのURLか「domain:example.com」の形式で記述します。ファイルサイズや文字コードが原因で弾かれることが多いので、まずこの点を確認してください。\n\n### 誤って重要なリンクを否認してしまった
誤りに気づいたら否認リストから該当行を削除し、再度アップロードすれば良いです。Googleは新しいファイルを取り込んで再処理します。ただし反映に時間がかかる点は覚えておいてください。\n\n### 削除依頼が無視される場合
相手に削除してもらえない時は、削除依頼の証拠(送信履歴など)を保存したうえで、否認ツールで対処します。ドメイン単位で問題が大きければ「domain:」指定を検討してください。\n\n何かトラブルが続く場合は、具体的な状況(該当URLやエラー画面)を教えていただければ、より的確にアドバイスします。
まとめ:被リンク否認はSEOのリスクマネジメント
被リンク否認は、悪質な被リンクや低品質なリンクが原因で検索順位が落ちるリスクを減らすための重要な手段です。仕組みを理解し、以下の点を守って運用してください。
- 優先順位を付ける:まずサーチコンソールでリンクを確認し、明らかにスパムや無関係なドメインだけを対象にします。例:自動生成サイトや有害なディレクトリ。
 - 精査を怠らない:同一ドメイン内でも有益なリンクが混ざることがあります。手作業でのチェックを行って誤否認を避けます。
 - 手順を守る:否認リストをUTF-8テキストで作成し、サーチコンソールでアップロードします。記録を残し、変更履歴を管理します。
 - 運用と監視:否認後も検索順位やトラフィックを継続監視して効果を検証します。必要なら否認リストを調整します。
 
注意点:自然なリンクや質の高いリンクは否認しないでください。誤った否認は順位低下を招きます。最後に、被リンク否認は“防御”の手段です。日常的なリンク獲得やサイト改善と組み合わせてリスクを管理すると、検索順位の安定と向上につながります。


	









