cdnとdnsの仕組みと連携の秘密をわかりやすく解説

目次

はじめに

本資料の目的

本資料は、CDN(コンテンツデリバリネットワーク)とDNS(ドメインネームシステム)の仕組みと連携をやさしく説明します。技術の詳細だけでなく、なぜ必要か、日常でどのように役立つかを具体例を交えて学べます。

なぜ知っておくべきか

ウェブサイトや動画の表示が遅いと利用者が離れます。CDNは配信を速くし、DNSは正しい場所へ案内します。両者を理解すれば、トラブル時の原因特定や導入判断がしやすくなります。身近な例で言うと、商品の配達を最寄りの店舗から行う仕組みと、住所を調べる仕組みを組み合わせるイメージです。

誰に向けているか

ウェブサイト運営者、開発者、または仕組みを知りたい技術に詳しくない方を想定しています。専門用語は最小限にし、具体例で補足します。

本書の構成

  • 第2章: CDNとは何か(基本と利点)
  • 第3章: DNSの基本的な役割
  • 第4章: CDNの具体的な仕組み
  • 第5章: DNSとCDNの連携メカニズム

まずは全体像をつかみ、次章以降で一つずつ丁寧に解説していきます。

CDNとは何か

定義

CDN(コンテンツデリバリネットワーク)は、世界中に分散したサーバーを使い、利用者に近い場所からデータを届ける仕組みです。画像や動画、ウェブページなどを地理的に分散して保存し、配信の距離を短くします。

なぜ必要か

ウェブページの読み込みが速くなり、利用者の体感が向上します。アクセスが集中しても元のサーバーへの負荷を減らせます。例えば、人気の写真サイトや動画配信サービスで、視聴がスムーズになる効果が見られます。

仕組み(簡単な流れ)

  1. 利用者がコンテンツを要求すると、最寄りの“エッジサーバー”が応答します。
  2. そのサーバーにデータがあれば即座に返し、なければ元のサーバー(オリジン)から取り寄せて保存します(キャッシュ)。
  3. 次回以降は近くのサーバーから配信します。

主な利点

  • 高速化:通信距離が短くなるため表示が速くなります。
  • 安定性:負荷分散で急なアクセス増に耐えやすくなります。
  • 帯域の節約:オリジンサーバーの通信量を減らせます。
  • 基本的な防護:一部の攻撃を緩和する効果があります。

注意点

キャッシュの古さや、個別に生成する動的なページには向かない場合があります。設定や更新ルールを適切に管理することが重要です。

DNSの基本的な役割

DNSとは何か

DNS(ドメインネームシステム)は、人にとって覚えやすいドメイン名をコンピュータが使うIPアドレスに変換する仕組みです。たとえばブラウザで「example.com」と入力すると、裏ではDNSがそのサイトのIPアドレスを教えます。これによりブラウザやアプリが正しいサーバーに接続できます。

名前解決の流れ(簡単なステップ)

  1. ブラウザでドメイン名を入力します。例: example.com
  2. コンピュータは近くのDNSサーバーに「このドメインはどのIPですか?」と問い合わせます。
  3. DNSは該当するIPアドレスを返します。ブラウザはそのIPに接続してページを取得します。

よく使うDNSレコード(身近な例で)

  • Aレコード: ドメインを使ってウェブサーバーのIPv4アドレスを指定します(例: 203.0.113.10)。
  • CNAME: 別名を本名に結びつけます。サブドメインを別のドメインに向けたいときに便利です。
  • MX: メールを受け取るサーバーを指定します。メール配信で使います。

キャッシュとTTLの役割

DNSは毎回ゼロから問い合わせると時間がかかるため、結果を一定時間保存(キャッシュ)します。TTLという時間が切れるまで同じ情報を使うことで、表示が速くなり、余計な問い合わせを減らせます。

トラブルの例と基本的な対処

ドメインの設定ミスや古いキャッシュが原因で、サイトに繋がらなかったりメールが届かなかったりします。まずはDNS設定の内容を確認し、キャッシュをクリアして再試行するとよく直ります。

CDNの具体的な仕組み

エッジサーバーとキャッシュ

CDNは世界中に設置した「エッジサーバー」にコンテンツのコピーを置きます。たとえば東京の利用者は東京にあるエッジからファイルを受け取るので、配信が速くなります。エッジは一定時間だけデータを保持し、古くなればオリジンサーバーから更新を取りに行きます。

リクエストのルーティング

利用者のリクエストを最も近い、かつ健康なエッジへ誘導します。IPの位置情報やネットワークの状態を見て判断します。これにより遅延を減らし、安定して配信できます。

トラフィックの負荷分散

大量アクセスが来ても負荷を複数のエッジに分散します。サーバーの応答状態を監視して、負荷の高いノードから別のノードへ振り分けます。動画配信や人気ページで効果が出ます。

自動的な最適化

画像の圧縮やサイズ変更、HTTP/2やキャッシュ制御の適用などを自動で行います。これによりページ読み込みが速くなり、通信量も減ります。動画は適切なビットレートに自動切替します。

セキュリティ機能

DDoS対策として、トラフィックを吸収・分散する仕組みを使います。WAF(不正なリクエストをブロック)やTLS終端(暗号化処理をエッジで行う)で安全性を高めます。

DNSとCDNの連携メカニズム

CNAMEの役割

CDN導入ではCNAMEレコードが中心になります。たとえば「www.example.com」が「www.example.cdnprovider.net」へCNAMEで紐付くと、ユーザーは元のURLのままCDN経由で配信されます。これはドメイン名を別の配信ドメインに置き換える仕組みです。

名前解決の流れ(具体例)

  1. ユーザーがブラウザでwww.example.comにアクセスします。
  2. ブラウザはDNSに問い合わせを送り、CNAMEを受け取ると最終的にCDNのAレコード(IPアドレス)を取得します。
  3. 返されたIPに向けてリクエストが送られ、CDNのエッジサーバーがコンテンツを返します。具体的にはオリジンではなくエッジが応答します。

地理的な振り分け

DNSはユーザーの位置情報を参考に、最も近いエッジサーバーのIPを返すことが多いです。これにより応答速度が速くなります。

TTLとキャッシュの注意点

DNSのTTL(有効時間)が長いと切り替えや障害対応が遅くなります。短めに設定すると柔軟に振り分けを変えやすくなりますが、問い合わせが増えます。

運用でのポイント

  • 証明書やSNI対応を確認してください。CDN側でHTTPSを終端する設定が必要です。
  • 動作確認はdigやnslookupでCNAMEと最終IPを確認すると分かりやすいです。

これらが、DNSとCDNが連携して動作する基本的なメカニズムです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次