オウンドメディアと電気通信事業法を徹底解説!基本知識まとめ

目次

はじめに

本調査は、2023年6月に施行された改正電気通信事業法がオウンドメディアの運営に与える影響と、対応方法を分かりやすく示すことを目的としています。

目的
– 企業が自社のウェブサイトやブログ、製品ページ、メールマガジンなど(以下「オウンドメディア」)が新たな規制対象に該当するかを判断できるようにすること。

対象読者
– マーケティング担当者、法務担当者、広報担当者など、実務でオウンドメディアを運用・管理する方々を想定しています。専門的な法律知識がなくても読み進められるよう工夫しています。

本書の構成
– 第2章で改正法の基本を整理し、第3章で適用判断の具体的基準を示します。第4章でよくある質問に回答し、第5章で外部送信規律の具体的内容を解説します。第6章では関連法規との関係を扱います。

読み方のポイント
– 実務に即したチェックリストや具体例を多く用いています。まず第3章の判断基準を確認し、該当する場合は第5章の対応策を参照してください。

第2章: 改正電気通信事業法の基本概要

概要

2023年6月に施行された改正法は、利用者の端末に保存された情報(Cookie、広告識別子、位置情報、閲覧履歴など)を外部に送信する行為や、その送信された情報を利用する行為を原則として利用者の同意が必要と定めました。目的は利用者のプライバシー保護です。

対象となる行為と情報の例

  • 端末内のCookieを広告配信会社に送る
  • 広告識別子を取得して第三者に渡す
  • 位置情報や閲覧履歴を外部解析サービスに送る
    これらは原則、同意が必要です。

事業者の実務上のポイント

  • 同意の取得:何を誰に、何のために送るかを分かりやすく示す
  • 例外の確認:サービス提供に不可欠な送信や法令上の要請がある場合は例外となることがある
  • 表示と管理:同意の記録と解除方法を用意する

実例での説明

例えば、サイトで閲覧履歴を解析サービスに送る場合、解析の目的や送信先を明示して同意を得ます。利用者が同意しなければ送信を停止する仕組みを導入します。

オウンドメディアが規制対象になるかの判断基準

概要

改正電気通信事業法の外部送信規律がオウンドメディアに適用されるかは、事業者が三つの観点で確認します。各観点を具体例を交えて丁寧に説明します。

1. 他人のために役務(サービス)を提供しているか

・「役務」とは、情報の送受信や伝達を助ける行為を指します。例:会員向けにメール配信機能を提供する、第三者のコンテンツをホスティングする。オウンドメディアで単に自社の情報を発信するだけなら該当しない場合が多いです。

2. 電気通信役務を提供しているか

・通信の経路や伝送を自ら管理しているかがポイントです。例:通信回線を貸す、メッセージ送信代行サービスを行う。単なるウェブサイト運営は通常、電気通信役務に当たらないことが多いです。

3. 収益を得ようとしているか(営利性)

・広告収入や有料会員、顧客獲得による間接的な利益の有無を見ます。広告を載せていなくても、コンテンツ経由で商品やサービスの売上が増えるなら営利性が認められる可能性があります。具体例:問い合わせフォームから契約につながる場合は注意が必要です。

判断フロー(チェックリスト)

1) 第1項に該当するか? 2) 第2項に該当するか? 3) 第3項で利益を得る意図があるか?
すべて当てはまれば規制対象になる可能性が高いです。

実務上の注意点

・判断は個別事情で変わります。運用方法や契約内容で結論が変わることが多いです。法務相談を受け、具体的な運用と収益構造を提示して検討することをお勧めします。

よくある質問と回答

この章では、オウンドメディアと改正電気通信事業法の外部送信規律について、実務でよく寄せられる疑問とその回答を分かりやすくまとめます。具体例を交えて説明します。

Q. ネットショップは適用対象外ですか?

A. ほとんどの場合、外部送信規律の適用対象外になります。商品販売を主目的とするECサイトは「オンラインが手段」であり、オンライン自体がサービス提供の本質ではないためです。ネット専業のECも同様に当てはまることが多いです。例:商品の注文・発送を目的としたショップページは対象になりにくいです。

Q. オウンドメディアは“自社の需要”だから対象外ですか?

A. 単純には言えません。情報発信が第三者の需要を喚起し、外部不特定多数に向けた送信と評価されれば規律の対象になり得ます。企業サイトやコーポレートメディアもケースにより対象となるため、法務と相談してください。

Q. メールマガジンやニュースレターはどうなりますか?

A. 一斉送信で宣伝や勧誘を含む場合は対象となる可能性が高いです。取引確認など個別かつ事務的な連絡は対象外になることが多いです。配信前に受信者の関係性や目的を明確にしてください。

Q. SNS投稿やダイレクトメッセージは?

A. 公開投稿は外部向け送信とみなされやすく、規律の対象になる可能性があります。DMは相手が特定されれば対象外になり得ますが、配信形態や内容で判断が変わります。

Q. 企業が取るべき初動対応は?

A. まず発信の「誰に」「何のために」向けているかを整理します。公開性・宣伝性が高ければ法務と相談し、配信方法の見直し、利用規約や同意取得、記録保存の体制を整えてください。疑問が残る場合は専門家の助言を受けましょう。

外部送信規律の具体的な規制内容

対象となるサービス

検索、SNS、ECサイト、動画配信、アプリストア、ニュース、オウンドメディア、配信サービスなどが含まれます。身近なサービスの多くが対象です。

送信される情報の範囲

Cookie、広告識別子、位置情報、閲覧履歴、端末情報などが該当します。個人を特定し得る情報だけでなく、行動履歴や識別子も含まれます。

同意取得の原則

外部送信する際は原則として利用者の明確な同意を得る必要があります。同意は分かりやすく、選択肢を提供した上で取得します。

事業者に求められる表示内容

外部送信する情報の種類、送信先(第三者の分類)、利用目的、同意の取り消し方法を利用者に明示します。例:広告配信会社へ閲覧履歴を送る目的と停止方法を示す。

技術的・組織的対策

不要なデータは送らない(最小化)、暗号化やアクセス制限を行う、外部受領者との契約で再送信の禁止や安全措置を定めます。

例外と緊急対応

法令遵守や生命保護など例外的に同意なしで送信できる場合があります。ただし、理由と範囲を記録して説明できるようにします。

運用上の注意点

同意の記録保存、定期的な見直し、利用者からの問い合わせ対応体制を整備してください。違反時には監督機関からの指導や罰則があり得ます。

関連する他の法律との連携

改正個人情報保護法との関係

改正個人情報保護法(2022年施行)は、個人情報の取り扱いで透明性と目的限定を強めました。オウンドメディアでメールアドレスや氏名を集める場合は、収集目的を明示し、利用範囲を超えないことが重要です。利用停止や削除の請求に対応する手順を整え、同意記録を保存してください。たとえばニュースレター登録時に目的を明記し、同意日時を記録します。

特定電子メール法(迷惑メール規制)

営利目的のメール送信には特定電子メール法が適用されます。事前同意の原則、送信者表示、配信停止(オプトアウト)機能の明示が求められます。広告メールを無差別に送らないようリスト管理を徹底し、件名や送信元を偽らないでください。購読解除リンクや問い合わせ先を必ず入れると実務上安心です。

特定商取引法との関係

通信販売や電子商取引を行う場合、特定商取引法の表示義務が適用されます。事業者名・所在地・電話番号・価格・支払方法・返品・解約条件などを、サイトやメールで明示する必要があります。購入手続きや広告メールで必須情報を省略すると行政指導や罰則の対象になります。

実務上の留意点

  • 同意取得は明確なチェックボックスや二重確認を用いる。\n- 同意や配信履歴をログで保存する。\n- メールには送信者情報と簡単な解除方法を必ず記載する。\n- 外部配信サービスや委託先とは個人情報の取扱いを契約で明確にする。\n
    これらの法律は役割が異なりますが、連携して守ることで利用者の信頼を保てます。必要に応じて弁護士や専門家に相談してください。
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