はじめに
この記事の目的
本記事では、WebサイトやAPIを利用するときに出る「400エラー(Bad Request)」をやさしく説明します。エラーの意味、代表的な原因、利用者と運営者それぞれの対処法、ほかの4xx系エラーとの違いまでを網羅的に紹介します。
対象読者
- サイトを利用している一般ユーザー
- サイト運営者・開発者
- 初めてエラーに遭遇した人
読み方のポイント
専門用語は最小限にして具体例で補います。まずは原因と基本的な対処法を確認して、必要なら開発者向けの章へ進んでください。
本記事の構成(全7章)
- はじめに(本章)
- 400エラーとは?
- 400エラーが発生する主な原因
- 400エラー発生時の対処法
- サイト運営者・開発者向けの注意点
- 400エラーと他の4xx系エラーの違い
- まとめ:400エラー発生時のチェックリスト
次章から順に具体的に説明します。
400エラーとは?
概要
400エラー(Bad Request)は、クライアントが送ったリクエストに不備があり、サーバーがその内容を理解できないときに返されるHTTPステータスコードです。サーバーの故障ではなく、送信側のデータや形式に問題があるのが特徴です。
HTTPとしての意味
数値の400は「クライアントエラー」を示す4xxの一つで、具体的には「リクエストが不正」だとサーバーが判断したことを表します。エラー文は“400 Bad Request”などと表示されることが多いです。
よく見る表示例
- 400 Bad Request
- Your browser sent a request that this server could not understand.
ブラウザやAPIクライアントでこれらのメッセージが出る場面が多いです。
具体例(分かりやすい説明)
- URLにスペースや不正な文字が入っている(例:エンコード漏れ)
- 送信したJSONやフォームデータが壊れている(カンマ抜けなど)
- Cookieが破損しているためサーバーが読み取れない
- リクエストヘッダーが非常に長い/不正な形式
これらはすべてクライアント側の送信内容に起因します。
注意点
基本的に対処は送信側(ユーザーやアプリ)で行いますが、まれにサーバーの判定ルールが厳しすぎる場合もあります。その場合は運営者側で設定を見直す必要があります。
400エラーが発生する主な原因
概要
400エラーは、サーバーが受け取ったリクエストを理解できないときに返ります。多くの場合、リクエスト内容や形式の誤りが原因です。
1. URLの誤り
スペルミスや余分な文字、全角文字や不適切なスペースがあると発生します。例: 全角の「/」や日本語スペース、未エンコードの「?」「&」など。
2. パラメータやデータ形式の不備
必須パラメータが欠落したり、JSONやフォームの構造が間違っていると起こります。例: JSONの末尾に余分なカンマ({“name”:”山田”,})や、数値を文字列で送ったことによる型の不一致。
3. リクエストヘッダーの不備
Content-TypeやAcceptなど必要なヘッダーがない、あるいは不正な値だとサーバーが解析できません。Cookieの破損や競合で認証情報が正しく伝わらないこともあります。
4. リクエストボディの問題やサイズ超過
送信する本文が壊れている、文字コードが合わない、大きすぎる場合に拒否されます。ファイルアップロード時は特に注意が必要です。
5. HTTPメソッドの誤用
GETで送るべきところをPOSTで送るなど、想定と違うメソッドだと400が返ることがあります。
6. ブラウザやDNSの不整合
キャッシュやCookieの破損、ローカルDNS情報の古さが原因で不正なリクエストが発生することがあります。
7. サーバー側の設定ミスやバグ
サーバーが期待する形式を誤って設定していたり、入力検証のバグで正しいリクエストを拒否する場合があります。
各原因は発生パターンが異なります。次章では、これらをどう対処するかを詳しく説明します。
400エラー発生時の対処法
概要
400エラーはクライアント側のリクエストに問題がある場合に起きます。多くはURLや送信データの誤りで解決します。以下で具体的な確認手順と対処法を分かりやすく説明します。
簡単な確認手順(初心者向け)
- URLを再確認します。スペースや全角文字、余分な記号が混じっていないか見ます。例: 空白は%20に変換します。
- ブラウザのキャッシュとCookieを削除して再読み込みします。キャッシュに古い情報が残ると誤ったリクエストが送られることがあります。
- 別のブラウザやスマートフォン、プライベートウィンドウで試します。拡張機能やCookieが影響する場合があります。
フォーム送信やリンクの問題
- 入力欄の必須項目が抜けていないか確認します。
- フィールドの形式(メール、日付、数値など)が指定通りか確認します。例: 電話番号にハイフンが入ってはいけない場合があります。
- 長すぎる値や不正な文字列が送られていないか見ます。
APIや開発者向けの対処
- 送信ヘッダー(Content-Typeなど)を確認します。JSONを送るときはContent-Type: application/jsonを付けます。
- リクエストボディの構文をチェックします。JSONのカンマ抜けや型ミスで400が返ることがあります。
- クエリパラメータのエンコード状態を確認します。日本語や記号はURLエンコードします。
- 仕様書の例と自分のリクエストを比較して差分を見つけます。curlやPostmanで再現すると原因が分かりやすくなります。
サーバー側を確認する必要がある場合
- サーバーログで拒否理由(バリデーションエラーやパースエラー)を確認します。
- ミドルウェアやリバースプロキシの設定でリクエストが棄却されていないか点検します。
それでも解決しないとき
- エラー画面のスクリーンショットや再現手順をまとめて、サイト運営者や開発者に連絡します。エラーメッセージや送信内容(機密情報は除く)を添えると対応が早くなります。
上の手順を順に試せば、多くの400エラーは解消します。必要に応じて開発者に相談してください。
サイト運営者・開発者向けの注意点
なぜ重要か
400エラーが増えるとユーザーは離脱し、検索エンジンの評価も下がる恐れがあります。発生を放置せず、原因を特定して対処することが大切です。
ユーザー向けの優しい表示を用意する
カスタムの400エラーページを用意し、具体的な対処法を提示します。例:URLの綴り確認、クエリ文字列の削除、トップページや検索ボックスへのリンク、問い合わせ先の表示。技術的な情報は簡潔にし、必要なら詳細ログへの参照を管理者用に置きます。
ロギングとモニタリング
発生時は日時、リクエストURL、ユーザーエージェント、リファラー、送信されたデータを記録します。定期的にログを集計し、異常増加をアラート化します。Googleサーチコンソールやサーバーログでクロールエラーや誤ったURLを確認してください。
入力検証とAPI設計
クライアント側とサーバー側の両方で入力を検証し、曖昧なメッセージを出さないようにします。APIは受け取り可能な形式と必須項目を明確にし、返すエラーメッセージに具体例を含めるとユーザーも修正しやすくなります。
URL管理とリダイレクト
スペルミスやエンコード不備、余分なスラッシュで400が出ることがあります。リダイレクトルールや正規化(canonical)を整備し、誤った内部リンクを定期的にチェックしてください。
キャッシュ・デプロイ時の注意
CDNやキャッシュが古いエラーを返すと長期間影響が続きます。修正後はキャッシュをクリアし、エラーページ自体は適切にキャッシュ制御します。
テストと自動化
ユニットテスト・統合テストで異常系をカバーし、デプロイ前にエラーケースを確認します。定期的なヘルスチェックと、重大な増加を検知するアラートを設定してください。
400エラーと他の4xx系エラーの違い
概要
4xx系はクライアント側の問題を示すステータスコードです。主な違いを分かりやすく整理します。
400 Bad Request(リクエストの誤り)
リクエストの形式や内容に誤りがあるときに返ります。例:URLのクエリが壊れている、JSONが不正、長すぎるヘッダー。ユーザー側の入力やアプリ側の送信内容を確認します。
401 Unauthorized(認証が必要)
認証情報がない、または無効なときに返ります。例:ログインが必要なAPIにトークンを付け忘れた場合。正しい認証情報を送ることで解決します。
403 Forbidden(アクセス禁止)
認証の有無にかかわらず、サーバー側がアクセスを拒否するときに返ります。例:権限のないユーザーが管理画面へアクセスしたとき。サーバーの設定や権限を見直します。
404 Not Found(未検出)
指定したページやリソースが見つからないときに返ります。例:URLが間違っている、ファイルが存在しない。URLの綴りやルーティングを確認します。
410 Gone(恒久的削除)
かつて存在したリソースが永久に削除されたことを示します。検索エンジンやキャッシュに対して削除を明確に伝えたいときに使います。
使い分けのポイント
・400はリクエスト内容そのものの問題です。例外やログで入力エラーを探します。
・401は「認証情報がない」こと、403は「そのユーザーに権限がない」ことを示します。
・404は単に見つからないだけ、410は恒久的に消えたことを示します。
簡単なチェック方法
- リクエスト内容(URL・ヘッダー・ボディ)を確認する。2. 認証トークンやクッキーの有無を確認する。3. サーバーのアクセス制御設定とファイルの存在を確認する。これで多くの場合、原因を特定できます。
まとめ:400エラー発生時のチェックリスト
以下は、400エラーが出たときに順に確認するためのチェックリストです。初めに簡単な点から確認すると原因が早く見つかります。
ユーザー向けチェック
- URLに誤字や不要な記号、スペースがないか確認する。例:末尾に「?」や空白が入っていないか。
- フォームの必須項目をすべて入力しているか確認する。ファイル投稿ならサイズや形式もチェックする。
- ブラウザのCookieとキャッシュを削除して再読み込みする。ログイン情報の破損で起きることがある。
サイト運営者・開発者向けチェック
- 送信されるリクエストのパラメータが仕様どおりか(欠落や型の不一致がないか)確認する。
- リクエストヘッダーやBodyの文字コード、Content-Typeが正しいか確認する。
- APIの場合はエンドポイントやメソッド(GET/POSTなど)を再確認する。
- バリデーションのエラーメッセージを詳細にして原因を特定しやすくする。
サーバー側の追加確認
- サーバーログやアプリケーションログで受信内容とエラー理由を確認する。
- リバースプロキシやWAFの設定でリクエストが遮断されていないか確認する。
順に確認しても解決しない場合は、ユーザーのリクエスト例(送信したURLやヘッダー、フォーム内容のスクリーンショット)を受け取り、原因の切り分けを行ってください。












