はじめに
目的
この章では、本書の全体像と読み進め方を丁寧に説明します。CMS(コンテンツマネジメントシステム)とホームページビルダー(ホームページ作成ソフト)の違いや使いどころを分かりやすく整理し、各章で何を学べるかを示します。
対象読者
- 自分でサイトを作りたい個人や小規模事業者の方
- 既存サイトの運用方法を見直したい担当者
- 技術的な専門知識があまりないが、適切なツールを選びたい方
本書の構成と読み方
本書は全9章で構成します。第2章で両者の基本的な違いを説明し、第3〜4章でそれぞれの特徴・メリット・デメリットを詳しく見ます。第5章では代表的な製品を比較し、第6〜7章で最新版やおすすめを紹介します。第8章で選定ポイント、第9章で今後のトレンドを解説します。
本書を読むと得られること
- 自分の目的に合ったツール選びの基準が分かります
- 運用コストや編集のしやすさなど現実的な視点で比較できます
- 初心者でも判断しやすい具体的なヒントを得られます
この先、順を追って具体例と比較を交えて説明します。まずは第2章で基本の違いを確認しましょう。
CMSとホームページビルダーの違いとは?
概要
CMSはWebサーバー上で動作し、ブラウザから直接編集・管理できるシステムです。複数人での編集やアクセス権限管理、予約投稿や履歴管理が可能で、代表例はWordPress、Movable Type、Wix、Shopifyなどです。
一方、ホームページビルダーはPCにインストールして使い、ローカル環境でページを作成します。完成後にサーバーへアップロードして公開する流れで、代表例はホームページ・ビルダー、Dreamweaver、BiNDupです。
操作と公開の流れの違い
- CMS: ブラウザでログインして編集。変更は即座に反映されます。
- ビルダー: PCで作ってからFTPなどでアップロード。公開は手動で行います。
編集と運用の違い
- CMSは複数人での運用に向き、権限分離や更新履歴が使えます。
- ビルダーは一人で効率よく作るのに向きます。共同作業ではファイルの受け渡しが必要です。
拡張性と保守
- CMSはプラグインやテーマで機能追加しやすい反面、定期的な更新とセキュリティ対策が必要です。
- ビルダーは生成されるHTMLを直接編集でき、細かいデザイン制御が可能ですが、動的な機能は自分で用意する必要があります。
利用シーンの目安
- 簡単な会社案内や個人サイト:ホームページビルダーが手早く作れて向きます。
- 複数人で更新するニュースサイト、ブログ、EC:CMSが適しています。
必要に応じて、両方を組み合わせる運用も選べます。
CMSの特徴・メリット・デメリット
特徴
CMS(コンテンツ管理システム)は、ブラウザ上で文章や画像を追加・編集し、公開できる仕組みです。管理画面からページ作成やユーザー権限の管理、テーマやプラグインで機能追加ができます。例としては、記事更新や複数ページの管理を非技術者でも行えます。
メリット
- どこでも編集できる:インターネットがあればPCやスマホから更新できます。リモート作業に向きます。
- 複数人での運用が容易:編集者、管理者など権限を分けて作業できます。共同編集がしやすいです。
- 機能拡張が豊富:テーマで見た目を変え、プラグインでお問い合わせやSEOなど機能を追加できます。
- 更新・保守が効率的:一度構築すれば新しいページ作成やテンプレート適用が速くなります。
デメリット
- セキュリティ対応が必要:定期的なアップデートや脆弱性対策が欠かせません。放置するとリスクが高まります。
- サーバーや運用知識が求められる場合がある:公開設定やメール送信の設定などで一定の知識が必要です。
- カスタマイズの限界:高度な設計変更や独自機能は専門知識や開発が必要になります。
- プラグイン依存の問題:多く使うと互換性やパフォーマンスの問題が起きやすくなります。
導入時の注意点
- 目的に合ったCMSを選ぶこと。更新頻度や複数人運用、将来の拡張性を考慮してください。
- バックアップ・更新運用の体制を決めておくこと。定期的な保守を前提に導入すると安心です。
ホームページビルダーの特徴・メリット・デメリット
概要
ホームページビルダーはPCにソフトを入れて使うタイプの作成ツールです。オフラインで作業でき、直感的な操作でページを作れます。データはローカルに保存されるため安定して作業できます。
主な特徴
- 直感的な操作(ドラッグ&ドロップ、WYSIWYG)で見たまま編集可能
- 豊富なテンプレートや素材が初めから用意されている
- オフラインで作業でき、インターネット環境がなくても編集可能
- ファイル単位でデータが保存され、手元で管理できる
メリット
- 初心者でも短時間で見栄えの良いページを作れる
- 作業が安定し、ネット接続に左右されにくい
- テンプレートやパーツの流用でページ量産が楽
- ローカルで動作確認できるため大きな変更も安心して行える
デメリット
- ソフトが入っていないPCでは作業できない
- ファイルやバージョン管理が煩雑になりやすい(複数人作業は特に)
- 拡張性や最新機能の追加はCMSに比べ制約が多い
- EC機能や高度なフォームなどは別途対応が必要になる場合がある
活用例と注意点
- 小規模な会社案内や個人サイト、イベント告知に向く
- 複数人で編集する場合は共有方法とバックアップを事前に決めること
- テンプレートだけに頼らず、スマホ表示やSEOの基本設定を確認すること
用途に合った選び方をすると、短期間で安定したサイト作りが可能です。
代表的なCMS・ホームページビルダーの比較
概要
代表的なCMS(WordPress、Movable Type)とホームページビルダー系(ホームページ・ビルダー、Wix、Jimdo、グーペ)は目的や使い方で選び方が変わります。ここでは導入・管理、カスタマイズ、コスト、向く用途ごとに分かりやすく比べます。
導入と管理
- WordPress/Movable Type:サーバーにインストールして運用します。設定はやや技術的ですが、複数ユーザーや大規模サイトに向きます。
- ホームページ・ビルダー(ソフト):パソコンで作成しアップロードするタイプ。オフラインで作業でき、操作が直感的です。
- Wix/Jimdo/グーペ:ブラウザで完結するサービス。アカウント作成ですぐ始められ、初心者に優しいです。
カスタマイズと拡張性
- WordPress:テーマとプラグインで自由度が高く拡張もしやすいです。
- Movable Type:静的生成が得意でセキュリティや安定性に強みがあります。
- ホームページ・ビルダー:テンプレート中心でデザインは簡単ですが高度な拡張は難しいです。
- Wix/Jimdo/グーペ:ドラッグ&ドロップで簡単、カスタマイズは限定的です。
コストと維持
- CMS:サーバー費用や保守が必要ですが、長期的には柔軟です。
- ソフト型:買い切りやサブスクがあり、更新作業は利用者次第です。
- サービス型:月額や無料プランがあり初期費用は低めです。
向いている用途
- 大規模/多機能:WordPress、Movable Type
- ローカル制作や細かなレイアウト:ホームページ・ビルダー
- 簡単に早く公開:Wix、Jimdo、グーペ
用途と将来の拡張性を考えて選ぶと良いです。
最新版「ホームページ・ビルダー」の特徴(2025年2月時点)
概要
最新版は「ホームページ・ビルダー22」です。編集方式はSP(ドラッグ&ドロップ)とクラシック(HTML/CSS編集)の2種類を用意し、初心者からある程度知識のある方まで幅広く対応します。
SP(ドラッグ&ドロップ型)の特徴
操作は直感的で、パーツを画面上に配置するだけでページを作れます。初めての方でも短時間で見栄えの良いサイトが作成できます。
クラシック(HTML/CSS編集型)の特徴
HTMLやCSSを直接編集できます。細かいレイアウト調整や独自デザインを反映させたい中級者以上に向きます。コード編集とビジュアル編集の切り替えも可能です。
テンプレート・素材
最大352種類のテンプレート、約1400点の写真素材、約1176点のイラスト素材を利用できます。業種や目的に合わせて素材を選び、短時間でページを構築できます。
機能面
レスポンシブデザインに対応し、スマートフォンでも自動で最適化されます。自動バックアップやUndo機能を備え、誤操作からの復旧が容易です。
使い分けの目安
手早く美しいページを作りたい場合はSP、細かくカスタマイズしたい場合はクラシックを選ぶと良いでしょう。
おすすめCMS・ホームページビルダー一覧(2025年版)
はじめに
用途別に使いやすいおすすめを挙げます。初めて使う方にも分かりやすく、選び方のヒントも添えます。
CMS(コンテンツ管理システム)
- WordPress(無料)
- 特徴:拡張性が高くプラグインやテーマが豊富。世界シェア約83.9%。ブログから企業サイト、会員制サイトまで対応可能。
-
向く人:機能を増やしたい個人・中小企業。カスタマイズを学びたい方。
-
Movable Type(月額5,500円〜)
- 特徴:安定性とセキュリティに定評。サポートが手厚く、企業利用で根強い人気があります。
-
向く人:セキュリティ重視の企業や運用体制が整った組織。
-
a-blog cms(月額1,650円〜)
- 特徴:日本語対応が良く、運用しやすい管理画面。カスタムしやすい設計です。
-
向く人:日本語サイトを簡単に運用したい中小〜企業向け。
-
Shopify(EC向け)
- 特徴:EC構築に特化し、決済や物流連携が充実。初期構築が簡単で拡張も可能。
- 向く人:ネットショップ開業者・EC事業者。
ホームページビルダー・作成ソフト
- ホームページ・ビルダー22
- 特徴:初心者向けの操作性とテンプレートが豊富。国産でサポート情報も多い。
-
向く人:初めて自分で作る個人や小規模事業者。
-
Dreamweaver(プロ向け)
- 特徴:細かいデザイン調整やコード編集が可能。プロの制作現場で幅広く使われます。
-
向く人:HTML/CSSの知識があり、高度な表現をしたい制作者。
-
BiNDup(デザイン重視)
- 特徴:デザイン性の高いテンプレートと直感的な編集。ブランディング重視のサイトに適します。
-
向く人:見た目重視で作りたいクリエイターや店舗。
-
シリウス2(SEOに強み)
- 特徴:軽量でSEOに配慮した構造を作りやすい。固定ページ型の情報サイトに強い。
- 向く人:SEOで集客したいアフィリエイターや情報サイト運営者。
それぞれ得意分野が異なります。用途(ブログ/EC/企業/デザイン重視)を基準に選ぶと失敗が少ないです。
どちらを選ぶべきか?選定のポイント
概要
更新頻度が高く複数人で管理するならCMSを、初心者でオフライン作業や一人で完結したいならホームページビルダーを優先して考えてください。コストやサポート体制も重要です。
比較の観点
- 更新頻度:頻繁ならCMSが向きます。静的な情報が中心ならビルダーで十分です。
- 管理人数:複数人の編集や権限管理が必要ならCMSが有利です。
- 技術力:HTMLやサーバー管理に自信がなければ、ビルダーの方が導入が簡単です。
- オフライン作業:ソフトを使ってローカルで作業したい場合はホームページビルダーが適します。
- コスト:初期費用・運用費を比較しましょう。長期的にはCMSの方が拡張で費用がかかることがあります。
- サポートとテンプレート:初心者は手厚いサポートや豊富なテンプレートがあるサービスを選ぶと安心です。
具体的な判断例
- 個人の趣味サイトや名刺代わりのページ:ホームページビルダーが手早くて安上がりです。
- ニュース、ブログ、複数店舗の情報更新:CMSで作業分担と運用を楽にできます。
- 将来機能追加を見越す場合:拡張性が高いCMSがおすすめです。
最後に
目的と予算、運用体制を明確にして優先順位を決めると選びやすくなります。
トレンド・今後の動向
現状の傾向
CMSが中〜大規模のサイトで主流になりつつあります。一方で、ホームページビルダーは初心者や個人・小規模事業者に根強い人気があります。手早く公開できる点が支持されています。
注目ポイント
- サブスクリプション型・クラウド型の拡大:初期費用を抑え、運用をサービス側に任せられるため導入が進んでいます。例:月額で更新やバックアップを含むプラン。
- スマホ対応・レスポンシブ:閲覧の多くがスマホのため、対応は必須です。テンプレートで対応できるか確認してください。
- SEO・表示速度・セキュリティ:検索で見つけてもらうためと、安全な運用のために重要です。簡単なチェック項目(タイトル、メタ、画像最適化、常時HTTPS)を定期的に見直しましょう。
小さなサイトほど変化が早い
小規模サイトは費用と労力を抑えつつ、必要に応じて機能を増やす柔軟性が求められます。ホームページビルダーとCMSの良い点を組み合わせたサービスが増えるでしょう。
選ぶ際の視点
長期運用なら拡張性とバックアップ、手早く始めるなら使いやすさとサポートを重視してください。将来の更新負担を減らすために、更新のしやすさも確認しましょう。












