はじめに
この章では、本ドキュメントの目的と読み方をわかりやすく説明します。AWS(Amazon Web Services)が提供するワークショップについて、何を学べるか、誰に向いているか、どのように使うと効果的かを確認できます。
目的
- AWS Workshopの全体像を整理し、学習の方針を示します。
- どの提供形式や学習内容が自分に合うか判断できるようにします。
対象読者
- クラウド学習を始めたいエンジニアや運用担当者
- 社内研修の教材を探す教育担当者
- 実践的に手を動かして学びたい学生や開発者
本書の読み方
- 各章は独立して読めるように構成しています。まず本章で全体像をつかみ、興味ある章から深掘りしてください。
- ハンズオンの具体例や参加方法は第4章・第5章で詳しく説明します。
期待できる効果
- 実践的な演習を通じて、クラウド基礎や特定サービスの使い方を短期間で習得できます。
- 社内導入の検討や個人のスキルアップに役立ちます。
AWS Workshopの概要と目的
概要
AWS Workshopは、実際のクラウド環境を使って手を動かしながら学ぶ実践的な学習プログラムです。公式が提供する教材や企業向けカスタマイズ版、イベント形式などで提供され、参加者は短時間でクラウド技術の要点を体験的に習得できます。具体的には、サーバ構築、ネットワーク設定、データベース操作、サーバレス設計などを実際に操作して学びます。
目的
主な目的は「仕事で使えるスキルを速く身につける」ことです。座学だけでなく実際の操作やトラブル対応を通じて理解を深め、設計や運用の感覚を養います。チームでの導入検討やProof of Concept(概念実証)にも適しています。
主な学習内容(例)
- 基本的なインフラの構築手順(仮想サーバ、ネットワーク)
- マネージドサービスの利用(データベース、ストレージ)
- セキュリティ設定やアクセス管理の実践
- サーバレスや自動化による効率化の検証
参加者のメリット
参加者は実務に直結する手順や失敗パターンを学べます。学習後は自社環境での設計改善や運用負荷の軽減にすぐ役立ちます。チームで参加するとナレッジ共有も進みます。
提供形式の一例
- オンラインセルフペース教材:自分のペースで進められます
- ハンズオンイベント:講師と一緒に進める形式で質問がしやすいです
- 企業向けカスタムワークショップ:社内要件に合わせた実践課題を用意します
事前準備と所要時間の目安
基本知識(ネットワークやOSの基礎)があると効果が高いです。所要時間は短いハンズオンで1〜3時間、体系的なワークショップで半日〜複数日が一般的です。
主な提供形式とイベント
概要
AWS Workshopは主に公式イベントでの対面ハンズオンと、オンラインでの自己学習型ワークショップや教材という二つの提供形式で展開します。目的や習熟度に合わせて選べるように構成されています。
公式イベント内のワークショップ
AWS SummitやAWS re:Inventなどの会場では、インストラクターによるインタラクティブなハンズオンが行われます。短時間で体験できるセッションから半日〜終日規模の集中セッションまであり、講師やスタッフにその場で質問できます。たとえば、簡単なウェブアプリをクラウドにデプロイする演習を通して、実務に近い流れを体験できます。
オンラインワークショップと教材
オンライン版は自己ペースで進められる教材が中心です。General Immersion Dayのようなまとまったカリキュラムや、Beginnerカテゴリの入門教材が用意されています。ブラウザ上で実際に操作できる環境が提供されることが多く、時間や場所にとらわれず学べます。
サービス別ワークショップ
特定のサービスに絞ったワークショップも豊富です。Amazon OpenSearch Serviceでログ検索や分析を試すコース、Auroraでの高可用なデータベース構築演習、Bedrockを使った生成AIの基本体験など、実務に直結する内容が揃っています。
参加時のポイント
参加前に概要と所要時間を確認し、必要ならAWSアカウントや事前準備を済ませておくとスムーズです。ワークショップは手を動かすことが重要ですから、時間を確保して臨んでください。多くは手順書に沿って進められるため、初心者でも取り組みやすく設計されています。
学習内容と特徴
学習の概要
AWS Workshopは手を動かして学ぶハンズオンが中心です。実際にクラウド上でリソースを作成・操作しながら、設計や運用、セキュリティ、AI活用まで幅広く学べます。具体例としては、仮想サーバーの立ち上げ、ファイル保存、アクセス権の設定、簡単な機械学習モデルの実行などがあります。
主な学習テーマ
- クラウド設計:どのサービスを使うとよいかを具体的に学びます(例:サーバー、ストレージ、ネットワーク)。
- 運用・監視:障害対応やログの見方、コスト管理など実務に近い内容です。
- セキュリティ:ユーザー権限や通信の保護、ベストプラクティスを扱います。
- AI活用:Jupyter Notebookや簡易なラボでモデル作成や推論を体験します。
学習形式と特徴
ワークショップは段階的に進む構成が多く、Jupyter Notebookや専用ラボ環境でステップごとに手順を確認しながら進められます。日本語対応のものも増えており、説明や手順書が日本語で用意されています。自分のAWSアカウントを使って環境を作る回も多く、実務で使えるスキルが身につきます。
最新技術への対応
新しいサービスやAI関連の教材も随時追加されます。実践を重視しているため、学んだ知識をすぐ自分のプロジェクトに応用しやすい点が特徴です。
参加方法・利用方法
公式イベントへの参加方法
- 事前登録:公式ページで開催情報を確認し、フォームから登録します。現地参加かオンライン参加を選べます。登録後に参加方法や資料の案内が届きます。
- 当日の準備:案内に記載されたブラウザやアカウントを用意します。現地では早めに会場に着くと安心です。
オンライン学習(AWS Skill Builder・workshops.aws)の使い方
- サイトにアクセスしてアカウントでログインします。無料コンテンツと有料コースがあります。
- インタラクティブなハンズオンは手順に沿って進めます。コードやコンソール操作を画面で確認しながら学べます。
チームで参加する方法
- 事前に役割を決めます(進行役、記録係、実機操作担当など)。
- 複数人で同じワークショップを同時に進めて、途中で知見を共有すると効果的です。
自分のAWS環境でワークショップを実施(CloudFormation)
- CloudFormationテンプレートをダウンロードまたはURLで取得します。テンプレートを使ってスタックを作成すると、必要なリソースが一括で構成されます。
- 実施前にリージョンや使用するインスタンスタイプ、想定コストを確認してください。
終了後のリソース削除と注意点
- ハンズオン終了後は必ずスタックを削除してリソースをクリーンアップします。スタックの削除で多くのリソースは消えますが、個別に作成したS3バケットなどは手動で確認してください。
- 削除前に重要データが残っていないか確認します。請求が続く場合は請求ダッシュボードで未削除リソースを確認してください。
トラブル対処の基本
- ログインできない場合はブラウザのキャッシュをクリアするか別のブラウザを試します。
- ここで説明した手順で不明点がある場合は、主催者のサポート窓口やフォーラムに問い合わせてください。
AWS Workshopの活用シーン・メリット
実務に直結するスキル習得
AWS Workshopは設計・構築・運用・セキュリティなど、現場で求められる作業を手を動かして学べます。たとえば、実際にインフラを構築して負荷をかけるなどの体験を通じて、理論だけでなく実務で使えるノウハウを身につけられます。
最新技術の検証・PoC
短時間で環境を用意できるため、新しいサービスやアーキテクチャの検証に向きます。サーバーレスやコンテナといった技術を試し、性能や運用上の課題を早期に発見できます。
チーム・組織での学習促進
ワークショップはグループでの実施に適しており、知識の共有や役割分担の訓練に役立ちます。オンボーディングやスキルアップ研修としても活用しやすいです。
日本語対応と学習効率
日本語で解説やハンズオンが提供されるワークショップは、理解のハードルを下げ学習効率を高めます。初学者や業務で日本語資料を求めるメンバーにも親切です。
利用時のメリット(要点)
- 実務に即した経験が得られる
- 検証速度が速く意思決定が早まる
- チームでの知識定着が進む
- 日本語対応で学習コストが低い
利用時の注意点
ワークショップで作成した環境は課金対象になる場合があります。アカウント管理と実験後のリソース削除を忘れないようにしてください。
代表的なワークショップ・事例紹介
以下はよく行われる代表的なワークショップと具体的な事例です。実際の演習内容と活用例を分かりやすく紹介します。
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Amazon OpenSearch Service(日本語対応検索ワークショップ)
日本語特有の形態素解析や検索チューニングを学ぶ講座です。例えば、製品カタログを用いて日本語の検索精度を高める手順を実践します。検索結果の順位調整やシノニム設定などを体験できます。 -
General Immersion Day(基本サービス構築ハンズオン)
EC2、S3、RDS、IAMなどの基本を組み合わせて小さなアプリを作ります。例として、タスク管理アプリを構築し、実運用に向けた設定やセキュリティの基本を学びます。 -
AWS Summit / re:Invent(最新技術ワークショップ)
新しいサービスや応用例を短時間で試す場です。例えば、観測性やセキュリティ、機械学習のハンズオンがあり、最新のベストプラクティスを体験できます。 -
AWS Skill Builder(Jamイベント)
制限時間内に課題を解くグループ演習型のイベントです。スコア制で学習の到達度を確認しやすく、弱点を短時間で補強できます。 -
企業内/パートナー主導の事例
実際の移行やコスト最適化を想定したワークショップです。中小企業のオンプレ環境をクラウドへ移す模擬演習など、実業務に直結する内容が多いです。 -
大学・コミュニティでの活用
学生や開発コミュニティ向けに基礎から応用まで段階的に学べる構成が多く、学習の導入として効果的です。
参考資料・関連ブログ
概要
AWS Workshopをより深く理解するには、公式やコミュニティの情報を組み合わせると効果的です。ここでは代表的な参考資料と、上手に活用するコツを分かりやすくまとめます。
主な参考資料
- AWS公式ブログ(日本語版): 新機能の説明やユースケースが丁寧に書かれています。実運用での注意点や設計の考え方も紹介されるため、ワークショップの補助教材として役立ちます。
- AWS Skill Builder: ハンズオン教材や動画が揃っており、ワークショップの予習・復習に便利です。学習の進捗を管理できるコースもあります。
- AWSイベント公式サイト(Summit、re:Invent): 発表資料やセッション動画が公開されます。ワークショップで触れた技術の最新動向を追えます。
- 技術ブログ・参加レポート: エンジニア個人や企業の事例が豊富です。実際の導入やトラブル事例を知ることで理解が深まります。
利用のコツ
- まず公式ドキュメントで基礎を確認し、疑問点を技術ブログで補う流れが効率的です。
- 記事の日付と対象バージョンを確認してください。クラウドは変化が早いため古い情報は使えないことがあります。
- 気に入ったブログはブックマークやRSSで定期購読すると、最新情報を逃しません。
ブログやレポートの見分け方
- 実例やコードがあるか確認します。手順が具体的なら再現性が高いです。
- 複数の記事や公式情報と照らし合わせて矛盾がないか確認しましょう。
まとめ代わりの実践案
気になったワークショップのテーマがあれば、公式の関連ページを読んでから参加者のレポートを検索すると学びが深まります。公式とコミュニティを併用して、効率よく習得してください。
まとめ
AWS Workshopは、実践的にクラウド技術を身につけたい方にとても有益な学習リソースです。公式ワークショップやオンライン教材、サービス別のハンズオンを通じて、個人でもチームでも段階的にスキルを高められます。
- 学習効果が高い理由:手を動かして学ぶ構成で、設定や実行の具体例が豊富です。初心者向けの導入から実務的な応用までカバーします。
- 参加しやすさ:オンラインで自己学習でき、イベントや企業研修としての活用も可能です。日本語の資料や解説も増えています。
- 活用のコツ:まずは目的に合ったワークショップを選び、短い課題から始めると継続しやすいです。チームで進める場合は役割を決めて実践すると効果が高まります。
AWSの基本操作やサービスの使い方を実際に経験することで、業務での活用範囲が広がります。まずは一つ試してみて、段階的に応用に挑戦してください。












