はじめに
本資料の目的
この資料は、サイトリニューアルに関する基本から実践までを分かりやすくまとめたガイドです。目的、手順、費用、注意点、制作会社の選び方、SEO対策、公開後の運用まで体系的に解説します。初めてリニューアルを検討する方にも実務者にも役立つ内容を意識しました。
こんな方におすすめです
- 現状のサイトで成果が出にくく困っている方
- デザインや使い勝手を改善したい担当者
- 外注先を検討中で比較したい経営者や責任者
具体例として、スマホで見にくく離脱が増えている場合や情報が古く更新が追いつかない場合に役立ちます。
本資料の読み方
章ごとに目的と手順、注意点を整理しています。まずは第2章で「リニューアルとは何か」を押さし、第4章の手順で実際の進め方を確認してください。制作会社選定や公開後運用は後半で詳しく説明します。
期待できる効果
ユーザーの使いやすさ向上、コンバージョン改善、運用負荷の軽減が期待できます。規模や目的に応じた進め方を理解すると、より確実に成果につなげられます。
サイトリニューアルとは何か
定義
サイトリニューアルとは、既存のWebサイトの見た目や構成、文章や機能をまとめて見直し、サイト全体の価値や使いやすさを高める制作プロセスです。単なる情報の追加や軽い修正ではなく、設計や目的を再検討して作り直すことを指します。
具体的に何を行うか
- デザイン変更：見た目を新しくしてブランドイメージを整えます（例：ロゴや色、レイアウトの刷新）。
- 構成見直し：ページの並びや導線を改善して目的の情報にたどり着きやすくします。
- コンテンツ再編：文章や写真を整理し、内容を分かりやすく書き直します。
- 機能追加・改善：お問い合わせフォーム、予約機能、EC機能などを導入または改善します。
- 技術的対応：スマホ表示の最適化や表示速度の向上、セキュリティ対策を行います。
小さな更新との違い
日常の情報更新は部分的な作業で済みますが、リニューアルは方針や構造を見直すため、規模も期間も大きくなります。結果としてユーザーの使いやすさや運用効率が大きく向上します。
どういう時に検討するか
来訪者が増えない、スマホで見づらい、ブランドイメージが古い、機能が足りないなどの課題を感じたときに適しています。
サイトリニューアルの主な目的
デザイン刷新・ブランド力強化
見た目を一新することで第一印象を良くし、ブランドの信頼感を高めます。コーポレートカラーやロゴ、写真の統一で印象が整い、来訪者が企業を覚えやすくなります。例えば、採用ページを見やすくすると応募数が増えることがあります。
ユーザビリティ（使いやすさ）の向上
ナビゲーションや動線を整理して、目的の情報にたどり着きやすくします。スマホ表示の最適化や読みやすいフォント採用などで滞在時間が伸び、問い合わせや購入につながりやすくなります。
SEO対策の強化
検索エンジンで見つかりやすくするため、構造や内部リンク、表示速度を改善します。古い構造のままだと検索順位が伸びにくいため、キーワードに合わせたページ設計を行います。
コンテンツの整理・強化
情報を整理して更新頻度を上げることで、訪問者にとって有益なサイトにします。商品・サービスの説明をわかりやすくし、FAQや事例を充実させると信頼感が増します。
セキュリティ・技術面の最新化
システムやプラットフォームを最新化し、脆弱性を減らします。SSL対応やバックアップ体制の強化で安心感を提供します。
目的ごとの期待効果と指標
目的ごとに評価指標を決めます。例えば、デザイン刷新なら直帰率の低下、ユーザビリティならコンバージョン率の向上、SEOならオーガニック流入の増加です。目標を設定すると効果を測りやすくなります。
サイトリニューアルの手順（一般的な流れ）
1. リニューアル目的・課題の明確化
最初に目的をはっきりさせます。集客強化、コンバージョン改善、ブランディング刷新など具体的な目標を設定し、優先順位を決めます。関係者の合意を取ることが重要です。
2. 現状分析・要件定義
アクセス解析やユーザーヒアリングで現状の課題を洗い出します。機能要件（例：問い合わせフォーム、会員機能）と非機能要件（表示速度、セキュリティ）を整理します。
3. 全体設計（サイトマップ・構成案作成）
ページ構成や導線を設計します。サイトマップを作り、重要ページの位置やナビゲーションを決めます。ユーザーの行動を想定して導線を最適化します。
4. ワイヤーフレーム・原稿作成
各ページのレイアウト案（ワイヤーフレーム）と文章（原稿）を用意します。ビジュアル前に情報の配置を確認すると手戻りが少なくなります。
5. 素材準備・デザイン制作
写真やロゴ、アイコンなど素材を集めます。デザイン案は複数出して関係者とすり合わせます。ブランドガイドラインに沿って統一感を持たせます。
6. コーディング・システム開発
デザインを元にコーディングと必要なシステム開発を行います。レスポンシブ対応やアクセシビリティもこの段階で実装します。
7. テスト・動作確認
表示チェック、リンク確認、フォーム送信、ブラウザやスマホでの動作を検証します。セキュリティや負荷の基本テストも実施します。
8. 公開・リリース
公開手順を決め、バックアップやリリース時間を調整して公開します。公開後にエラーがあれば即対応できる体制を整えます。
9. 公開後の運用・効果測定
アクセス解析やKPIで効果を測定し、改善策を検討します。定期的にコンテンツ更新や技術保守を行い、継続的に改善していきます。
サイトリニューアルの費用・期間
費用の目安
- 小規模：5〜20万円
- 既存テンプレートや簡単な修正のみで済む場合。個人事業や小さな店舗向け。
- 中規模：20〜100万円
- デザイン刷新、CMS導入、ページ数増加などを含む。会社サイトや店舗サイトでよくある規模。
- 大規模・戦略型：100万円以上
- マーケティング設計、システム連携、多言語対応、専用開発が必要な場合。
各費用は「要件定義」「デザイン」「開発（コーディング）」「CMS設定」「コンテンツ作成」「テスト」「保守」の合計で決まります。コンテンツ作成や撮影、取材は別途見積もりになることが多いです。
期間の目安
- 平均：3〜4か月程度
- 内訳の一例：要件定義（2〜4週間）、デザイン（2〜6週間）、開発（4〜8週間）、テスト・調整（1〜3週間）。合意形成や修正が入ると延びることがあります。
期間短縮のポイント
- 要件を事前に整理しておく
- テンプレートや既存部品を活用する
- コンテンツ（文章・写真）を並行して準備する
注意点
見積りの内訳を確認し、追加作業や保守費用の有無を確認してください。短期間での実施はコスト増や品質低下のリスクがあります。
リニューアルで失敗しないための注意点
1. 目的とゴールを明確にする
リニューアルの前に、何を達成したいかを具体化します。例：問い合わせ数を月20件に増やす、ページの滞在時間を30％伸ばす、モバイル表示を改善するなど。数値目標があると優先順位が決めやすくなります。
2. 関係者の認識を合わせる
経営、営業、制作、運用など関係者で目的や優先順位を共有します。会議で決定事項を文書化し、役割分担を明確にしてください。認識ズレを早期に防げます。
3. 現行サイトの棚卸しと優先順位付け
現在のコンテンツ、アクセス状況、主要ページを整理します。アクセス解析やヒートマップで重要ページを特定し、残すべきページと削除してもよいページを区別します。
4. SEOとURL移行対策を忘れない
URL変更時はリダイレクト（例：301）や内部リンクの修正、メタ情報の引き継ぎを行います。検索流入を減らさないために、事前にリダイレクトマップを作成し、公開後すぐに確認します。
5. デザインと使いやすさを実ユーザーで検証
ワイヤーフレームや試作ページでユーザビリティテストを行います。社内の意見だけでなく、実際のユーザーや非専門家に触ってもらいフィードバックを集めてください。
6. テストと公開前チェックリストを用意する
リンク切れ、フォーム動作、スマホ表示、読み込み速度、解析タグの設置などをチェックします。ステージング環境で総合テストを行い、公開時のロールバック手順も決めておきます。
7. 公開後も分析と改善を続ける
公開は終わりではありません。アクセス解析やコンバージョン率を定期的に確認し、改善案を小さく回して実施します。改善の優先度は目標達成に近いものから行います。
8. 制作会社とのコミュニケーションを密にする
進捗や懸念点を定期報告で共有し、仕様変更は都度書面で確認します。成果物の受け渡しや保守範囲も明確にしておくとトラブルを防げます。
サイトリニューアルに強い制作会社の選び方とおすすめ事例
概要
制作会社選びは、見た目だけでなく使いやすさや運用性を見比べることが重要です。ここでは選び方のポイントと具体的な確認項目、そしておすすめの会社と実例を紹介します。
選び方のポイント
- デザイン性と機能性のバランス：見た目だけでなく、導線やコンバージョンを重視する会社を選びます。
- 丁寧なヒアリングと提案力：現状課題を引き出し、具体的な改善案を示すか確認します。
- 実績・事例の豊富さ：同業種や目的に沿った成功事例があるかを見ます。
- CMSやSEO対応力：運用のしやすさや検索対策への理解があることが大切です。
- 保守・運用サポート：公開後の更新やトラブル対応の体制を確認します。
具体的に確認する項目
- 過去の成果（PVや問い合わせの変化）
- 担当チームの構成と連絡体制
- CMSの操作性とカスタマイズ性
- 納期・費用の内訳と追加費用の有無
おすすめ制作会社（特徴）
- 株式会社GIG（LeadGrid CMS）：自社CMSで柔軟に設計でき、AI検索などの導入実績があります。
- 株式会社ウェブ企画パートナーズ：中小企業向けのSEO強化と運用支援が得意です。
- 株式会社ONE：デザイン重視でユーザー体験を高める設計と実装力を持ちます。
事例（成果例）
- AI検索導入で検索精度が向上し、ユーザー滞在時間と問い合わせ数が増加した例。
- SEO改善によりオーガニック流入が数十％増え、PVや資料請求が増加した例。
発注時の注意点
- 成果指標（KPI）を明確にしておく
- 納品後の運用費や更新方法を契約で決める
- テストとデータ移行の計画を具体的に確認する
ニーズに合わせて複数社に相談し、提案内容と相性で最終判断してください。
SEO・公開後運用のポイント
1. リダイレクト設定（URL構造変更時）
- 旧URLから新URLへは「301リダイレクト」を使います。例：/old-product → /new-product
- リダイレクト連鎖やループを避け、内部リンクも新しいURLに直します。
2. サイトマップとサーチコンソール登録
- XMLサイトマップを作成してGoogleサーチコンソールに送信します。Bingにも登録すると安心です。
- robots.txtでクロールを妨げていないか確認します。
3. 公開直後のアクセス分析と改善
- 公開後はまず1週間は毎日、以降は週次で以下を確認します：クリック数、表示回数、平均掲載順位、エラー（404やクロールエラー）。
- 低下があればリダイレクトやページ速度、モバイル表示を優先して改善します。
4. 定期的なコンテンツ更新
- 週1〜月1回の更新頻度で新しい記事やFAQを追加します。古い情報は適宜リライトします。
- メタタイトルやディスクリプションも定期的に見直します。
5. その他の運用ポイント
- 構造化データ（Schema）で商品情報やレビューをマークアップします。
- 定期的にバックアップとセキュリティ更新を行います。
- 検索順位は時間で変動するため、長期的に改善施策を続けます。
まとめ
サイトリニューアルは、目的設定から現状分析、設計・制作、公開後の運用・改善まで一貫したプロジェクトです。計画的に進めることで、ビジネス成果やブランド価値を高められます。
主なポイント
- 目的を明確にする: 集客、コンバージョン、ブランド刷新など、最重要目標を決めます。
- 現状を正しく把握する: アクセス解析、コンテンツ評価、技術的課題を洗い出します。
- 綿密な設計を行う: 情報設計、UX、SEO対策を優先して設計します。
- 制作と検証を丁寧に: コンテンツ移行、表示確認、動作テスト、モバイル対応を確実に行います。
- 公開準備と運用: 301リダイレクトやバックアップ、解析タグの設置を忘れずに。公開後はデータを見て改善を繰り返します。
- 体制とスケジュール管理: 担当者・納期・予算を明確にし、関係者との連携を保ちます。
最後に、リニューアルはゴールではなくスタートです。計画的に実行し、公開後も改善を続けることで期待する成果に近づけます。
