はじめに
本ドキュメントでは、Solid State Logic(SSL)が開発したUSBオーディオインターフェース「SSL 2 MKII」および「SSL 2+ MKII」について、初心者から経験者まで分かりやすく解説します。
目的
製品の特徴や改善点、旧モデルとの違い、実際の使い勝手や選び方を丁寧に紹介します。仕様だけでなく、宅録や配信、DTMでの具体的な利用イメージも示します。
対象読者
- 宅録や配信を始めたい方
- 機材の買い替えを検討している方
- SSL製品に興味があるDTMユーザー
本ドキュメントの構成と使い方
第2章以降で製品の概要、MKIIモデルの主な特徴、旧モデルとの比較、実用面での進化、型番ごとの違い、価格情報を順に説明します。必要な章だけ読み返せるよう、各章は独立して読みやすくまとめています。
SSL 2 MKII/SSL 2+ MKIIとは
概要
Solid State Logic(SSL)は、プロ用機材で長年の信頼を得ている英国のメーカーです。SSL 2 シリーズは手頃な価格で「SSLらしい」音作りを提供するUSBオーディオインターフェースとして好評でした。MKIIモデルはその後継で、基本設計を踏襲しつつ音質と使い勝手を磨いたアップグレード版です。
対象ユーザー
自宅で歌や楽器を録る個人制作者、配信や小規模スタジオで使いたいエンジニア、手軽に高音質を求める方に向いています。初心者でも扱いやすい設計です。
何が変わったのか(要点)
- 音質面:コンバーターやプリアンプの性能が向上し、ノイズが減りダイナミクスが改善されます。
- 接続性:現代的なUSB規格や安定したドライバに対応し、パソコンとの相性が良くなっています。
- 機能差:SSL 2+ MKIIは基本モデルより入出力やモニタリング機能が充実しており、より柔軟に使えます。
なぜ注目されるか
高級機のノウハウを手頃な製品に反映させた点が魅力です。音の傾向が明瞭で扱いやすく、初めて本格的なインターフェースを選ぶ人にも安心感があります。
MKIIモデルの主な特徴
次世代32bit/192kHzコンバーター
MKIIは高精度な変換回路を搭載し、音の情報量が増えます。録音時に微細な音やダイナミクスを逃しにくく、マスタリング工程でも余裕を持って扱えます。例えば、アコースティック楽器の空気感や微かなノイズまで再現しやすくなります。
2系統のSSLマイクプリ
2系統のマイクプリアンプは、それぞれに専用のハイパスフィルター、ライン入力、48Vファンタム電源を備えます。ボーカルとギターを同時にクリアに録るときや、ステレオマイクでの録音に便利です。操作が直感的で現場での作業が速くなります。
高品位ヘッドフォンアンプ(2系統)
2系統のヘッドフォン出力は同一ミックスを供給します。エンジニアと演奏者が別々にモニターを確認でき、レイテンシや音量差のストレスを減らします。音質も良く、細かいモニタリングに向きます。
Legacy 4K アナログ・エンハンスメント
SSL伝統のサウンドを付加する回路です。トーンを温かく、存在感を出す際に使います。例えば、ボーカルに少し味付けしてミックス内で前に出すときに有効です。
プロ仕様のバランス出力とDCカップリング
バランス出力により外部機器へノイズ少なく信号を送れます。DCカップリング対応は、シンセやモジュラー機器へCV(コントロール電圧)を直接送る用途にも使えます。音作りの幅が広がります。
ステレオ・ループバック
画面収録やストリーミングで便利な機能です。コンピュータの再生音とマイク音を同時に取り込めるため、配信やオンラインコラボがスムーズになります。
筐体設計と可搬性
堅牢な金属筐体で現場使用に耐えます。USBバスパワー駆動で電源を気にせず移動先でも使用できます。小型でケースに入れて持ち運びやすいです。
ソフトウェアバンドル(SSL Production Pack)
プラグインやエフェクトを含むバンドルが付属します。購入後すぐに制作を始められ、音作りの学習にも役立ちます。
SSL 2+ MKIIの4アウト仕様
SSL 2+ MKIIは4つの出力を備え、外部モニターやハードウェアエフェクトとの接続性が高まります。複数のスピーカー環境や外部ルーティングが必要な方に適しています。
MKIIとMK Iのスペック比較
概要
MKIIはMKIと比べて音質指標が全体的に向上しています。特にヘッドフォンやバランス出力の性能強化が顕著で、実際の使用での余裕(ヘッドルーム)や歪みの少なさが体感しやすくなっています。
主な比較(MKI → MKII)
- マイク入力ダイナミックレンジ:110.5dB → 116.5dB(ノイズが少なく、静かな音までクリア)
- THD+N(1kHz):-96.5dB → -100dB(歪みが減り音が素直に聞こえる)
- 最大入力レベル:+5.5dBu → +9.7dBu(大きな音を歪ませず扱える)
- ゲインレンジ:62dB → 64dB(微調整の幅が若干広がる)
- ライン入力ダイナミックレンジ:110.5dB → 117dB
- ライン入力THD+N(1kHz):-96.5dB → -104dB
- バランス出力ダイナミックレンジ:112dB → 120dB
- ヘッドフォン出力ダイナミックレンジ:111dB → 119.5dB
- ヘッドフォン出力インピーダンス:10Ω → <1Ω(低インピーダンスのヘッドフォンをより正確に駆動)
- 最大出力レベル:+12.5dBu → +14.5dBu
実用的な違い
日常の録音やモニタリングでは、MKIIの方がノイズが減りクリアで扱いやすく感じます。例えばポッドキャストやボーカル録りで静かな部分が滑らかに残り、ヘッドフォンでの低域再現性も改善します。
実用面での進化とユーザー評価
音質向上
デジタル回路とアナログ回路を見直し、ノイズを抑えつつクリアな音を実現しています。生声の細かなニュアンスやアコースティック楽器の倍音がはっきり聞こえ、低レベルの信号でも埋もれにくくなりました。例えばボーカル録音では息遣いや表情が捉えやすくなります。
使い勝手の改善
ループバック機能など、配信やリモート録音に便利な機能を追加しています。ゲーム音や再生音とマイク音を同時にPCへ送る場面で特に便利です。操作は直感的で、初めての方でも短時間で使いこなせます。
ヘッドフォン出力と筐体
高インピーダンスかつ低ノイズのヘッドフォン出力により、幅広いヘッドフォンで安定したモニタリングが可能です。筐体は頑丈で持ち運びやすく、ノブ類のレスポンスも良好です。
ユーザー評価
レビューでは「プロ品質のサウンド」「価格に対する満足度が高い」「宅録・配信・DTMに最適」との声が多く寄せられています。音質と使いやすさの両方を重視する方に評価が高いです。
型番ごとの違いと選び方
概要
SSL 2 MKII と SSL 2+ MKII は基本的に同じ高音質設計と操作感を共有します。違いは主に入出力と拡張性にあり、使い方によって向き不向きが分かれます。
主な違い
- 入出力数:SSL 2は2イン/2アウト、SSL 2+は2イン/4アウトです。2+は追加のライン出力でモニター分配や外部機器への送出が楽になります。
- MIDI端子:SSL 2+はMIDI端子を備え、ハードウェアの同期や外部音源の操作に便利です。
- 運用の柔軟性:2+は複数スピーカー環境やDJセット、配信+ヘッドホン監視など、複数出力を同時に使う用途で威力を発揮します。
選び方の目安
- 歌や楽器の宅録、シンプルな録音・配信が中心なら:SSL 2で十分です。操作がシンプルで持ち運びやすく、コストパフォーマンスに優れます。
- 外部機器と併用したい、複数モニターやDJ/ライブ配信を行うなら:SSL 2+をおすすめします。音源やミキサーへ別系統で出す場合に便利です。
具体例:ソロ歌手やポッドキャストはSSL 2、バンドでの配信やハード機材を多用する制作環境ならSSL 2+が適しています。
最後に
入力数や出力の必要性、MIDIの有無、今後の拡張予定を基準に選ぶと失敗が少ないです。
価格と販売情報
市場価格の目安
- SSL 2 MKII:3万円台後半が目安です。
- SSL 2+ MKII:4万円台後半が目安です。
販売チャネル
楽器店の実店舗や大手通販サイト(ビックカメラ、楽天)で新品をよく見かけます。中古品はメルカリやYahoo!オークションでも流通しています。店舗によっては展示品や整備済みの中古を扱い、動作保証が付く場合があります。
購入時のチェックポイント
- 新品なら付属品(ケーブル、ドライバー、保証書)を確認してください。
- 中古なら動作確認と外観チェック、シリアル番号の有無を確認します。写真や販売者の説明で不明点があれば必ず質問してください。
- 保証と返品ポリシーを確認すると安心です。
価格を抑えるコツ
- セール時やポイント還元を狙うと実質価格が下がります。ビックカメラや楽天のセールは狙い目です。中古は状態を見極めればかなり安く買えます。
購入チャネルの選び分け
- 即日入手とサポート重視:実店舗。保証や店頭デモを利用できます。
- 価格重視:楽天や大型通販。セールやクーポンを活用できます。
- コスト最優先:メルカリやYahoo!オークションの中古。ただし自己責任での確認が必要です。
以上を参考に、自分に合った購入方法を選んでください。
まとめとおすすめユーザー
概要
SSL 2 MKII/SSL 2+ MKIIは、SSLならではの音作りと実用性を手軽に取り入れられるUSBオーディオインターフェースです。高品質なプリアンプと分かりやすい操作で、宅録や配信、DTMなどの日常的な制作で力を発揮します。
おすすめユーザー
- 宅録を始めたい人:マイク入力やヘッドフォン出力が使いやすく、初めてでも音作りがしやすいです。
- 配信・ストリーミングを行う人:ライブ配信での音質向上に直結します。音量やモニターが操作しやすい点が便利です。
- DTMや作曲を本格化したい人:高精度な録音ができるため、ミックスや編集の精度が上がります。
- 旧モデルからの買い替えを検討している人:MKIIでは操作性や回路が改善され、より使いやすくなっています。
選び方のポイント
- 入力数:シングルボーカル中心ならSSL 2で十分、楽器や複数人で録るならSSL 2+を検討してください。
- 携帯性と接続:ノートPCでの録音が多ければUSBバスパワーの利便性を重視しましょう。
- 付属ソフト:付属するプラグインやソフトで得られる価値も考慮してください。
総合的なおすすめ
音質と操作性のバランスが良く、価格帯も手頃です。これから本格的に制作を始めたい方や、既に機材を持っていて音質を一段上げたい方に特に向いています。導入後は録音や配信の品質がすぐに実感できるでしょう。












