はじめに
このドキュメントは、Web上で漫画を公開・投稿する際に役立つ実践的なガイドです。画像サイズ、アスペクト比、文字サイズ、解像度など、読者が快適に読めるための技術要件や推奨設定を分かりやすくまとめています。特にX(旧Twitter)、pixiv、noteなどの主要サービスに合わせた注意点と、スマホやPCといった端末ごとの最適な比率に重点を置いて解説します。
目的
読者が読みやすい表示にすること、投稿時の余計なトリミングや劣化を避けることが目的です。具体例として「スマホで縦長に読まれるコマの作り方」や「画像圧縮で文字が潰れない注意点」を扱います。
対象読者
漫画制作を始めたばかりの方、同人や個人でSNSに投稿する方、既に作品を公開しているが表示に悩んでいる方に向けています。専門用語は最小限にし、実例で補足します。
本書の使い方
第2章で画像サイズとアスペクト比、第3章で文字サイズと解像度、第4章で推奨設定をまとめます。各章は独立して読めますので、必要な項目だけ参照しても問題ありません。
注意点
各サービスは仕様を随時変更します。ここでは汎用的で現実的な設定を中心に提案しますが、投稿前に各サービスの最新の推奨を確認してください。
Web漫画の画像サイズとアスペクト比
主要サービス別の推奨サイズ
- X(旧Twitter): 主に3タイプを意識します。縦長オリジナル(3:4)例:960×1,280px、縦長高解像度例:1,200×1,600px、横長ワイド(16:9)例:1,200×675px、正方形(1:1)例:1,200×1,200px。投稿形式によって余白やトリミングが起きるため、中央に重要部分を置くと安心です。
- pixiv: 横幅・高さともに2,000px前後が多く使われます。高解像度で細部を見せたい場合に適します。
- note: 一般に横幅約1,000pxが使われます。記事の流し読みでも見やすいサイズです。
汎用WEB用の参考サイズ
- 1,600×1,200px(横長)
- 2,000×2,000px(正方形・高解像度)
- 1,920×1,080px(フルHD相当の横長)
これらは複数の端末での表示に適した目安です。
スマホとPCでの見え方の違いと選び方のポイント
- スマートフォン閲覧では縦長(3:4や4:5)が画面に占める面積が大きく、読みやすいです。コマ配列を縦に並べる場合は縦長を優先します。
- PCやタブレットでは横長や正方形が安定して見えます。左右スペースを使った構図に向きます。
- 横幅は1,200px程度を標準にすると多くのサービスでバランスが良いです。高解像度を用意する場合は同じ比率で倍数(例:1,200→2,400px)にすると拡大時も崩れにくいです。
実用的な注意点
- 投稿先の表示例を確認し、トリミングやサムネイルで切れる箇所を調整してください。
- 1コマずつ投稿するか一枚絵で見せるかで最適なアスペクト比が変わります。目的に合わせて選んでください。
Web漫画の文字サイズと解像度
文字サイズ(読みやすさの基準)
Webでの読みやすさは文字のピクセル数が重要です。検証例ではフルHDモニターで15px以上、スマートフォンでは12px以上が目安になります。漫画のセリフや吹き出し内の本文は15pxを基準にすると、読者が目を疲れさせずに読み進めやすくなります。効果文字や小さな説明は12pxでも読めますが、10px以下は避けてください。
- 目安: セリフ・本文 15px以上、スマホ向け最低 12px
- 効果文字: 15px以上を推奨(デザイン次第で大きめに)
フォントは可読性の高いゴシック体や丸ゴシックがおすすめです。細い線の装飾フォントは小さくすると潰れやすいので注意してください。
解像度(Webと印刷の使い分け)
Web公開用なら72dpiで問題ありません。表示に必要なピクセル数(横幅など)を優先して決めれば、ファイルサイズを抑えつつ綺麗に見せられます。印刷や同人誌化を考える場合は解像度を上げます。
- Web: 72dpi(PNG/JPGで出力)
- カラー印刷用: 350dpi以上
- モノクロ原稿: 600dpi以上が安心
クリスタ(CLIP STUDIO)でのキャンバス例
- Web掲載用: A4/72dpi(扱いやすく画面表示向け)
- 印刷用: B4/600dpi以上(同人・商業印刷でよく使われる)
キャンバスを作るときは最終的な表示ピクセルを意識してください。テキストはベクターレイヤーやテキストレイヤーで作成すると拡大縮小や修正が楽です。最終出力前に実機(スマホ・PC)で必ず確認し、必要なら文字サイズやトラッキングを微調整してください。
実用的な注意点
- コントラストをはっきりさせると小さい文字でも読めます。
- 太めのフォントや縁取りを使うと読みやすくなります。
- Web用はPNGでラインを保ち、印刷用はPSD/TIFFで保存しておくと修正が容易です。
この章では、読者の目線に立って文字サイズと解像度を決めることを優先するように述べました。実際の制作では必ず複数デバイスでテストしてください。
まとめ:Web漫画制作におすすめのサイズ・設定
以下は実際の制作で使いやすい推奨設定と実践的な注意点です。
- 画像サイズ(推奨)
- 縦型:1,200×1,600px、960×1,280px(3:4)
- 横型:1,200×675px(16:9)、1,920×1,080px(フルHD)
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正方形:1,200×1,200px、2,000×2,000px
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文字と解像度
- セリフ・ナレーション、効果文字:15px以上を目安に。小さいと読みにくくなります。
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Web表示:72dpiで問題ありません。印刷用:350~600dpiを推奨します。
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アスペクト比の使い分け
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SNSや閲覧デバイスに合わせて縦長(スマホ向け)、横長(PC向け、動画サムネ)、正方形(サムネやSNS)を選びます。
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実用的なポイント
- セーフゾーン(端から余白)を10~20px程度確保して、文字や重要な情報が切れないようにします。
- レイヤーやフォントは埋め込まずに整理しておくと、修正が楽です。
- 出力形式:線画中心はPNG、写真や彩色重視はJPEGまたはWebP。透過が必要ならPNGを使います。
- 高解像度表示(Retina)を想定する場合は2倍サイズで作成し、出力で縮小するとシャープになります。
以上を基準に、自分の公開先に合わせて微調整してください。












