はじめに
目的
本ドキュメントは、Webデザイナーやクリエイターが自身のスキルや実績を効果的に伝えるためのポートフォリオサイト制作について、具体的で実践的な手順とノウハウを分かりやすく解説します。読み終わる頃には、構成の作り方や見せ方のコツがすぐに使える形で身につきます。
対象読者
- これからポートフォリオを作る方
- 既に作ったが改良したい方
- 仕事や案件獲得を目的にサイトを改善したい方
本書で学べること
- ポートフォリオ制作の基本的な7ステップを順序立てて説明します。
- 掲載すべき必須要素と、効果的な見せ方を紹介します。
- 実績ページの作り方を詳しく解説し、採用やクライアント獲得につなげる工夫を示します。
使い方
各章は実践ベースで書いています。手順に沿って進めれば、制作中に迷った点をすぐに解決できます。具体例やテンプレートも用意していますので、自分の仕事に合わせて柔軟に取り入れてください。
一読して終わりにせず、制作のたびにこのガイドを参照しながら改善していくことをおすすめします。
Webデザイナーのポートフォリオ制作における基本的な7ステップ
1. ターゲットの明確化
応募先の企業やクライアント像を絞ります。業界(例:EC、教育、飲食)や求められる役割(UI重視か、ブランディング重視か)を想定して、見せる作品を選びます。
2. デザインの参考サイト選定
目指すイメージを3〜5件集めます。色使いやレイアウト、動きの参考にします。紙にスクリーンショットを貼るだけでも方向性が固まります。
3. コンテンツ考案
掲載するプロジェクトの説明、役割、成果を決めます。短い導入文や使用した技術、クライアントの声を用意すると説得力が増します。
4. ワイヤーフレーム作成
ページ構成と情報の優先順位を決めます。紙や簡易ツールでヘッダー・導入・実績一覧・詳細の流れを描き、導線を確認します。
5. デザインカンプ作成
配色・タイポ・スペーシングを決めます。ボタンやカードの見え方を固め、レスポンシブの見え方も想定します。
6. コーディング
HTML、CSS、JavaScriptで実装します。スマホでの見え方を必ず確認し、読み込み速度にも気を配ります。
7. アップロードと公開
サーバーやGitHub Pagesへ公開します。ドメインや連絡先を整え、全工程を自分で管理して動線の不具合を早めに修正してください。
ポートフォリオに必須となる6つの要素
効果的なポートフォリオは、見る人が情報をすばやく理解できる構成が大切です。以下の6要素を丁寧に整えましょう。
1. 目次(ナビゲーション)
全体構成を一目で把握できる目次を用意します。トップに固定するかサイドメニューに入れると探しやすくなります。
2. プロフィールページ
学歴、職歴、担当した役割、得意なデザイン領域を明記します。使用ツール(例:Figma、Photoshop)やスキルレベルも書くと信頼感が増します。
3. 将来のビジョン
どんなキャリアを目指しているか、挑戦したい分野や働き方の希望を簡潔に示します。採用担当者がマッチ感を判断しやすくなります。
4. 作品紹介
代表作を10点前後に絞り、制作背景・目的・自分の役割・成果を記載します。ビフォー・アフターやプロセスのスクショを入れると説得力が増します。
5. 仕事のスタイル紹介
対応可能な案件(UI/UX、コーディング、ブランディング等)、対応時間、報酬レンジ、リモート可否などを明示します。ワークフロー(ヒアリング→提案→納品)を短く示すと安心感を与えます。
6. 連絡先・SNS・リンク
メールフォーム、メールアドレス、LinkedInやTwitterなどのSNSリンクを目立つ場所に配置します。問い合わせの際の返信目安や希望の連絡方法も書いておくと親切です。
実績ページの効果的な作り方
1. 目的を明確にする
実績ページは「できること」を示す場です。訪問者が短時間であなたの強みを把握できるよう、トップには代表作を置きます。例:ECサイトのデザイン刷新、ブランドサイトの立ち上げ。
2. 各プロジェクトの必須構成(テンプレ)
- プロジェクト名と期間
- 役割:デザインのみ、設計〜実装など
- 課題:クライアントが抱えていた問題を簡潔に
- アプローチ:行った作業を段階的に(ワイヤー→デザイン→実装)
- 成果:可能な限り数値で(CVR向上、離脱率改善など)
- ビジュアル:ファーストビュー、ビフォー/アフター画像
- 学び・工夫点
- クライアントの声やリンク
具体例:「ECサイト改修で購入率を20%向上。A/Bテストでカート導線を簡素化」など。
3. 見せ方の工夫
- 目立つサムネイルと短いキャッチで興味を引く
- 詳細ページはスクロールで読みやすく段落を分ける
- 重要な数値はアイコンや太字で可視化
4. 作品数と選び方
5〜8件を目安に、ジャンルやスキルが偏らないよう選ぶ。最新かつ代表的なものを優先してください。
5. 信頼性の補強
受賞歴、メディア掲載、クライアントの推薦文を目立つ場所に置く。数字は正直に。しかも過大表現は避けてください。
6. 技術面と運用面
モバイル対応、読み込み速度、SEOに配慮する。ページ内リンクや事例PDFのダウンロードも用意すると問い合わせが増えます。
7. CTAと導線設計
各案件の末尾に「相談する」「詳しい事例をダウンロード」など明確な行動を置く。問い合わせフォームへ最短で到達できる導線を作ってください。
チェックリスト(公開前)
- 代表作が一目で分かるか
- 各項目がテンプレ通り揃っているか
- 画像は高解像度で最適化済みか
- 数値や引用は裏付けがあるか
- スマホで問題なく表示されるか
この順で整えれば、訪問者に説得力ある実績ページを提示できます。












