salesforceでcdnを有効化する方法とメリット完全解説

目次

はじめに

この記事の目的

この章では、Salesforce環境でCDN(コンテンツ配信ネットワーク)を有効化する目的と全体像をわかりやすく説明します。Experience CloudやMarketing Cloudなどでの表示速度改善や負荷分散の利点を、実務担当者の視点で整理します。

対象読者

Salesforceの管理者、導入担当者、運用担当者を想定しています。開発経験が浅い方でも理解できるよう、専門用語は最小限に抑え、具体例を交えて解説します。

本記事で扱う範囲

  • CDN導入のメリットと基本的な仕組み
  • Salesforce特有の設定ポイントと手順
  • DNS設定の注意点と実務でのチェック項目
  • 運用・管理のポイント、よくあるトラブルと対処法

前提と注意事項

Salesforceのエディションやカスタマイズ状況により手順や利用可能機能が異なります。作業前にバックアップとステージング環境での検証をおすすめします。

以降の章で順を追って具体的な手順と注意点を解説します。

CDN有効化の概要とメリット

概要

SalesforceでのCDN(コンテンツ配信ネットワーク)有効化は、画像やCSS・JavaScriptなどの静的ファイルを利用者に近いサーバから配信する仕組みを導入することです。Experience Cloud(旧Community)、Marketing Cloud、Salesforce Sitesなど外部公開するコンテンツで特に効果を発揮します。Salesforce提供のCDN(例:Cloudflare等)を使う方法と、自社で用意したCDNを連携する方法があります。

利用シーン(具体例)

  • 画像や動画が多いコミュニティサイトでの表示高速化
  • マーケティングメールやLPの静的アセット配信
  • 公開サイトの負荷分散と可用性向上

主なメリット

  • 表示速度の向上:利用者に近いサーバから配信し遅延を減らします。具体的には画像ロード時間が短くなります。
  • 負荷軽減:Salesforceのオリジンサーバへのアクセスが減り、安定性が増します。
  • 可用性・耐障害性:CDNの分散により一部障害時も配信を維持しやすくなります。
  • セキュリティ強化:TLSやWAFなどで不正アクセスやDDoSの対策につながります。

注意点(運用に関する留意点)

  • キャッシュ制御:更新時はキャッシュの無効化やバージョニングが必要です。
  • SSL/CNAME設定:独自ドメインを使う場合、DNS設定や証明書の扱いを確認してください。
  • コストと管理:自前のCDN導入は柔軟ですが設定や運用コストが発生します。

Salesforce CDN有効化の具体的手順

前提

事前にSalesforceの管理者権限と、DNSを編集できる環境が必要です。公開するドメイン(例: www.example.com)を決めておきます。

手順(ステップごとに)

  1. カスタムドメインの作成
  2. Salesforceの[設定] → [ドメイン管理](Domain Management)で新しいカスタムドメインを作成します。ドメイン名を入力して保存します。
  3. 例: www.example.com を追加します。

  4. CDN設定を有効化

  5. [設定] → [CDN] や Experience Cloud の設定画面でCDNをオンにします。Experience Cloudでは Lightning CDN を選べる場合があります。
  6. オプションを確認し、必要ならキャッシュの保持期間などを設定します。

  7. DNSへのCNAMEレコード追加

  8. Salesforceが指示するCNAMEレコードをDNSに追加します。例: www CNAME -> cdn.partner.salesforce.com
  9. SSL発行のために _acme-challenge. の CNAME も追加する指示が出ます。指示どおりに設定してください。
  10. ルートドメイン(example.com)では CNAME が使えない場合があるため、DNSプロバイダの ALIAS/ANAME 機能を使うか、www を利用することを検討します。

  11. 設定の保存・プロビジョニング

  12. 設定を保存するとCDNパートナー側でプロビジョニングが始まります。通常数分〜最大24時間で完了します。
  13. 進捗はSalesforceの画面で確認できます。

  14. 動作確認

  15. プロビジョニング完了後、ブラウザの開発者ツールや curl コマンドでレスポンスヘッダを確認します。CDN経由なら X-Cache や Via などのヘッダが付与されます。
  16. 画像や静的ファイルのURLが CDN ドメインになっているかも確認します。

補足・注意点

  • DNSのTTLにより反映に時間がかかります。短時間で切り替えたい場合は事前にTTLを短くしてください。
  • SSL検証用のCNAMEを設定しないと HTTPS が有効になりません。
  • 既存のルールやリダイレクト設定がある場合、優先順位を確認してください。

DNS設定の詳細と注意点

概要

DNS設定では主に2種類のCNAMEレコードが必要です。1つは通常のホスト名用(例:www.example.com)、もう1つはSSL証明書の自動発行検証用の_acme-challengeです。Salesforceの画面で表示されるAPI識別子(例:abc123)をCNAMEの値に含める点が重要です。

必要なレコードと例

  • 通常のCNAME
  • 例:www.example.com → abc123.prod.salesforcecdn.com
  • _acme-challenge(SSL検証用)
  • 例:_acme-challenge.example.com → abc123.acme.salesforcecdn.com

設定手順(簡潔)

  1. Salesforceで提供されるCNAME値とAPI識別子を控えます。2. DNS管理画面で該当のホスト名にCNAMEを追加します。3. _acme-challenge用も同様に追加します。4. TTLは1時間(3600秒)程度を推奨します。

検証方法

DNS反映を確認するには、digやnslookupでCNAMEが正しく返るかを確認します。ブラウザでサイトにアクセスしてSSLが有効化されているかも確認してください。

注意点

  • ルートドメイン(example.com)には多くのDNSプロバイダでCNAMEを設定できません。その場合はALIAS/ANAMEやAレコードの利用、あるいはプロバイダのガイダンスに従ってください。
  • 値にAPI識別子を正確に含めないと検証に失敗します。入力ミスに注意してください。

IT部門との連携

DNSはサービス全体に影響します。社内のDNS管理者やIT部門と事前に調整し、反映後の検証を一緒に行ってください。

Salesforce CDNの運用・管理上のポイント

初回プロビジョニングについて

CDNの初回プロビジョニングは最大24時間かかりますが、多くの場合は数時間で完了します。設定後はDNS反映やキャッシュ構築の進行を想定して、すぐに切り替えず段階的に確認してください。具体例:まず非本番環境で切替→応答確認→本番へ移行します。

CDNを使わない(除外)対応

CDNが合わないサイトや用途がある場合は、Salesforceカスタマーサポートに除外を依頼できます。例として、IP制限のある社内向けサービスや、リアルタイムで頻繁に更新するファイルが該当します。依頼時は除外対象のドメインと理由を明確に伝えてください。

独自CDNを使う際の注意点

独自CDNを利用する場合は証明書管理、TTLやCache-Controlの設定、CORSやセキュリティヘッダーの調整が必要です。またオリジン設定(プル方式)、パージ手順、ログ取得方法を事前に決めてください。例えば証明書は自動更新を設定すると運用負荷が下がります。

監視と運用のポイント

キャッシュヒット率、応答時間、エラー率を定期的に確認します。キャッシュが効いていない場合はヘッダー設定やバージョニングを見直してください。パージは最小限に留め、バージョン管理で対応すると安定します。

運用チェックリスト(簡易)

  • 初回プロビジョニングの経過確認
  • 除外が必要なサービスの洗い出しとサポート依頼
  • 証明書とヘッダー設定の確認
  • モニタリングとアラート設定
  • パージ手順と責任者の明確化

トラブルシューティングとFAQ

よくある症状と最初に確認する項目

  • プロビジョニングが進まない:まずDNSが正しく反映しているか確認します。digやnslookup、あるいは公開のDNSチェッカーでCNAMEやAレコードを確認してください。TTLの影響で反映まで時間がかかることがあります。
  • SSL証明書が未発行:証明書発行状況をSalesforceの管理画面で確認します。ドメイン名の記述ミスが原因になることが多いです。

具体的なチェック手順

  1. DNSのCNAME記述に誤りがないか確認(スペースや末尾のドットに注意)。
  2. DNSの反映状況を複数の公共DNSで確認します(例:8.8.8.8など)。
  3. ブラウザの開発者ツールやcurlでHTTPヘッダを確認し、CDN経由かどうか、キャッシュ状態を見ます。

CDN経由アクセスの確認方法

  • ブラウザのネットワークタブでリクエストヘッダとレスポンスヘッダを確認します。キャッシュ関連のヘッダや、CDN固有のヘッダがあるかを見ます。
  • curl -I を使ってヘッダだけ確認すると手早いです。

Hyperforce移行時の追加要件

  • 証明書に *.my.salesforce.com を含める必要がある場合があります。移行先の要件を事前に確認し、証明書がカバーするホスト名を揃えてください。

よくあるFAQ(短答)

Q: 反映にどれくらいかかりますか?
A: DNSのTTL次第ですが通常数分〜48時間です。Q: キャッシュを無効にするには?
A: ブラウザで強制再読み込み、またはCDN管理画面でキャッシュをクリアしてください。

不明点があれば、具体的な状況(該当のドメイン名、確認したエラー)を教えてください。

参考情報・関連ヘルプ

公式ドキュメント

  • Salesforce ヘルプ(「CDN の有効化」「カスタムドメインの設定」「DNS ガイド」)をまず確認してください。手順や制限事項が整理されています。

チュートリアル・設定例

  • Trailhead モジュールや公式ブログには、実際の操作手順やスクリーンショットが載っています。例:カスタムドメイン追加から証明書の確認までの流れ。

DNS プロバイダの参考情報

  • Cloudflare、Amazon Route 53、各社のヘルプ(レコード追加、CNAME、TTL の設定例)を参照すると実作業が楽になります。

他クラウド/独自CDN の連携

  • AWS CloudFront、Azure CDN、Google Cloud CDN などのドキュメントに、Salesforce と組み合わせる場合の注意点が載っています。独自 CDN を使う場合は証明書とキャッシュ制御の設定を確認してください。

サポートとコミュニティ

  • 問題が発生したら Salesforce サポートへケースを作成してください。Trailblazer Community や技術系ブログは実務的な解決例が見つかります。

検索キーワード例

  • 「Salesforce CDN 有効化」「Salesforce カスタムドメイン DNS」「Salesforce CloudFront 連携」などで探すと目的の記事にたどり着きやすいです。

小さな注意点

  • DNS変更時は TTL を短めにして反映を待ち、キャッシュ削除手順を確認してください。設定前にバックアップを取ると安心です。
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