はじめに
お困りではありませんか?
「バウンス率」「直帰率」という言葉を見かけるけれど、意味がよくわからない――そんな疑問をお持ちではないでしょうか?本記事は、その疑問にやさしくお答えします。
本記事の目的
アクセス解析ツールを使う際に混乱しやすい「バウンス率」と「直帰率」の違いを、具体例や計算方法を交えてわかりやすく解説します。両者の使い分けや改善のヒントも紹介しますので、実務やブログ運営にすぐ役立てられます。
対象読者
- Webサイトやブログの運営者
- アクセス解析を始めたばかりの方
- 指標の意味を正確に理解したいマーケター
本記事の流れ
第2章から第8章まで順を追って説明します。まずは定義、その後に計算、違い、混同される理由、改善方法、具体例、最後にまとめへと進みます。読み進めることで、指標の見方が自然と身につく構成にしています。
バウンス率と直帰率の基本定義
はじめに
Webサイトの評価で「バウンス率」と「直帰率」はよく出てきます。用語が似ているため混同しやすいですが、ここでは誰にでも分かるように丁寧に説明します。
バウンス率(Bounce Rate)の定義
バウンス率は、訪問者がサイトのページにアクセスしてから、他のページに移動したり追加の操作を行うことなくそのまま離脱した割合です。たとえばブログ記事を読んでブラウザを閉じた場合はバウンスにカウントされます。イベント(動画再生やフォーム送信など)を「セッション内のアクション」として記録すると、バウンス扱いにならない場合があります。
直帰率の定義
直帰率は、ユーザーがサイトに訪れたときに最初に到達した1ページだけを見て離脱したセッションの割合を指します。つまり、セッション単位で「1ページだけ見て離れたか」を測る指標です。
わかりやすい具体例
- 訪問者A:ブログ記事を1ページ見て閉じた→直帰・バウンスともに該当する場合が多いです。
- 訪問者B:トップページから商品詳細へ移動して離脱→直帰には該当しません。バウンスでもありません。
注意点
バウンス率と直帰率は計測の設定やイベントの扱いで変わります。数字だけで判断せず、実際のユーザー行動も確認すると良いです。
バウンス率と直帰率の計算方法
基本の考え方
バウンス率も直帰率も「ある訪問がそのまま離脱した割合」を表す指標です。どちらも割合で表すことが多く、分数(0.3など)でもパーセント(30%)でも示せます。違いは数える単位と条件にあります。
バウンス率の計算式(例付き)
定義:バウンス数 ÷ 訪問数
ここで言うバウンス数は「ページに来て1回だけのヒットで離脱した訪問」の数です。
例:訪問数1,000件のうち、1ページだけ見て離脱した訪問が250件なら
バウンス率 = 250 ÷ 1,000 = 0.25 → 25%
直帰率の計算式(例付き)
定義:直帰セッション数 ÷ 全セッション数 × 100
直帰セッションは「ランディングページだけを見て離脱したセッション」です。
例:セッション数800件のうち、ランディングページのみで終わったのが160件なら
直帰率 = 160 ÷ 800 × 100 = 20%
計算上の注意点
- 指標はツールや設定で差が出ます。例えば、ページ上のイベント(動画再生やスクロール)を「インタラクション」として計測すると、単一ページでもバウンス扱いにならないことがあります。
- セッションと訪問の定義を使っている分析ツールで確認してください。
- パーセント表示か小数表示かで見え方が変わるため、レポート内で統一して示すと分かりやすくなります。
以上が計算方法の基本です。具体的な数値を当てはめて試算してみると理解が深まります。
バウンス率と直帰率の違いと使い分け
簡単な違いのまとめ
バウンス率は「サイトへの到達後、1回のヒット(例:ページ表示以外のイベントが無く)だけで離脱した割合」です。一方、直帰率は「訪問で1ページだけ見て離脱した割合」を指します。言い換えると、バウンスは“ヒット数”基準、直帰は“ページ数”基準と考えてください。
実務での技術的差(例:Adobe Analytics)
計測ツールによって扱いが変わります。例えばAdobe Analyticsでは、スクロールや動画再生といったイベントが発生するとバウンスにカウントされません。つまりユーザーが1ページでも何らかのアクションを起こせば“バウンスではない”と判断されます。しかし直帰率は基本的に1ページだけ見て離脱すれば直帰とされます。
数値の傾向と理由
バウンス率は直帰率より低く出る傾向があります。なぜなら、ページ内での小さなアクションがバウンス判定を免れるからです。両者の差はサイト構成やイベント設定で大きく変わります。
使い分けの指針
- 初期エンゲージメントを重視する場合はバウンス率を重視してください。ユーザーが最初に関心を持つかを見やすいです。
- サイト内回遊やコンテンツ全体の質を評価したい場合は直帰率を使うと分かりやすいです。ページから次へ進むかどうかを直接測ります。
したがって、両方を併用して、目的に応じて注目する指標を切り替えると良いでしょう。
実務上の注意点
イベントの定義やトラッキング設定で数値は変わります。比較するときは同じ条件で測ること、ツールの仕様を確認することを忘れないでください。
混同されやすい理由と実際の使われ方
なぜ混同されるのか
直帰率とバウンス率は用語や計算の仕組みが似ているため、解説記事やツールの表示で同じ意味に扱われることが多いです。過去に広く使われたツールでは用語を同一視していた例があり、その名残が業界に残っています。また日本語ではどちらも「1ページで終わる」といったイメージで伝わりやすく、混乱が生じます。
ツールごとの扱いの違い
一部のツールは両者を同じ指標として計算しますが、最新の解析ツールは厳密に区別します。たとえば「セッション内でページ遷移がない割合」を重視するもの、「イベントの有無を踏まえて滞在を評価する」ものなど計測方法が異なります。さらに、イベントやエンゲージメント指標の実装により数字が変わる点に注意が必要です。
実際の使われ方と注意点
コンテンツ改善では、数値そのものより傾向を重視してください。ツールを跨いで比較する際は計算条件(セッション定義、イベント計測の有無、タイムアウト設定など)を必ず揃えてください。社内で指標名を統一する運用ルールを作ると誤解を防げます。
混同を避けるためのチェックリスト
- 使用ツールがどのように計算しているか確認する
- イベントやエンゲージメントの扱いを把握する
- ツール間で比較する際は同じ条件でデータを取得する
- 指標名に注釈をつけて運用ドキュメントに残す
これらを実践すれば、数字の読み違いを減らし、より正確な分析につなげられます。
直帰率・バウンス率の高い/低い意味と改善方法
まずは意味を整理します
- 高い直帰率/バウンス率でも必ずしも悪いとは限りません。FAQや住所・営業時間などの単一情報を求めるページでは、訪問者が目的を達成してすぐ離脱する場合があります。その場合は問題ありません。
- 一方で、サイト内回遊やコンバージョン(購入や問い合わせ)を期待するページで率が高いと改善が必要です。例えば商品紹介ページやLP(ランディングページ)は低い直帰率が望ましいです。
どんな時に改善すべきか
- 訪問者の目的とページの役割にズレがあるとき
- ページが読みづらく、次に進む導線がないとき
- ページ表示が遅い、モバイルで見にくいとき
改善方法(実践的な手順)
- ターゲットの見直し
- ペルソナや流入元(広告・検索キーワード)を確認して、期待と提供内容を合わせます。具体的には広告文と着地ページの内容一致をチェックします。
- コンテンツの質を上げる
- 冒頭で結論を示し、見出しで内容を整理します。箇条書きや図で要点を伝えると離脱が減ります。
- 明確なCTAを置く
- 「購入する」「詳しく読む」「問い合わせ」のボタンを目立つ場所に置き、次の行動を示します。関連コンテンツへのリンクも効果的です。
- ページ導線の最適化
- 関連記事や次に読むべきページを設置し、内部リンクで回遊を促します。パンくずや目次も有効です。
- 技術面の改善
- 表示速度の改善、モバイル最適化、不要なポップアップの削減を行います。
- 測定とテスト
- セグメント別に直帰率を確認し、改善施策はA/Bテストで効果を検証します。イベント計測でユーザー行動を把握します。
上記を順に実施すると、訪問者の期待に合った導線が作れ、無駄な離脱を減らせます。まずはページの役割を明確にして、優先度の高い改善から取り組んでください。
具体例と計算式
この章では、具体的な数値例と計算式で直帰率とバウンス率の求め方を分かりやすく説明します。
直帰率の例
- 例:ページAに10人が訪問し、そのうち6人がページAだけ見て離脱した場合。
- 計算式:直帰率 =(ページAで直帰した訪問数 ÷ ページAに訪れた訪問数)×100
- 当てはめ:直帰率 =(6 ÷ 10)×100 = 60%
- 解釈:ページAを見た人のうち60%が他ページに移動せずに離脱したことを示します。
バウンス率の例
- 例:サイト全体で1ヒットのみで離脱した訪問が5件、全訪問数が20件の場合。
- 計算式:バウンス率 =(1ヒットのみで離脱した訪問数 ÷ 全訪問数)×100
- 当てはめ:バウンス率 =(5 ÷ 20)×100 = 25%
- 解釈:全訪問のうち25%は最初のページだけ見て離脱したことを示します。
両者の見方のポイント
- 直帰率はページ単位での「そのページだけで終わった割合」を表します。
- バウンス率はセッション全体で「最初のアクションだけで終わった割合」を表します。
実際の改善では、数値だけで判断せずページの役割やコンテンツの目的を照らし合わせて考えてください。
まとめ
この記事ではバウンス率と直帰率の違いを丁寧に解説しました。最後に要点と実務での活用法をまとめます。
- 定義の要点
- バウンス率:ユーザーが1回のヒット(イベントやエンゲージメントが発生しない)だけで離脱した割合を示します。主にイベント計測を含めた行動で判定します。
-
直帰率:セッション内で1ページしか閲覧しなかった割合を示します。イベントの有無に関係なくページ数で判定します。
-
使い分けの指針
- コンテンツ接触後の具体的な反応(クリック、動画視聴、フォーム送信など)を重視する場合はバウンス率を優先します。
-
ページ間の回遊や導線の評価が目的なら直帰率を優先します。
-
改善アクション(実務的)
- 計測を見直す:イベント定義とタグを適切に設定します。
- ランディングページを最適化する:見出し・導線・CTAを明確にします。
- コンテンツの関連性を高める:内部リンクやおすすめを配置します。
-
ページ速度とモバイル対応を改善します。
-
最後に
どちらの指標もユーザー行動を理解する上で重要です。目的に応じて使い分け、計測と改善を繰り返すことでサイトの成果が向上します。