はじめに
本資料は、1ページで完結するホームページ(シングルページ/ランディングページ)について、基本から活用までをわかりやすくまとめたガイドです。ページ構成やデザイン、用途、SEO対策、複数ページ型との違い、作成に使えるツールまで網羅的に解説します。
目的
- 1ページサイトの特徴を把握する
- 適した用途と注意点を理解する
- 実際に作る際の手順やデザインの考え方を学ぶ
対象読者
- 個人事業主や小規模事業者
- イベントやキャンペーンの担当者
- 初めてウェブ制作に取り組む方
- 既存サイトを簡潔にしたい方
本資料の使い方
各章を順に読むと、考え方と実践がつながります。まずは第2章でシングルページの基本をつかんでください。具体例や図解を交え、専門用語はできるだけ避けて説明します。
シングルページ(1枚ものホームページ)とは
概要
シングルページサイトは、すべての情報を一枚のページにまとめて縦にスクロールして閲覧する形式のWebサイトです。メニューはページ内の各セクションへ飛ぶアンカーリンクを使います。閲覧者はページを上下に移動しながら順に情報を確認できます。
構成と仕組み
一般に「ヒーロー(導入)」→「サービスや特徴」→「実績や事例」→「料金やプラン」→「お問い合わせ」といったセクションを並べます。グローバルナビはページ内アンカーでジャンプし、スムーズスクロールで移動することが多いです。スマホでも縦スクロールで見やすく設計します。
主な用途
- 企業や個人のプロフィール紹介
- サービス案内や製品の簡潔な紹介
- ランディングページ(LP)やキャンペーン
- ポートフォリオやイベント案内
用途が明確で伝えたいメッセージが絞られている場合に適します。
特徴と注意点
- 特徴:導線が単純で伝わりやすく、制作や更新が比較的早いです。スマホでの体験が良く、訪問者の離脱を抑えやすい利点があります。
- 注意点:情報量が多くなると長くなり読みづらくなります。SEO対策はページ内最適化が中心になりやすいので、構成と速度に配慮してください。
シングルページが選ばれる理由・メリット
シンプルで伝わりやすい
情報を絞って一列に並べるため、伝えたいことが明確になります。例えば新商品の紹介ページなら、写真・特徴・価格・購入ボタンを順に並べるだけで訪問者が迷いません。無駄なリンクやページ遷移が少ない分、印象が残りやすいです。
ユーザーが迷わない閲覧フロー
縦にスクロールするだけで必要な情報に到達できます。メニューやナビを最小限にすることで、目的のアクション(資料請求・問い合わせ・購入)へスムーズに導けます。ファーストビューで訴求点を示し、下部で詳しい説明とCTAを配置する設計が一般的です。
スマホ閲覧に適した設計
画面が小さいスマホでは、ページ遷移よりスクロールの方が操作しやすいです。レスポンシブ対応もしやすく、画像やテキストの並びを調整すれば閲覧体験を崩しません。表示速度も大切で、軽い構成にしやすい点が利点です。
CTAを集中させて効果を高める
資料請求や申し込みなどの行動を促す要素(CTA)を複数箇所に置けますが、導線が一本化されるので成果を管理しやすいです。A/Bテストを行い、ボタン文言や配置を最適化しやすい構造です。
運用・管理が簡単
ページ数が少ないため更新や保守が楽です。テキストや画像の差し替え、キャンペーンの入れ替えが短時間で済みます。コスト面でも制作・管理の負担を抑えられます。
使いどころの例
- 新商品・サービスのローンチページ
- イベントやセミナーの告知
- 個人のポートフォリオや名刺代わりのサイト
これらの用途では、情報を絞って行動につなげやすい点が特に有効です。
シングルページの主な用途・適性
概要
シングルページは、伝えたいことが明確で導線が単純な場合に特に力を発揮します。短時間で情報を把握でき、スマホでも見やすい設計に向きます。
よくある用途
- 商品・サービスの紹介/申し込み用ランディングページ(LP):購入や申込みを直接促す場面で効果的です。CTA(行動喚起)を中央に置けます。
- 企業や個人の簡易サイト(名刺代わり):連絡先・事業内容・実績をコンパクトにまとめられます。
- イベント・セミナー・キャンペーン告知:日時、場所、申込フォームを一画面で案内できます。
- ポートフォリオ・ギャラリー:作品や実績を視覚的に並べて見せるのに適します。
向いているケース
- 目的が一つに絞れている(申込、問い合わせ、閲覧など)
- 限られた予算や短納期で公開したい場合
- スマホ利用者が多く、縦スクロールで訴求したいとき
向かないケースと注意点
- 情報量が多くカテゴリ分けが必要な場合は複数ページ型が適します。
- サイト内で多くの検索や階層的な導線が必要な場合は不向きです。
- 法的表示(特商法、利用規約、プライバシーポリシー)や多言語対応が必要なときは別ページを用意してください。
実務上のポイント
- 重要な情報とCTAを上部に配置して離脱を防ぎます。
- セクションは見出しで区切り、アンカーリンクで移動しやすくします。
- 読み込み速度を優先し、画像やスクリプトを最適化します。
- SEOは限定的なので、狙うキーワードを絞ってメタ情報や構造化データを整えます。
シングルページの作り方とデザインのポイント
構成の基本
ヘッダー(ロゴ・ナビ)→ファーストビュー→サービス紹介→特徴・強み→実績・口コミ→CTA(問い合わせ・申込み)の順が一般的です。ページ内リンク(アンカー)を用意し、上部から自然に案内します。
ファーストビューで印象付ける
最初に強いメッセージとビジュアルを置き、主な価値を一文で伝えます。主ボタン(CTA)はここに一つ必須です。
ナビゲーションとアンカーリンク
固定ヘッダーやハンバーガーメニューで各セクションへジャンプできるようにします。ラベルは短く「サービス」「実績」など分かりやすくします。
コンテンツの並べ方
1セクション1テーマで簡潔にまとめます。サービスは箇条書きで分かりやすく、実績は数値やロゴ、口コミは短い引用を載せると信頼感が増します。
CTAとフォーム設計
CTAは色・サイズで目立たせ、文言は統一します。フォームは必須項目を絞り、入力の負担を減らしてください。送信後の確認や自動返信も用意します。
レスポンシブと表示速度
モバイル優先で設計し、ボタンは指で押しやすいサイズにします。画像は圧縮・遅延読み込みを採用して表示速度を確保します。
視覚の細かい配慮
余白を十分に取り、コントラスト高めの配色で可読性を保ちます。フォントは読みやすさを優先し、重要箇所は太字や色で強調します。
制作前のチェックリスト
アンカー動作、CTAリンク、フォーム動作、モバイル表示、表示速度、解析ツールの設置を必ず確認してください。
1ページホームページのSEO対策
概要
H1タグには最重要キーワードを1つだけ入れて、ページの主題をはっきり示します。ページタイトル(title)とメタディスクリプションも同じ主題に合わせます。本文では狙うキーワードを複数回自然に用い、検索者の意図に沿った情報を詳しく書きます。
見出しとタイトルの使い方
・H1は1つに限定し、「サービス名|主要キーワード」のように短く明確にします。
・H2・H3で細かい話題に分け、検索者の疑問ごとに答える構成にします。
ページ内の情報設計(重要)
・目次やアンカーリンクを設け、必要な情報へ簡単に移動できるようにします。
・FAQや料金表、導入事例など検索者が求める要素を順序立てて並べます。
技術的なポイント(やさしく)
・画像は圧縮してalt属性を付け、表示速度を上げます。モバイル対応は必須です。
・メタタグ、構造化データ(例:FAQ)を入れると検索結果で目立ちます。
・同じ内容を複数ページで使う場合はcanonicalで一本化します。
定期的な見直しと計測
・検索順位や流入キーワードを月1回程度チェックし、内容を更新します。
・ユーザーの行動(離脱場所や滞在時間)を見て改善を繰り返します。
ランディングページ(LP)との違いと使い分け
基本の違い
シングルページ(1枚もの)は、訪問者に特定の行動(申込、購入、問い合わせ)を起こしてもらうために情報を最小限に絞ります。ランディングページ(LP)はこの目的に特化したページで、広告やキャンペーンからの流入に使いやすい構成です。一方、複数ページ型サイトは会社情報や製品一覧、ブログなど幅広い情報を整理して掲載します。
デザインと導線の違い
LP/シングルページは縦に長く、ストーリー性を持って段階的に説得します。ボタンやフォームを目立たせ、離脱を減らす工夫をします。複数ページ型はメニューで各ページに移動させ、目的別に深い情報を提供します。
主な使い分けの目安
- 短期のキャンペーンや広告経由の申し込みを増やしたい:LP/シングルページが向きます。具体例:セミナー申し込み、期間限定割引。
- 会社の信頼性を示したい、商品を多数掲載したい:複数ページ型が適しています。具体例:企業サイト、商品カタログ。
運用・計測のポイント
LPはコンバージョン率(申込率)を中心にA/Bテストで改善します。複数ページ型は検索流入を育て、ブログやFAQで価値提供します。
選ぶ際のチェックリスト
- 目的は明確か(申し込みか情報提供か)。
- 流入経路は何か(広告・SNSか検索か)。
- 改善の余地を測る仕組みがあるか(計測ツール)。
目的に合わせて使い分ければ、効果を高めやすくなります。
参考デザイン・作成ツール
おすすめノーコードツール
- Wix:テンプレートが豊富でドラッグ&ドロップ操作が直感的です。ブログや予約、決済機能も使えます。初心者向けに便利です。
- STUDIO:デザイン自由度が高く、細かい見た目を調整しやすいです。コーディング不要でレスポンシブ対応します。
- Carrd/ペライチ:シンプルな1ページ制作に向きます。短期間で公開したい人に適しています。
- Squarespace:テンプレートの質が高く、写真やポートフォリオ向けに美しい仕上がりが得られます。
AIサイトビルダーの活用法
AIが文言やレイアウトの提案をしてくれます。初期案を素早く作り、あとから色や画像、CTAを調整すると効率的です。
テンプレート選びのポイント
- 目的に合った構成(商品の紹介、申し込み、問い合わせなど)を選ぶ
- スマホ表示で見やすいか必ず確認する
- 最初の“ファーストビュー”に伝えたい内容が入るか確認する
制作時の注意点
- 画像は軽めにして表示速度を確保する
- フォームやボタンは目立つ色で配置する
- 独自ドメインや解析ツール(Google Analytics等)を設定して効果測定する
これらを意識すると、専門知識がなくても見栄えと機能を両立した1ページサイトを作れます。
まとめ:1ページホームページを活用するポイント
1ページホームページを効果的に使うには、伝えたい情報を厳選してシンプルに伝えることが重要です。以下のポイントを押さえてください。
- 伝える内容を3つ以内に絞る
- 主メッセージ(何を提供するか)
- 利用者の利益(なぜ選ぶのか)
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明確な行動(申し込みや問い合わせなどのCTA)
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構成をスマホ優先で組む
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ヒーロー(冒頭)→特徴→実績→料金→FAQ→CTAの順で、縦に自然な流れを作ります。
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CTAは目立たせる
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色・文言・位置を工夫し、上部と下部に同じ行動を促すボタンを置きます。短い誘導文を添えると効果的です。
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SEOと表示速度の基本を守る
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タイトル・見出しに主要キーワードを入れ、画像は最適化して読み込みを速くします。
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作成ツールと運用コストを最適化する
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テンプレート型は短納期・低コスト、カスタムは独自性に有利です。更新頻度に合わせたプランを選びましょう。
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向き不向きの見極め
- 向いている:キャンペーン、個人サービス、商品1点の紹介、イベント告知
- 向かない:大規模な企業サイト、ECの多商品展開、多数の情報を整理する必要がある場合
実践チェックリスト:伝えたいことを絞る/CTAを明確にする/スマホでの表示を確認する/速度とSEOを調整する/運用方法を決める。これらを順に整えれば、1ページホームページは短期間で効果的に成果を出せます。