はじめに
「URLプレフィックス」という言葉を聞いて、何をどう管理すればよいか迷っていませんか?本記事は、Googleサーチコンソールの「URLプレフィックス」プロパティについて、初めての方でも分かりやすく理解できるように解説します。
この記事の目的
URLプレフィックスが何を指すのか、どんな場面で使うべきかを具体例を交えて説明します。サイト全体ではなく一部のURLだけを管理したいときや、認証方法を柔軟に選びたいときの判断材料になることを目指します。
想定する読者
サイト運営者、SEO担当者、部分的なアクセス管理が必要なウェブ担当者を主な対象にしています。専門用語は最小限にし、具体例で補足します。
本記事の流れ
第2章でURLプレフィックスの意味を説明し、第3章で「ドメインプロパティ」との違いを比較します。第4章以降で登録手順や注意点、活用シーンとメリット・デメリット、最終的な選び方まで順に解説します。
まずは基本の考え方を押さえて、適切なプロパティ選択につなげましょう。
URLプレフィックスとは?
「URLプレフィックス」とは、Googleサーチコンソールでプロパティを登録する方法の一つです。ある特定のURLで始まる範囲だけを管理対象にできます。たとえば「https://www.example.com/dir/」と登録すれば、そのディレクトリ以下だけが計測対象になります。
具体例
- https://www.example.com/dir/ を登録すると、https://www.example.com/dir/page.html や https://www.example.com/dir/sub/ 以下が対象です。
- https://example.com/ と https://www.example.com/ は別物です。http と https も別扱いです。
主な特徴
- 厳密一致:スキーム(http/https)、ホスト名(wwwの有無)、パスが一致したものだけが対象です。
- 部分指定が可能:サイト全体ではなく、サブディレクトリやサブドメインだけ管理できます。
- 登録の粒度が細かいので、特定のコンテンツだけ監視したい場合に向いています。
注意点
- ドメイン全体を管理したい場合はドメインプロパティの方が便利です。
- サイトの別バージョン(http版、wwwありなど)はそれぞれ登録が必要です。
ドメインプロパティとの違い
概要
Googleサーチコンソールには「ドメインプロパティ」と「URLプレフィックスプロパティ」があります。ドメインプロパティはドメイン全体(http/https、サブドメインを含む)を一括で管理できます。URLプレフィックスは、指定したURLの範囲だけを管理します。
比較のポイント
- 管理範囲:ドメインプロパティはexample.comや*.example.comの全てをカバーします。URLプレフィックスはhttps://example.com/blog/のようにプロトコルやパス単位で限定します。
- 認証方法:ドメインはDNSレコードの設定が必須です。URLプレフィックスはHTMLタグ、アップロードするファイル、Googleアナリティクス連携など複数の方法が使え、DNS権限が不要です。
- 運用のしやすさ:ドメインプロパティはサイト全体をまとめて見るときに便利です。一方、部分的に管理したいときや、外部サービスが一部だけ管理するケースではURLプレフィックスが向きます。
具体例
- サイト全体(wwwやshopなど複数サブドメイン)を一元管理したい場合はドメインプロパティを選びます。
- 一部のディレクトリだけを管理したい、あるいはDNSに触れない場合はURLプレフィックスを選びます。
注意点
DNSでの認証は正しく設定しないと反映が遅れることがあります。URLプレフィックスは管理範囲が細かくなるため、複数のプロパティ管理が必要になる点に気をつけてください。
URLプレフィックスの登録方法と認証手順
手順の流れ
- Googleサーチコンソールにログインして「今すぐ開始」を押します。2. 「URLプレフィックス」を選び、対象の完全なURL(例:https://example.com/blog)を入力して「続行」を押します。3. 所有権確認画面が表示されるので、希望する認証方法を選びます。
認証方法(わかりやすく)
- Googleアナリティクス連携:同じアカウントでトラッキングコードが入っていればほぼ即時で認証されます。管理画面の設定ミスがないか確認してください。
- Googleタグマネージャー連携:タグマネージャーのコンテナがサイトに設定済みなら利用可能です。コンテナIDが正しいか見直します。
- HTMLファイルのアップロード:指定されたファイルをサイトのルートフォルダに置きます。ブラウザで直接そのファイルにアクセスできるかチェックしてください。
- HTMLタグの追加:提供されるmetaタグを<head>内に追加します。キャッシュで反映が遅れることがあるので注意します。
よくあるトラブルと対処
- URLの指定ミス(https/http、wwwの有無):入力したURLが実際のサイトと一致しているか確認します。例:https://example.com と https://www.example.com は別扱いです。
- ファイルにアクセスできない(404):アップロード先やパーミッションを確認します。
- タグが反映されない:CMSやキャッシュプラグインでheadの編集がブロックされていないか確認します。
認証後にすること
認証が完了したら、Search Consoleの「パフォーマンス」や「カバレッジ」を確認してデータが取得されているか見ます。また、認証に使ったファイルやタグを勝手に削除しないでください。削除すると所有権が外れることがあります。
管理対象範囲の注意点
概要
URLプレフィックスは、登録した文字列と完全に一致するURLだけを計測対象にします。たとえば「https://www.example.com/」を登録すると、以下は対象外になります。
- http://www.example.com(プロトコルが異なる)
- https://example.com(wwwあり/なしが違う)
- https://www.example.com/blog/(サブディレクトリは別物)
よくある混乱と注意点
- 末尾のスラッシュ(/)や小さな差異でも別のプロパティとみなされます。URLは文字列として厳密に一致する必要があります。
- サイトが自動で別の形式にリダイレクトしている場合は、実運用上は主要な1つだけを確認すれば問題ないことが多いです。ただし、リダイレクトが不完全だとデータが分散します。
管理の実務的な対策
- 複数のバリエーション(http/https、wwwあり/なし、必要なサブディレクトリ)を個別に登録しておくと、漏れなくデータを集められます。
- サイト全体をまとめて管理したいときは、ドメインプロパティの利用を検討してください。サブディレクトリやサブドメインごとに個別に分析したいときは、URLプレフィックスが有効です。
- 登録と認証はそれぞれのプロパティで必要になります。プロパティが増えると管理作業も増える点に注意してください。
データ解釈のコツ
- データに欠けがあると感じたら、まず登録したURLの表記ゆれ(プロトコル、www、末尾の/)を確認してください。
- 必要に応じて、代表URLに統一するリダイレクトやCanonicalタグを検討すると、解析がわかりやすくなります。
URLプレフィックス活用シーンとメリット・デメリット
概要
URLプレフィックスは、サイトの一部分やサブドメインなど限定した範囲を細かく管理したいときに便利です。ここでは具体的な活用シーンと、導入時に押さえておくべき利点・注意点をわかりやすく解説します。
活用シーン(具体例)
- 特定ディレクトリの運用管理:/blog や /shop といった部分だけを個別に分析・保守するとき。
- サブドメインごとの担当分け:dev.example.com や info.example.com を担当チームごとに管理するとき。
- テスト環境やステージング:staging.example.com を本番と分けて計測・確認したいとき。
- キャンペーンページ:期間限定のページを独立して監視・最適化したいとき。
メリット
- 細かな管理ができる:サイト全体ではなく、必要な範囲だけを登録できます。運用の切り分けがしやすいです。
- 導入の敷居が低い:DNSの編集権限が不要な方法が多く、初心者でも始めやすいです(例:HTMLファイルの設置やメタタグ)。
- 認証方法が複数:ファイル設置、メタタグ、Googleアナリティクスの所有確認など、状況に応じて選べます。
デメリット
- 管理範囲が分散しやすい:サイト全体を把握したいとき、複数のプレフィックスを作る必要があります。
- データの統合が面倒:複数プロパティにまたがる分析は手間がかかります。全体像を見たい場合は不向きです。
- 表記の違いに注意:http/https や www の有無で別のプロパティが必要になります。登録漏れでデータが抜けることがあります。
運用上のポイント
- 主要な表記(http/https、wwwあり/なし)は必要に応じてすべて登録しておくと安心です。
- 全体分析が必要なら、ドメイン単位のプロパティと併用すると便利です。
まとめ・選び方のポイント
サーチコンソールの「ドメインプロパティ」と「URLプレフィックス」は、目的や運用体制に応じて使い分けると最も効果的です。
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全体を一元管理したい場合や、複数のサブドメイン(例:shop.example.com、blog.example.com)を運営する場合は、ドメインプロパティを選ぶと管理が簡単です。サイト全体のデータをまとめて確認できます。
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サブディレクトリごとに分けて管理したい場合(例:example.com/blog、example.com/shop)や、DNSの変更権限がないときは、URLプレフィックスが適しています。認証方法が柔軟で、部分的に管理できます。
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選び方のチェックリスト:
1) 管理したい範囲はサイト全体か一部か?
2) DNSの編集権限はあるか?
3) 複数のチームで別々に管理する必要はあるか?
これらを基に、運用担当者の責任範囲や管理のしやすさを優先して決めると、効率的にサーチコンソールを活用できます。URLプレフィックスは部分管理や認証方法の柔軟性を求める運営者に特に有用です。