はじめに
このドキュメントでは、Googleサーチコンソールのデータをバブルチャートで可視化し、SEO改善やサイト分析に役立てる方法を丁寧に解説します。
- なぜバブルチャートか
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バブルチャートは「クリック数」「表示回数」「平均掲載順位」など複数の指標を一度に描けます。たとえば、順位は横軸、表示回数は縦軸、バブルの大きさでクリック数を表すと、改善優先度が直感的に分かります。
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想定読者
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ウェブサイト運営者、SEO担当者、マーケティング担当の方。データ分析が初めての方でも分かるよう、専門用語は最小限にして説明します。
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前提条件
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Googleサーチコンソールのアカウントと、基本的な用語(クリック、表示回数、CTR、平均掲載順位)を知っているとスムーズです。
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本書の流れ(全7章の簡単な説明)
- 第2章: バブルチャートの仕組みと見方
- 第3章: 実際の作成手順
- 第4章: 分析時のポイントと活用例
- 第5章: Looker Studioテンプレートの使い方とカスタマイズ
- 第6章: 注意点とよくある疑問
- 第7章: まとめと次のアクション提案
以降の章では、実例と手順を交えてわかりやすく進めていきます。どうぞ気軽に読み進めてください。
サーチコンソールのバブルチャートとは?
概要
Googleサーチコンソールのバブルチャートは、検索パフォーマンスを直感的に見るためのグラフです。キーワードごとの表示回数、クリック数、CTR(クリック率)、平均順位などを同時に示せます。視覚的なので、どこに改善を優先するか判断しやすくなります。
基本構成
- 横軸:平均順位(数値が小さいほど上位)
- 縦軸:CTR(クリック率)
- バブルの大きさ:表示回数(大きいほど表示が多い)
- バブルの色:クリック数やデバイス、カテゴリーなどで分けられます
具体例で見る見方
- 表示回数が多くCTRが低い(大きくて下寄りのバブル)は、タイトルやスニペット改善の候補です。
- 順位が低くCTRも低い(左下)はコンテンツ強化や内部リンクの改善対象です。
- 順位もCTRも高い(右上)は現状維持か関連ワードの拡張を検討します。
利点
バブルチャートは複数指標を一度に比べられるため、作業の優先順位を決めやすくします。視覚で把握できるので、チームでの共有や報告にも向いています。
バブルチャートの作成方法と手順
準備
- Looker Studio(旧Googleデータポータル)にログインします。Googleアカウントで利用できます。
- サーチコンソールのプロパティ(サイト)にアクセス権があることを確認します。公式テンプレートを使うと簡単です。
手順(ステップごと)
- データ接続
- 「データを追加」→「Googleサーチコンソール」を選び、接続します。公式テンプレートを使うと接続済みの例が読み込まれます。
- チャート追加
- レポートの編集画面で「チャートを追加」→「バブルチャート」を選択します。
- プロパティ選択
- 画面右のデータソースで分析するサイト(プロパティ)を選びます。
- 指標の設定
- X軸:平均掲載順位(Average position)
- Y軸:CTR(クリック率)
- バブルの大きさ:クリック数または表示回数
- バブルの色:デバイス、クエリ、ページなど好みで設定できます。
- フィルタと期間
- クエリ、国、デバイス、期間を絞り込みます。たとえば「モバイルのみ」「過去28日間」など。
初心者向けのコツ
- まずは公式テンプレートを読み込み、指標だけ変更してみてください。数分で形になります。
- 大きさはクリック数、色はデバイスにすると視覚的に分かりやすいです。
- 必要に応じてバブルにラベル(クエリ名)を表示すると具体的な改善点が見つかります。
バブルチャートの分析・活用のポイント
見方の基本
横軸に平均掲載順位、縦軸にCTR、バブルの大きさを表示回数に割り当てると分かりやすいです。こうすることで「人気はあるのにクリックされない」ページを直感的に見つけられます。
リライトや新規狙いの見つけ方
- 狙い目の条件例:表示回数が多く、CTRが低い(目安:表示回数が多くCTRが平均を下回る)
- 対応策:タイトルやスニペットの改善、構成の見直し、スニペット強化(リード文の改善)
改善の優先順位付け
- インパクト×工数で優先度を決めます。大きなバブルで順位やCTRに改善余地があるものを優先します。
- 小さな改善で効果が見込めるものから着手すると効率的です。
デバイス別の傾向把握
- スマホとPCで別チャートを作り、表示差やCTR差を比較します。デバイス特有の問題(表示崩れや意図とずれたタイトル)を発見しやすくなります。
時間軸での追跡
- 週次・月次でバブルの位置と大きさの変化を記録します。改善施策の効果や季節要因を確認できます。
実務チェックリスト(短縮)
- 高表示・低CTRの選出
- タイトルとディスクリプションの仮説作成
- ページ内の導線・見出し改善
- デバイスごとの表示確認
- 施策後の週次で変化確認
ただし、数値だけで判断せず、コンテンツの意図や検索意図と照らし合わせることが重要です。
Looker Studioテンプレートの活用とカスタマイズ例
概要
Googleや有志のテンプレートは、コピーして使えるので導入が早いです。最初は既存の設定を確認し、データソースを自分のSearch Consoleに接続してください。
テンプレートの入手と初期設定
- テンプレートをコピーする。2. データソースを認可して接続。3. 指標(クリック数、表示回数、CTR、平均掲載順位)をマッピング。日付範囲を必ず確認します。
色分けルールの例
- 業種やカテゴリ別:カテゴリごとに色を割り当てる(CASE式でカテゴリを作る)。
- パフォーマンス別:クリック数やCTRで色分け(高→緑、中→黄、低→赤)。
閾値でのフィルタ設定
- クリック数や表示回数の閾値で表示を絞る(例:クリック>50、表示>1,000)。
- パラメータやコントロールを用いてユーザーが閾値を切り替えられるようにします。
週次/月次レポートの自動化
- レポートを複製して週次・月次ページを作成。固定期間のフィルタを設定します。配信スケジュールでPDFを自動送信し、データ更新頻度を調整します。
実践カスタマイズ例
- 優先改善リスト:バブルサイズ=クリック数、X軸=CTR、Y軸=平均順位、色=カテゴリ、上位50を表示。
- 新規キーワード発見:表示>1,000かつクリック<10のクエリを強調。
- チーム向けKPI:改善優先度スコアを計算フィールドで作成して色で着色。
注意点
データの遅延や抽出上限に注意し、指標定義がSearch Consoleと一致しているか都度確認してください。
バブルチャート分析の注意点・よくある疑問
重なって見づらいときの対処
バブルが重なると視認性が落ちます。期間を短くする、表示するクエリやページ数を絞る、あるいはクリックや表示回数で上位のみ抽出すると見やすくなります。色分けやフィルタでテーマ別に分けると傾向がつかめます。ツール側でバブル透明度や最大サイズを調整すると重なりが緩和します。
指標選択と解釈の注意点
平均順位とCTRは別の視点です。平均順位が高くてもCTRが低ければ、スニペットや競合の表示で流入が取れていない可能性があります。逆に順位が中位でもCTRが高ければ追加で伸ばせる余地があります。指標は必ず「何を改善したいか」に合わせて選び、バブルの意味を明確にしてから設定してください。
ロングテールクエリの扱い
クエリが多数ある場合は、上位表示しているものや流入が多いものに絞って分析します。類似クエリをグルーピングして集計すると傾向が見えやすくなります。大量のロングテールはノイズになりやすいので段階的に絞ると効率的です。
データの時間差や他ツールとの違い
Search Consoleは最大数日程度の遅延があります。GA4とは計測定義や集計方法が違うため数値が一致しないことが多いです。クリックとセッションは同じ指標ではないと理解して運用してください。
よくある疑問
Q: バブル位置が急に変わった理由は? A: ランキング変動、インデックスの変化、競合の動き、あるいは期間変更が原因です。
Q: 小さなバブルは無視してよい? A: 重要ではありませんが、積み重ねで意味を持つ場合もあるためテーマごとに判断してください。
まとめ・バブルチャートでSEO改善を加速しよう
ポイントの振り返り
バブルチャートは大量のキーワードを一目で把握し、改善すべき箇所を直感的に見つけられるツールです。検索回数・クリック数・CTRなどを軸にすることで、改善の優先度を数字と視覚で示せます。たとえば「表示回数は多いがクリックが少ない」キーワードはタイトル改善の候補になります。
すぐに始める3ステップ
- テンプレートを読み込む:Looker Studioなど既成テンプレートで手間を省けます。
- サーチコンソールを接続する:期間を30〜90日に設定して傾向を掴みます。
- 優先バブルから施策する:CTR低・表示高ならタイトルやスニペットを改善します。
実務での活用例
- 上位表示でCTRが低い記事:メタ説明やタイトルをテストして改善します。
- 表示は少ないがCTR高い語句:関連コンテンツを増やしてトラフィックを拡大します。
注意点
データの期間やサンプル数に注意してください。短期間だと誤った判断につながります。指標ごとの相関を必ず確認し、直感だけで変更しないようにします。
最後に
テンプレートを活用すれば初心者でも分析を始められ、意思決定のスピードが上がります。小さな仮説検証を積み重ねることで、着実にSEO効果を高めていきましょう。