はじめに
本書の目的
この章では、初心者や未経験者が自分でWebサイトを作るための全体像をやさしく説明します。独自ドメインやサーバーの準備から、WordPress、ホームページ作成ツール、HTML/CSSでの手作りまで、複数の方法を具体的に比較し、目的や予算に合った選び方を示します。
読者対象
・個人で情報発信したい方
・小規模ビジネスや店舗の簡単なサイトが欲しい方
・学習目的でWeb制作を始めたい方
本記事の進め方
各章で必要な準備、手順、メリット・デメリットを順に解説します。具体的な操作例や注意点も載せるので、そのまま進めれば実際に公開できるよう設計しました。用語はできるだけ噛み砕いて説明しますので、安心して読み進めてください。
Webサイト作成の準備と必要なもの
独自ドメイン(URL)
独自ドメインはインターネット上の住所です。例:your-site.com。取得はドメイン登録業者で行い、年間料金がかかることが多いです。短く覚えやすい名前を選びます。
サーバー(公開場所)
サーバーはサイトのデータを置く場所です。レンタルサーバー(共有・VPS)やクラウド型があります。初めは月額数百円〜の共有サーバーで十分です。
SSL(通信の保護)とバックアップ
SSLはhttpsで安全に通信する仕組みです。無料のものもあり、必ず設定します。定期的なバックアップも準備してください。
作成方法の選択と必要機能
目的に応じて選びます。情報発信用ならブログ機能、店舗なら決済・注文フォーム、予約ならカレンダーが必要です。後から追加できるか確認します。
費用の目安と無料オプション
ドメイン:年間約1,000〜3,000円。サーバー:月額数百〜数千円。無料サービスやサブドメインで費用を抑えられますが、独自性や制限に注意してください。
準備チェックリスト
- 目的と必要な機能を決める
- 独自ドメインを検討・取得する
- サーバーの種類を選ぶ
- SSLとバックアップの方法を決める
- 予算を確認する
これらを用意すると、次のステップでスムーズにサイトを作れます。
Webサイト作成方法の選択肢と特徴
1. WordPress(CMS)
- 概要: 管理画面から記事やページを簡単に作れます。テーマ(テンプレート)で見た目を変え、プラグインで機能を追加します。
- 特徴: デザインや機能の拡張がしやすく、SEO対策に役立つ設定が揃っています。例えばブログや企業サイト、ECの基礎にも使えます。
- 向いている人: 将来の拡張を考える方、記事更新を頻繁にする方。
- 注意点: サーバーやセキュリティ管理が必要です。
2. ホームページ作成ツール(Wixなど)
- 概要: ドラッグ&ドロップで直感的にページを作れます。テンプレートが豊富で、無料プランもあります。
- 特徴: 初心者でも短時間で形にできます。費用は無料〜月額制が一般的で、運用が手軽です。
- 向いている人: デザインは重要だが専門知識は使いたくない方、短期間で公開したい方。
- 注意点: カスタマイズの自由度がやや制限されます。
3. HTML/CSSでの手作り
- 概要: コードを書いて自分で全て作ります。細かいレイアウトや動作を自由に決められます。
- 特徴: 完全な自由度と軽い表示、学ぶことでWebの仕組みが深く理解できます。
- 向いている人: デザインや動作を細部までこだわりたい方、技術を身につけたい方。
- 注意点: 知識と時間が必要で、保守も自分で行います。
選び方の目安
- 更新や機能拡張を重視するならWordPress。
- 簡単さと速さを優先するならホームページ作成ツール。
- 完全な自由度と学習を求めるなら手作りを選んでください。
WordPressでWebサイトを作る具体的手順
1. 準備:独自ドメインとレンタルサーバー
- 独自ドメインは「example.com」など。運営名や用途に合わせて選びます。登録業者で取得します。
- レンタルサーバーはWordPress対応のプランを選ぶと簡単です。おすすめは自動インストール対応の会社です。
2. WordPressをインストール
- サーバー管理画面の「WordPress簡単インストール」を使えば数分で済みます。
- 手動で設定する場合は、FTPでファイルをアップロードし、データベースを作成して接続します。
3. 初期設定
- 「一般設定」でサイト名やキャッチフレーズを入力します。
- 「パーマリンク」は投稿名に設定するとSEOと見やすさが向上します。
4. テーマの導入とカスタマイズ
- 無料・有料テーマから選びます。外観→テーマで追加できます。
- ロゴや色、レイアウトはカスタマイザーで変更します。実際に見ながら調整します。
5. 必要なプラグインを追加
- 例:SEO対策、バックアップ、セキュリティ、問い合わせフォーム。プラグインは必要最低限に絞ります。
6. ページと記事の作成
- 固定ページは「会社概要」や「お問い合わせ」。投稿はブログやお知らせに使います。
- メニュー設定で見出しを整理して公開準備を整えます。
7. 公開と運用
- 定期的にバックアップと更新を行います。アクセス解析を入れると改善に役立ちます。
- 検索機能やポータル風の機能は、テーマやプラグインで簡単に追加できます。
HTML/CSSでの手作りWebサイト作成手順
準備するもの
- テキストエディタ(メモ帳でも可。おすすめはVisual Studio Codeなど)
- ブラウザ(ChromeやFirefoxなど)
- 画像や素材を入れるフォルダ
- 公開する場合はレンタルサーバーかGitHub Pagesなど
作成手順(ステップ)
- ファイルを用意する
- プロジェクト用フォルダを作り、index.htmlとstyles.cssを作成します。
- 基本のHTMLを書く
- <!DOCTYPE html>から始め、、、を用意します。
- タイトル、見出し、段落、リンクを入れてページの骨組みを作ります。
- 画像やメディアを配置する
- imagesフォルダを作り、
で読み込みます。ファイル名は半角英数字にすると安全です。
- CSSでデザインを整える
- styles.cssに色、余白、フォントサイズを指定します。classやidで要素を分けて管理します。
- レスポンシブ対応
- ビューポートのを設定し、@mediaで画面幅ごとの調整をします。簡単には%やflexboxを使うと扱いやすいです。
- ブラウザで確認して修正
- 保存してブラウザで表示をチェックし、表示崩れやリンク切れを直します。
- 公開する
- FTPやレンタルサーバー、またはGitHub Pagesにファイルをアップロードして公開します。
実践のコツ
- ファイル構成をシンプルに保つ(html、css、imagesなど)。
- コメントを使って何をしているか書いておくと後で助かります。
- 同じデザインはclassでまとめて再利用すると作業が楽になります。
- 定期的にバックアップを取り、サイトが大きくなると管理用のCMS導入を検討してください。
この方法はコードの仕組みを学ぶのに最適です。ページ数が増える場合は更新作業が大変になるため、そのタイミングで他の方法を検討するとよいです。
ホームページ作成ツールの特徴と使い方
ホームページ作成ツールは、専門知識がなくても短時間で公開できる点が大きな魅力です。以下に特徴と代表的な使い方、注意点をわかりやすく整理します。
特徴
- 無料プランが多く、テンプレートを選んでドラッグ&ドロップで編集できます。
- レスポンシブデザイン対応が一般的で、スマホ表示も自動調整されます。
- 独自ドメイン利用や広告の非表示、機能拡張は有料プランが必要な場合が多いです。
- デザインや機能の自由度はサービスごとに差があり、細かいカスタマイズは制限されます。
主なサービスの向き不向き(例)
- Wix:デザイン自由度が高く直感的。中小規模サイト向け。
- Squarespace:洗練されたテンプレートが豊富。ブランドサイトに適します。
- Jimdo:初心者向けで手早く作れる。
- Google Sites:無料で社内共有や簡易サイトに便利。
- Shopify:EC専用。販売機能が充実。
- Webflow:デザインの細部まで調整したい人向け(学習は必要)。
基本的な使い方(共通手順)
- アカウント登録してログインします。
- テンプレートを選びます(業種や雰囲気で選ぶと早いです)。
- テキストや画像をドラッグして編集します。
- ページ追加やメニュー設定を行います。
- スマホ表示を必ず確認します。
- 独自ドメインを設定し、公開ボタンで公開します。
- SEOのタイトルや説明を入力し、公開後は解析ツールでアクセスを確認します。
よく使う機能(例)
- お問い合わせフォーム、ギャラリー、ブログ、予約・決済機能、アクセス解析。
- 画像の自動最適化やSNS連携もよく使います。
選び方のポイントと注意点
- 目的に合う機能があるか(EC、予約、ブログなど)を確認してください。
- 将来の拡張性やサイトの引っ越し(エクスポート)が容易かチェックします。
- 無料プランは広告表示や独自ドメインの制限がある点に注意してください。
- ページ速度やSEO対策のしやすさも重要です。
まずは無料版で操作感を試し、目的に合えば有料に切り替えると無駄が少なく進められます。
各方法のメリット・デメリット比較
以下では、代表的な3つの方法を使い方を想定してわかりやすく比べます。
WordPress(用途例:ブログ・中小企業・拡張が必要なサイト)
- メリット
- 初期は簡単に始められる:既成テーマやプラグインで見た目や機能を追加できます。
- 拡張性が高い:ネットショップや会員制など後から機能を増やせます。
- SEOに強い:検索対策用のプラグインが使えます。
- デメリット
- サーバーやドメイン費用が必要です。
- 初期設定や更新、バックアップがやや手間です。しかもセキュリティ対策は自分で行う必要があります。
作成ツール(例:Wix、Squarespace等/用途例:簡単な店舗や個人ページ)
- メリット
- 無料プランで手軽に始められます。ドラッグ&ドロップで直感的に作れます。
- ホスティングやSSLなどがセットになっていることが多いです。
- デメリット
- デザインや機能に制限があります。
- 独自ドメインや高度な機能は有料になることが多く、他のサービスへ移行しにくいです。
HTML/CSSを手作り(用途例:学習用・高い自由度が必要なサイト)
- メリット
- 自由度が最も高く、表示が軽く高速になります。
- コードを学べば応用が効きます。
- デメリット
- HTMLやCSS、場合によってはプログラミング知識が必須です。
- 更新や保守が大変で、複雑な機能は実装が難しい場合があります。
用途に合わせて選ぶと良いです:手軽さ重視なら作成ツール、拡張性と将来性ならWordPress、学びながら自由に作りたいなら手作りをおすすめします。
初心者におすすめの選択肢とアドバイス
まずは目的をはっきりさせる
何を作りたいかを最初に決めます。ブログ、企業サイト、ポートフォリオ、ECなどで必要な機能が変わります。例:文章中心の情報発信ならブログ、作品見せ場ならポートフォリオ向けです。
初心者におすすめの選択肢
- WordPress+レンタルサーバー
- 理由:導入が比較的簡単で機能拡張が豊富です。将来の変更にも強く、ブログや企業サイトに向きます。ドメインとサーバー代がかかりますが、運用が安定します。
- ホームページ作成サービス(ドラッグ&ドロップ型)
- 理由:操作が直感的で短時間で公開できます。デザインを重視する個人サイトや小規模事業に便利です。機能は限定的な場合があります。
- 手作り(HTML/CSS)
- 理由:学習目的や軽い固定ページに向きます。無料で公開でき、細かい見た目調整が可能です。ただし高度な機能を追加するには習得が必要です。
選び方のポイントと始め方
- 予算と更新頻度を確認する(安く済ませたい・頻繁に更新する)。
- 将来の拡張性を考える(複数人で運用するか、機能追加があるか)。
- 最初は小さく始めて、慣れたら徐々に拡張するのがおすすめです。
- セキュリティ、バックアップは早めに対策してください(定期的な更新や自動バックアップを設定)。
初心者はWordPress+レンタルサーバーから始めると学びやすく、後で迷わず拡張できます。サイトの目的を明確にして、無理なく続けられる方法を選んでください。