awsボリュームの基礎知識と活用法を徹底解説します

目次

はじめに

「EBSって何?」「ボリュームってどう使うの?」と感じていませんか?

本記事はAWSのストレージサービスの中でも、特にEBS(Elastic Block Store)に焦点を当てています。EBSボリュームの基本的な特徴や、実務でよく使う用途、種類の選び方、Windows Serverでの増設手順、コストを抑える方法、さらにECSなど他のAWSサービスとの連携例まで、順を追ってやさしく解説します。

この記事でわかること
– EBSボリュームの役割と特徴
– よくある使い方と注意点
– 種類ごとの違いと選び方の考え方
– Windows環境でのボリューム増設の流れ
– コスト削減の実践テクニック
– ECSなどサービス別の活用例

対象読者
– クラウド運用を始めたばかりの方
– サーバーのストレージ管理に不安がある方
– 既存環境のコストを見直したい方

前提知識
AWSの基本用語(EC2など)の概念がわかると読みやすいですが、必須ではありません。段階を追って説明しますので、初めての方でも安心して読み進めてください。

AWSにおける「ボリューム」とは

ボリュームとは何か

「ボリューム」とは、クラウド上の仮想ディスクです。AWSでは主にAmazon Elastic Block Store(EBS)がこの役割を担い、EC2インスタンスやECSタスクに接続して使います。実際のパソコンで言えば、ハードディスクやSSDと同じようにデータを書き込める領域です。

ブロックストレージの特徴(分かりやすい例)

ブロックストレージはファイル単位ではなく「ブロック単位」でデータを扱います。例えると、小さな箱(ブロック)を並べて大きな引き出し(ディスク)を作るイメージです。ファイルサーバーやデータベースのように細かい読み書きが多い処理に向いています。

主なポイント

  • 永続性:インスタンスを停止・終了しても、ボリューム自体は残せます。データの保存用途に適します。
  • アタッチ/デタッチ:必要なときにインスタンスへ接続して利用します。メンテナンス時に切り離せます。
  • スナップショット:ボリュームの状態を保存してバックアップや複製に使えます。復元も簡単です。
  • パフォーマンス:読み書きの速さや同時処理能力(IOPS)を選べます。用途に応じて調整します。
  • 可用性と暗号化:リージョン内で高い耐久性を持ち、暗号化も標準で使えます。
  • AZ(アベイラビリティゾーン)に紐づく:ボリュームは特定のAZに存在するため、同じAZ内で使うのが基本です。

どんな場面で使うか(具体例)

  • OSを入れるルートボリューム
  • データベースのストレージ(例:MySQLやPostgreSQL)
  • アプリのログや一時ファイル用
  • 大きなファイルを扱う処理の作業領域

ECSやEC2でのイメージ

EC2では直接アタッチしてルートやデータ領域に使います。ECSではタスクにボリュームを割り当ててコンテナ間で永続化できます。用途に合わせてサイズや性能を選ぶと、運用が安定します。

EBSボリュームの主な用途と特徴

概要

EBS(Elastic Block Store)は、EC2インスタンスやECSタスクに接続できるブロックストレージです。データベースやファイル保存など、ディスク感覚で使う用途に向いています。

主な用途

  • データベース(例:MySQL、PostgreSQL)の永続ストレージ
  • アプリケーションのログや一時ファイルの保存
  • バックアップ目的のスナップショット取得
  • テスト用の環境複製(本番のコピーを作る)

特徴

  • 永続性:インスタンスを停止してもデータは残ります。再起動後にそのまま使えます。
  • 暗号化:AWS KMSで暗号化できます。データとスナップショット両方を守れます。
  • スナップショット:増分方式で効率的に保存できます。障害時の復旧や環境複製に便利です。
  • パフォーマンス監視:CloudWatchでIOPSやスループット、レイテンシを確認できます。
  • 柔軟な接続:一つのボリュームをEC2にアタッチして使います。ECSではタスクにマウントして利用します。

運用のポイント

  • ワークロードに応じてIOPSやスループットを意識して選びます。詳しい種類は次章で解説します。
  • スナップショットは定期的に取り、自動化すると復旧時間を短縮できます。
  • CloudWatchのメトリクスを監視して早めに性能ボトルネックを発見してください。

EBSボリュームの種類と選び方

概要

EBSには用途別に最適化された複数の種類があります。代表的なものは汎用SSDのgp3/gp2、高IOPS向けのio1/io2、スループット重視のst1、コールドデータ向けのsc1です。用途と予算に合わせて選びます。

各タイプの特徴(簡潔に)

  • gp3: 最新の汎用SSD。IOPSとスループットを独立して設定可能でコスト効率が高い。一般的なサーバーやブートディスク向け。例:Webサーバー、アプリサーバー。
  • gp2: 従来の汎用SSD。サイズに応じてバースト性能が変わるため、予測しにくい負荷では注意。
  • io1/io2: 高IOPSを継続して必要とするデータベースなどに最適。io2は耐久性がさらに高い。例:ミッションクリティカルなDB。
  • st1/sc1: HDDベースで大容量・スループット重視。ログ解析やビッグデータ向け。sc1はさらに低コストでアクセス頻度が低いデータ向け。

選び方の手順(実践)

  1. ワークロードを分類:ランダムIOが多いか、シーケンシャルかを確認します。
  2. 要件を測定:必要なIOPSとスループット、容量、レイテンシ許容を決めます。
  3. 優先度を決定:コスト重視か性能重視かを整理します。
  4. 選択と検証:候補を選び、実際に負荷をかけて性能を確認します。必要ならio2やプロビジョニングで調整します。

実用アドバイス

  • 一般用途はまずgp3を検討するとコストと性能のバランスが取れます。
  • データベースではIOPSと耐久性を重視してio2を検討してください。
  • コスト見直しの際はgp2からgp3への移行で節約できることが多いです。

EBSボリュームの増設・容量変更手順(Windows Server例)

概要

AWSコンソールからEBSボリュームのサイズを変更し、Windows Server上でパーティションを拡張する手順を具体的に説明します。サーバー停止なしで容量拡張できるケースが多いです。

手順(AWS側)

  1. AWSマネジメントコンソールにログインし、EC2ダッシュボードの「ボリューム」を選択します。
  2. 容量を増やしたいボリュームをクリックし、「ボリュームの変更(Modify Volume)」を選択します。
  3. 新しい容量(GiB)を入力して「変更(Modify)」を確定します。変更後、ステータスが“optimizing”→“completed”に変わるのを確認します。

手順(Windows側)

  1. リモートで対象のWindows Serverに接続します。管理者権限で作業してください。
  2. 「ディスクの管理」(Win+R → diskmgmt.msc)を開きます。ボリュームの未割り当て領域が表示されていることを確認します。
  3. 対象のボリュームを右クリックし「ボリュームの拡張(Extend Volume)」を実行します。ウィザードに従って追加領域を割り当てます。
  4. コマンドで行う場合は、管理者コマンドプロンプトで下記を実行します。
  5. diskpart
  6. list volume
  7. select volume <番号>
  8. extend size=<追加MB>

注意点

  • 容量の縮小はできません。増加のみ可能です。
  • 重要データは事前にスナップショットやバックアップを取得してください。
  • ボリュームタイプやインスタンスの世代によっては、操作中に一時的な性能変化が起きることがあります。

EBSボリュームのコスト節約術

概要

EBSのコストを下げるには、不要なボリュームの削除や、コスト効率の良いボリュームへ移行することが有効です。可視化と自動化で運用負荷も減らせます。

無駄なボリュームを見つける

AWS Cost Explorerやリソースタグで利用状況を確認します。例えば「未接続のボリュームが30日以上放置」していれば削除候補です。スナップショットを取ってから削除すると安全です。

gp2からgp3への移行

gp3は同等以上の性能をより低コストで提供できます。必要なIOPSやスループットだけを設定できるため、過剰な性能を買わずに済みます。移行はコンソールやAPIでボリューム変更を行うだけで済む場合が多いです。

ライフサイクル管理と自動化

スナップショットの自動作成・削除はLifecycle Managerで設定します。インスタンス作成時に“Delete on Termination”を有効にすると、不要ボリュームを残しません。

小さな工夫で節約

不要データの圧縮やログのローテーション、ボリュームサイズの適正化を行います。タグでコスト責任を明確にすると、無駄削減が進みます。

AWSサービスごとのボリューム活用例(ECSの場合)

概要

ECSでも永続化のためにボリュームを活用できます。FargateではEBSを直接使えないためEFSやS3を使うことが多いですが、EC2ランチタイプならEBSをインスタンスにアタッチしてコンテナから利用できます。

EC2ランチタイプでの基本パターン

1) EC2インスタンスにEBSをアタッチし、OSでマウントする。2) タスク定義のvolumesで”host.sourcePath”を指定し、コンテナ内にマウントする。これでコンテナの再起動やタスク入れ替えでデータを残せます。

タスクごとの運用例(具体例)

  • 本番: ボリュームを個別に作成し、バックアップ用にスナップショットを定期取得。暗号化を有効にする。
  • テスト: 小容量のボリュームを使い、使い捨てで破棄。タグで環境を管理すると切り替えが簡単です。

共有と注意点

複数インスタンスで同じEBSを同時に書き込むとファイルシステムが壊れる恐れがあります。複数ノードで共有する場合はEFSやS3を検討してください。EBSはAZに紐づく点にも注意し、運用ではスナップショットやタグ、暗号化を組み合わせて管理すると運用が楽になります。

まとめ:AWSボリューム管理のポイント

以下では、運用で押さえておきたい要点を分かりやすくまとめます。

  • 適切なボリューム選定
  • 用途でタイプを選びます。例:高IOが必要なデータベースはio2、汎用的なWebサーバーはgp3がコスト効率的です。

  • 容量と性能の見直し

  • 定期的に使用状況を確認し、無駄な容量を削除します。必要なら増設やスループット調整を行います。

  • バックアップと復元

  • スナップショットを習慣化し、復元手順を定期的に検証します。重要データは複数世代で保管します。

  • セキュリティとアクセス管理

  • 暗号化とIAMによるアクセス制御を適用します。キー管理はKMSで統一すると運用が楽になります。

  • 監視とアラート

  • CloudWatchなどでI/Oやレイテンシ、スループットを監視し、閾値超過時に通知します。

  • コスト最適化

  • 未使用ボリュームの削除、古いスナップショットのライフサイクル管理、必要に応じてgp3などへ移行します。

  • 運用の基本

  • タグ付けで所有者や用途を明確にし、変更は手順書に沿って実施します。定期的なテストで復元や拡張操作を確認します。

これらを習慣化すれば、可用性・性能・コストのバランスを保ちながら安全に運用できます。

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