はじめに
この文書の目的
この文書は、Webサイト制作や運営、検索に関する基本用語を初心者にもわかりやすく解説するために作りました。ドメインやホスティング、CMS、レスポンシブデザイン、SSL証明書などの基礎から、検索キーワードやGoogle検索コマンド、SEOやアクセス解析の重要な用語までを取り上げます。
誰向けか
・これからWebサイトを作る方
・社内でWeb担当になった方
・SEOやアクセス解析を学び始めた方
具体例を交えて説明しますので、専門知識がなくても読み進められます(例:ドメインは example.com、CMSは WordPress)。
使い方
用語ごとに意味と使い方、実務での注意点を短くまとめます。必要な箇所だけを参照して学べる構成です。実際の操作方法は各章でリンクや具体例を示します。
本書の構成
全10章で、基本から応用まで順に学べます。第2章はドメイン、第3章はホスティング、第4章はCMSと続きます。各章を順に読めば、Web運営の全体像がつかめます。
ドメイン
ドメインとは
ドメインは、インターネット上の「住所」にあたります。たとえば「www.example.com」のように表示され、訪問者がサイトにたどり着くために使います。覚えやすい文字列を設定することで、信頼感や認知度が高まります。
ドメインの役割
- 人が覚えてアクセスするための名前になります。IPアドレス(数字列)を人向けにしたものです。
- ブランドを表す要素になります。会社名やサービス名を含めると認識されやすくなります。
ドメイン選びのポイント
- 短くて覚えやすいこと。例:yourcompany.com
- 誤字されにくいスペルにすること。
- 主要なトップレベルドメイン(.com、.net、.jpなど)を検討すること。
- 商標や既存サービスと被らないか確認すること。
取得方法と費用
- レジストラ(取得代行業者)で検索して購入します。年単位で更新費用がかかります。
- 価格はTLDやプロモーションで変わりますが、一般的なものは数百〜数千円/年です。
注意点
- 期限切れで第三者に取得されるリスクがあるため、更新を忘れないようにします。
- WHOIS情報(所有者情報)公開の可否を確認し、プライバシー保護オプションを検討してください。
サブドメインの使い方(例)
- blog.example.com や shop.example.com のように、本体ドメインの下に用途ごとに分けて使えます。柔軟に運用できます。
ホスティング
ホスティングとは
ホスティング(レンタルサーバー)は、Webサイトのファイルやデータベースを保存し、24時間インターネット上で公開するサービスです。利用料を支払いサーバーを借りるイメージで、サイトを訪れた人にページを見せる役割を担います。
主なホスティングの種類
- 共有ホスティング:複数のユーザーで1台のサーバーを使います。料金が安く、ブログや個人サイトに向いています。設定が簡単です。
- VPS(仮想専用サーバー):1台の物理サーバーを分割して専用領域を使います。性能や設定の自由度が高く、中~上級者やアクセスが増えるサイト向けです。
- 専用サーバー:1台を丸ごと借りる方式で、高負荷や細かい設定が必要な大規模サイトに適します。費用は高めです。
- クラウドホスティング:必要に応じてリソースを増減できます。アクセスの変動が大きいECサイトやサービスに向きます。
選び方のポイント
- 容量と転送量:画像や動画を多く使う場合は十分な容量と転送量が必要です。
- 稼働率(可用性):99%台の表示が一般的です。ダウンは信頼に関わります。
- サポート体制:電話やチャットでの対応があるか確認しましょう。初心者は日本語サポートが安心です。
- バックアップとセキュリティ:定期バックアップやファイアウォール、SSL対応の有無を見ます。
- 料金と契約期間:月額と年額の違い、初期費用を確認します。
契約から公開までの流れ(簡単)
- プランを選ぶ(用途に応じて)
- アカウントを作成して契約する
- ドメインを取得または既存ドメインを紐付ける
- ファイルやCMSをアップロードして公開する
運用時の注意点
- 定期的にバックアップを取り、ソフトウェアは最新に保ちます。
- アクセスが増えたらプランの見直しやスケールアップを検討しましょう。
具体例:個人のブログなら共有ホスティングで十分です。小規模のECや会員制サービスはVPSやクラウドを選ぶと運用が安定します。
CMS(コンテンツ管理システム)
CMSとは
CMSは専門知識がなくても、文章や画像を追加・編集してWebサイトを更新できる仕組みです。日々の更新を誰でも行えるため、ブログや企業サイト、ニュースサイトで広く使われています。
代表的なCMS
- WordPress:自由度が高く拡張性に優れ、ブログや企業サイトで最も多く使われます。
- Shopify:ネットショップ向けのクラウド型で、決済や発送連携が簡単です。
- Wix/Squarespace:ドラッグ&ドロップで直感的に作れます。
種類(形態)
- 自社サーバーに設置するタイプ(例:WordPressの自己ホスティング):細かくカスタマイズできますが、更新や保守を自分で行います。
- クラウド型(例:Shopify、Wix):運用が簡単で初期設定が楽ですが、カスタマイズ性は限定されます。
選び方のポイント
目的(ブログ、コーポレート、EC)を明確にし、使いやすさ、費用、セキュリティ、拡張性を比較してください。例えば、少人数でECを始めたいならShopify、情報発信中心ならWordPressが向きます。
導入と運用の流れ
- 目的に合うCMSを選ぶ
- テーマ(見た目)を決める
- プラグインやアプリで機能を追加する
- 定期的にバックアップと更新を行う
- ユーザー権限を設定して編集者を管理する
よくある疑問
- SEOはできますか?: はい。多くのCMSはSEO対策機能やプラグインがあります。
- デザインは自由にできますか?: 自由度はCMSによります。細かいデザイン変更は開発者に依頼する場合があります。
レスポンシブデザイン
概要
レスポンシブデザインは、PC・スマートフォン・タブレットなど画面サイズに応じて表示を自動で調整する手法です。1つのHTMLで複数端末に対応でき、管理が楽になります。
主なメリット
- サイト管理を一元化できる
- ユーザー体験が向上する(読みやすさ・操作しやすさ)
- 同一URLでSEOに良い影響を与える場合がある
実装の基本(具体例で説明)
- ビューポート設定: を最初に入れます。
- レイアウト: CSSのFlexboxやGridを使うと、列の並び替えや比率調整が楽です。
- メディアクエリ: @media (max-width: 768px) { … } でスマホ向けの調整を行います。
画像とフォントの扱い
- 画像はsrcsetやpictureで複数サイズを用意し、ネットワーク負荷を下げます。
- フォントはremやvwで指定すると相対的に拡大縮小します。
操作性のポイント
- ボタンやリンクは指で押しやすい大きさにする(目安は44px以上)
- メニューはハンバーガーやオフキャンバスで省スペースに
テスト方法
- ブラウザのデベロッパーツールで画面幅を切り替えて確認します。
- 実機確認も必ず行い、読み込み速度はLighthouseやPageSpeedで測定します。
SSL証明書
SSLとは
SSL証明書は、Webサイトと利用者の間の通信を暗号化するための仕組みです。URLが「https://」で始まるときに使われ、入力したパスワードやクレジットカード番号などを安全に送受信できます。
なぜ必要か
サイトが個人情報や決済情報を扱う場合は必須です。ブラウザは安全でない接続に警告を出し、利用者が離れる原因になります。さらに、検索エンジンはhttps対応を評価し、検索順位の向上につながることがあります。
証明書の種類(簡単な説明)
- 無料の証明書:短期間で発行され、自動更新に対応することが多いです。小さなサイトやテストに向きます。例:Let’s Encrypt。
- 有料の証明書:発行に本人確認を伴い、サポートや保険が付く場合があります。企業サイトや決済サイトで選ばれます。
- 検証レベル:ドメイン検証(DV)は所有確認のみ、組織検証(OV)は会社情報の確認を行います。
導入の流れ(手順)
- サーバーで鍵(秘密鍵)と署名要求(CSR)を作成します。
- 証明書発行機関に申請して証明書を受け取ります。
- サーバーに証明書をインストールしてHTTPSを有効化します。
- 有効期限切れに備え、自動更新設定や更新通知を確認します。
注意点と運用
- 有効期限に注意し、期限切れで接続が途切れないよう管理します。
- サイト内でHTTP画像やスクリプトが混在すると警告になるため、全てHTTPSに統一します。
- ホスティングやCMSによっては簡単に導入できるツールがあるため、まずは管理画面を確認してください。
ブラウザ
ブラウザとは
ブラウザはWebページを閲覧するためのソフトです。URLを入力すると、サーバーから情報を受け取り画面に表示します。PCだけでなく、スマートフォンやタブレットでも使います。
主なブラウザと特徴
- Google Chrome:表示速度や拡張機能が豊富で、開発者にも人気です。
- Microsoft Edge:Windowsに馴染みやすく、最近はChromeと同じ仕組みを使っています。
- Firefox:プライバシー機能やカスタマイズ性が高いです。
- Safari:Apple製品で標準のブラウザで、MacやiPhoneで主に使われます。
よく使う機能
キャッシュやクッキーの管理、シークレット(プライベート)モード、拡張機能(アドオン)があります。開発者ツールを使うと、表示の確認や調整ができます。
Web担当者が知っておくべきこと
ブラウザごとに表示や挙動が微妙に異なります。レスポンシブ表示やフォームの挙動、CSSの解釈差を確認してください。複数のブラウザでテストし、必要ならポリフィルや代替コードを用意します。常に最新の状態に更新し、セキュリティや互換性を保つことが重要です。
検索キーワード関連用語
サジェストキーワード(候補表示)
検索窓に文字を入力した際に表示される候補です。ユーザーの過去の検索履歴や地域、端末によって表示が変わります。例:検索窓に「パンケーキ」と入れると「パンケーキ レシピ」「パンケーキ 東京」などが出ます。使い方:検索ユーザーが実際に入力しそうな語を見つけるのに便利です。ただし個人差がある点に注意してください。
関連キーワード(検索結果の下部など)
入力語句に関連して多くの人が検索する語句で、検索結果ページ下部などに表示されます。サジェストよりも一般的で、全ユーザーに共通する傾向があります。使い方:記事のテーマ設計や見出し作りに役立ちます。
共起語(共に使われる語)
あるキーワードと一緒に文章内で頻繁に出現する語です。専門性や網羅性の高い記事では多く含まれます。例:「ダイエット」なら「カロリー」「食事」「運動」など。使い方:本文や見出しに自然に盛り込み、内容の深さを出します。
活用のポイント
- 想定する読者が使う言葉を優先して選びます。
- サジェストで疑問やニーズのヒントを得ますが、個人差を考慮します。
- 関連キーワードで検索意図を把握し、見出しを作ります。
- 共起語を入れて網羅性を高めますが、不自然な詰め込みは避けます。
注意点
過度なキーワードの詰め込みは読者にも検索エンジンにも不利です。自然な文章でユーザーの疑問に答えることを第一に考えてください。
Google検索コマンド
検索コマンドとは
Googleの検索コマンドは、検索結果を絞り込む短い指示です。普段の検索語に加えるだけで、目的に合うページを素早く見つけられます。
よく使うコマンドと例
- intitle: キーワードがページタイトルにあるものだけを探します。
例: intitle:製品レビュー → タイトルに「製品レビュー」を含むページが表示されます。 - allintitle: 指定した語句すべてをタイトルに含むページのみ表示します。
例: allintitle:スマホ 価格 → タイトルに「スマホ」と「価格」の両方があるページを絞り込みます。 - intext: ページ本文(本文テキスト)に指定語句が含まれる結果だけを表示します。
例: intext:在庫あり → 本文に「在庫あり」があるページを探せます。
組み合わせと応用例
- site: と組み合わせて特定サイト内を絞る
例: site:example.com intitle:FAQ → example.com内でタイトルにFAQがあるページを探せます。 - filetype: を使ってPDFやExcelだけを探す
例: filetype:pdf intext:仕様書 → PDFの仕様書を見つけたいときに便利です。 - 引用符(” “)でフレーズを厳密に一致させる
例: “利用規約” intext:更新
検索時の注意点
- コマンドは半角で入力します。スペースの入れ方で挙動が変わることがあります。
- 結果はインデックス状況や言語設定で変わるため、思った通り出ないこともあります。
これらのコマンドを使えば、必要な情報に素早くたどり着けます。最初は試しながら覚えていくとよいでしょう。
企業・Web担当者が知っておきたいその他のWeb用語
SEO(検索エンジン最適化)
検索結果で上位に表示するための施策です。タイトルタグやメタディスクリプション、内部リンク、被リンクの質が重要です。例:商品のページは固有のタイトルと要約を設定します。
HTML/CSS
HTMLはページの骨組み、CSSは見た目を整える役割です。画像にalt属性を付けるなど、アクセシビリティと検索対策に役立ちます。
アクセス解析
Google Analyticsなどで訪問数、流入経路、滞在時間を確認します。KPI(例:コンバージョン率)を設定して改善に役立てます。
そのほか重要用語
- サイトマップ(sitemap.xml):検索エンジンにページを伝える地図です。
- robots.txt:クローラーに巡回ルールを伝えます。
- 正規化(canonical):重複ページの評価を統一します。
- 301リダイレクト:永続的な移転を伝えます。
- ページ速度:表示が速いほど離脱が減ります。画像最適化やキャッシュ利用で改善します。
- スキーマ(構造化データ):商品やレビューを検索結果で目立たせます。
- OGタグ:SNSでの見え方を制御します。
- A/Bテスト:異なるページで効果を比較します。
- CV(コンバージョン)/CVR:成果数と率。改善の指標になります。
どれも難しく感じられるかもしれませんが、まずは優先順位を付けて一つずつ改善すると負担が減ります。