はじめに
この記事の目的
ホームページのSSL化(https化)について、初心者の方でも迷わず実行できるよう、具体的な手順と注意点をやさしく解説します。専門用語はできるだけ減らし、実際の画面や設定をイメージしやすいよう説明します。
対象読者
・自分のサイトを安全にしたい個人・小規模事業者
・WordPressやレンタルサーバーでSSL化を検討中の方
・管理画面や設定が初めての方
本記事で学べること
・SSL化の必要性と効果の基本
・準備すべき項目(バックアップや証明書の取得など)
・共通の手順とサーバー・CMS別のポイント
・よくあるトラブル対策とSSL化後の追加作業
読み方のコツ
まず事前準備を確認し、手順を順番に進めてください。途中で不安になったらバックアップに戻れるよう準備しておくと安心です。
SSL化(https化)とは?なぜ必要なのか
概要
SSL化(https化)は、ホームページと利用者の間で送受信するデータを暗号化する仕組みです。通信を第三者に見られたり改ざんされたりするのを防ぎます。特にパスワードや氏名、クレジット情報を扱うサイトでは必須に近い対策です。
主な目的と具体例
- 個人情報の保護:お問い合わせフォームやログイン画面で送られる情報が盗まれにくくなります(例:カフェの公衆Wi‑Fiでの盗聴対策)。
- 信頼感の向上:ブラウザに鍵マークが表示され、訪問者が安心して利用できます。
- SEOへの好影響:検索エンジンはhttpsを推奨しており、評価に影響する場合があります。
ブラウザ表示と警告
httpsでないサイトは「保護されていない通信」と表示され、訪問者が警戒します。逆にhttps化すると警告が消え、ユーザー体験が改善します。
SSL化は技術的作業を伴いますが、サイト運営の基本的な安全対策です。次章で準備する項目を順に説明します。
SSL化(https化)に必要な事前準備
1. 事前確認
まず、利用中のレンタルサーバーやVPSがSSLに対応しているか確認します。レンタルサーバーなら管理画面(コントロールパネル)に「独自SSL」「Let’s Encrypt」などの項目があるかを見ます。VPSの場合はSSHで証明書を導入できるか確認します。
2. SSLの種類を選ぶ
無料:Let’s Encryptなど。自動更新に対応するサービスが多くコストがかかりません。
有料:企業向け機能やワイルドカード(複数サブドメイン対応)を求める場合に適します。注意点として、有料証明書はCSR(証明書署名要求)を作る必要があります。
3. バックアップを必ず取る
サイト全体(ファイル)とデータベースのバックアップを取得します。具体例:FTPでwp-contentを落とす、phpMyAdminでDBをエクスポート、またはバックアッププラグイン(例:UpdraftPlus)を使います。
4. 準備しておく情報・権限
- ドメインの管理画面のログイン情報(DNSの編集が必要になることがあります)
- サーバーの管理者権限(SSHやコントロールパネル)
- CMSやプラグインのバージョン確認(対応状況の確認)
5. 事前チェックリスト
- ドメインが正しく動作している
- バックアップが復元可能か確認済み
- 証明書の自動更新方法を決めておく(有効期限管理)
- ワイルドカードが必要かどうか判断
- ステージング環境で先にテストする
これらを整えておくと、SSL化作業をスムーズに進められます。
SSL化(https化)の基本手順【共通】
はじめに:ここでは、どの環境でも共通する基本手順をわかりやすく並べます。順に進めれば安全にhttps化できます。
1. サーバーのSSL設定(証明書の取得・インストール)
まず証明書を用意します。無料のものや有料のものがあります。サーバーパネルから申請・インストールできることが多く、CSR作成が必要な場合はパネルの画面の指示に従ってください。
2. サイトURLをhttpからhttpsへ変更
サイト内の静的なURL(画像やCSSなど)をhttpsに置換します。WordPressなら管理画面の一般設定で「WordPressアドレス」「サイトアドレス」をhttpsに変更します。多数のURLは検索置換ツールやプラグインで一括更新できます。
3. リダイレクト設定
旧URLから自動でhttpsへ転送するため、サーバーのリダイレクトを設定します。Apacheなら.htaccessに301リダイレクトのルールを追加します(例を参考にしてください)。これで検索エンジンやブックマークからのアクセスも自動的に移行します。
4. サイトの動作確認
すべてのページを開いて鍵マークが表示されるか、画像やスクリプトが混在していないか確認します。ブラウザの開発者ツールでコンソールエラーをチェックしてください。
5. 検索エンジン向けの設定
canonicalタグや内部リンクをhttpsに統一し、Googleサーチコンソールなどにhttps版を登録してサイトマップを再送信します。これで検索結果の移行がスムーズになります。
サーバー・CMSごとのSSL化のポイント
レンタルサーバー(管理画面で完了)
多くのレンタルサーバー(エックスサーバー、さくら、ロリポップ等)は管理画面からワンクリックでLet’s Encrypt証明書を設定できます。手順は各社マニュアルに沿って進め、発行後に独自ドメインのhttps化を有効にしてください。自動更新があるか確認します。
WordPress(CMS別の注意)
- 設定→一般で「WordPressアドレス」「サイトアドレス」をhttpsに変更します。
- プラグイン(Really Simple SSL等)で混在コンテンツの自動切替が楽です。テーマやプラグイン内に直書きのhttpリンクは、Search ReplaceやBetter Search Replaceで置換してください。
Nginx/Apacheでのリダイレクト
.htaccessやNginx設定で常時httpsへリダイレクトを設定します。リダイレクトループにならないよう元の設定をバックアップしてください。
共通の確認ポイント
- 画像やスクリプトがhttpから読み込まれていないか(ブラウザのコンソールで確認)
- キャッシュ・CDNの設定をクリア
- SSLの有効期限と自動更新設定
これらを順に確認すると、サーバーやCMSに応じたSSL化がスムーズに進みます。
SSL化(https化)のよくあるトラブルと注意点
混在コンテンツ(Mixed Content)
https化してもページ内にhttpの画像・スクリプト・CSSがあると、ブラウザが「完全に保護されていません」と表示します。よくある例は古いテーマや外部埋め込みで使われるhttp画像です。対処法は該当URLをすべてhttpsにするか、可能なら相対パス(例:/images/logo.png)に変更することです。開発者ツールのコンソールで該当リソースが確認できます。
リダイレクトループ
.htaccessやサーバーのリダイレクト設定ミスでループが発生します。たとえば、サーバー側でhttpsへリダイレクトし、さらにCMSが同じ処理を行うとループします。設定変更後はブラウザでページを開き、最終URLと応答コード(301/200)を確認してください。問題が出たら一時的にリダイレクトを外して原因を切り分けます。
SEOの一時的な順位変動
httpからhttpsへ移行すると、検索順位が一時的に変動することがあります。正しく301リダイレクトを設定し、サイトマップやcanonicalタグを更新すれば長期的には問題ありません。Google Search Consoleで新しいhttpsプロパティを登録し、インデックス状況を確認してください。
証明書の有効期限と自動更新
証明書が切れると一気にアクセスが減ります。Let’s Encryptなど自動更新の仕組みを使い、更新が動作するか定期的に確認してください。手動更新の場合は期限を忘れないようリマインダーを設定します。
ブラウザキャッシュ・CDNの注意
古いキャッシュやCDNの設定でhttpのまま配信されることがあります。変更後はブラウザキャッシュをクリアし、CDNのキャッシュを必ずパージしてください。リソースのURLが正しくhttpsで配信されているか確認します。
動作確認チェックリスト(簡易)
- サイトの全ページで鍵アイコン(または安全表示)が出るか
- 開発者ツールのコンソールにMixed Contentの警告がないか
- リダイレクトが1回の301でhttpsに落ち着くか
- 証明書の有効期限と自動更新設定を確認
- Search Consoleでhttpsプロパティを登録しサイトマップ送信
上記を順に確認すれば、多くの問題は避けられます。
SSL化後にやるべき追加作業
1) 外部サービスのURLをhttpsに変更
Googleアナリティクスや広告タグ、サーチコンソールなど管理画面でサイトURLをhttpsに更新します。例:サーチコンソールはhttpとhttpsで別物扱いのため、httpsのプロパティを追加してサイトマップを再送信します。
2) サイト内リンク・リダイレクトの確認
内部リンクや画像のURLがhttpのままだと「混在コンテンツ」となり表示や警告に影響します。検索と置換やCMSの設定でhttpsに統一し、http→httpsの301リダイレクトが正しく動作するか確認します。
3) SNSや外部リンク先への連絡
重要な外部リンク(SNSプロフィール、取引先ページ、広告管理画面など)にはURL変更を案内してください。取引先やパートナーには短い連絡文を用意すると手間が省けます。
4) ユーザーへの告知で信頼性を向上
サイトのフッターやお知らせで「サイトを安全にしました」と案内するとユーザーの安心感が高まります。メールやSNSでの一斉告知も効果的です。
5) 定期チェックと証明書更新の確認
証明書の有効期限を監視し、自動更新が有効か確認します。監視ツールや簡単なカレンダーリマインダーを設定しておくと安心です。
6) 簡単チェックリスト(すぐにできる項目)
- サーチコンソールにhttpsプロパティを追加
- アナリティクスのURLやタグを更新
- サイトマップを再送信
- 内部リンクと画像をhttps化
- SNSプロフィールのURLを更新
- 301リダイレクトの確認
- 証明書の自動更新を確認
これらを順に実施すると、SSL化後の運用が安定し、ユーザーからの信頼も得やすくなります。