2025年最新!AWS Lambda料金体系とコスト削減術を徹底解説

目次

はじめに

本記事は2025年最新のAWS Lambdaの料金体系と、実際に使うときに役立つコスト最適化のポイントをやさしく解説します。

この記事の目的

  • AWS Lambdaの基本的な課金要素(リクエスト数、実行時間、メモリ割当、初期化フェーズ)を理解できるようにします。
  • 2025年の料金変更点や、初期化(INIT)フェーズの課金開始について、何が変わるかを具体的に示します。
  • 実務で使えるコスト削減の方法や設計上の注意点を例を交えて紹介します。

想定読者

クラウドを使う開発者、運用担当、コスト管理を担当するエンジニアやマネージャー向けです。Lambdaをこれから導入する方や、すでに使っていて料金の変化が気になる方にも役立ちます。

読み方のコツ

章ごとに要点をまとめています。まずは全体をざっと読み、関心のある章を深掘りすると効率的です。次の章から料金の具体的な説明に入ります。

AWS Lambdaの料金体系の概要

概要

AWS Lambdaは使った分だけ支払う従量課金です。関数が動作していない間は費用が発生しません。課金は主に「リクエスト数」と「実行時間(メモリ割り当てに応じた時間)」で決まります。

料金の基本要素

  • リクエスト数:関数が呼び出された回数に応じて課金されます。多くの場合、月ごとに一定の無料枠があります(例:1百万リクエストの無料枠)。
  • 実行時間:関数の実行時間(秒)に割り当てメモリ(GB)を掛け合わせたGB-秒で課金されます。短時間で終わる処理やメモリ小さめの設定は安くなります。例えば、128MBの関数が200ms動くと、0.128GB×0.2s=0.0256GB-秒です。

ログや周辺サービスの費用

CloudWatch Logsなどに出力するログには別途課金が発生します。外部のAPI呼び出しやデータ転送も追加費用になる点に注意してください。

コストを把握するためのポイント

  • 実行時間短縮とメモリ最適化が直接コストに効く
  • 呼び出し頻度が高い場合は設計(バッチ化やキャッシュ)で削減できる
  • 無料枠を活用すると小規模な利用は実質コストゼロに近づきます

2025年最新の料金変更ポイント

概要

2025年5月1日から、LambdaがCloudWatch Logsへ出力するログの料金が従来の固定課金から段階的(ティアード)課金に変更されました。旧料金は1GBあたり固定0.5ドルでしたが、新料金は使用量に応じて単価が下がり、大量利用時には最大0.05ドル/GBまで割引されます。東京リージョンにも同様の段階的課金が適用されます。

主な変更点

  • 単価の階層化:使用量が増えるほど1GBあたりの単価が下がります。運用量の多いユーザーが恩恵を受けます。
  • リージョン適用:東京リージョンも対象です。ローカルな費用の変化を確認してください。

単純化した料金比較(例)

以下は説明のために単純化した例です。実際のしきい値はAWSの正式発表を参照してください。
– 小規模(例:10GB/月)
– 旧料金:10GB × $0.5 = $5.00
– 新料金(単価が変わらない場合):$5.00
– 中規模(例:100GB/月)
– 旧料金:100GB × $0.5 = $50.00
– 新料金(仮に単価が$0.2の場合):100GB × $0.2 = $20.00
– 大規模(例:10,000GB=約10TB/月)
– 旧料金:10,000GB × $0.5 = $5,000.00
– 新料金(最大割引 $0.05 の場合):10,000GB × $0.05 = $500.00

影響と初歩的な対策

  • 大量ログを保存するワークロードでは、コストが大幅に下がる可能性があります。
  • 小規模利用者は影響が小さい場合がありますので、ログ出力量を見直し、保存期間やフィルタを調整すると良いでしょう。

次章では、特にINITフェーズに関する課金変更(2025年8月〜)の詳細を取り上げます。

AWS LambdaのINITフェーズ課金変更(2025年8月〜)

背景

Lambda関数は最初の呼び出しで「INIT(初期化)」フェーズを実行します。モジュールのインポートやライブラリ初期化、接続確立などがここで行われます。今回の変更は、zip形式でデプロイされたオンデマンド関数のINIT時間も実行時間課金に含めるというものです。

変更点の要点

2025年8月以降、zipでデプロイしたオンデマンド関数の初回初期化時間も課金されます。これまではINITIAL化時間は課金外だったため、実行料金の算出が変わります。

影響の見積もり例

多くの本番環境ではINITは呼び出し全体の1%未満と報告されています。この場合、コスト増は限定的です。例として、平均実行時間200msの関数でINITが1msなら増加は約0.5%程度になります。一方でライブラリが重い関数や大きな初期化処理がある場合は、影響が目立つ可能性があります。

INIT時間の確認方法

  • 簡単な方法:グローバルスコープ(モジュール読み込み時)で時刻を記録し、ハンドラー開始時に差分を出すとINIT時間が分かります。カスタムログを出せばCloudWatchで集計できます。
  • 詳細な方法:X‑Rayやトレースでコールドスタート/初期化の内訳を確認します。

対策(現場で取り組みやすい順)

1) 軽量化:不要なライブラリ除去、依存を小さくする。パッケージサイズを減らすと初期化が速くなります。
2) 遅延初期化:接続や重い処理はハンドラー内で遅延実行し、必要なときだけ初期化します。
3) プロビジョンドコンカレンシー:常時ウォーム状態を維持するとコールドスタートを防げます(コストと効果を比較してください)。
4) コンテナイメージへの移行検討:zipと挙動が異なるため、ワークロード次第で有効です。

注意点

影響は関数ごとに大きく異なります。まずは代表的な関数で実測し、コストモデルを更新してください。導入後もログとメトリクスを継続的に監視することをおすすめします。

コスト削減・最適化のポイント

概要

Lambdaのコスト最適化は、小さな改善を積み重ねることで効果が出ます。サーバー管理が不要でも、設定や実装次第で無駄な費用が発生します。以下は実践しやすいポイントです。

1) メモリとタイムアウトの見直し

  • メモリは実行時間に直結します。小さくすると遅くなるケースがあるので、実測で最適値を決めます。
  • タイムアウトは余裕を持ちつつ短く設定し、長時間実行を防ぎます。
  • 例: バッチ処理はメモリを増やして高速化し、総コストを下げることがあります。

2) 呼び出し回数とバッチ処理

  • リクエストをまとめて処理できる箇所はバッチ化します。呼び出し回数を減らすだけで費用を下げられます。
  • 非同期処理やSQS/SNSを活用すると峰値を平準化できます。

3) ログ出力の最適化

  • CloudWatch Logsは便利ですが高額になることがあります。頻度の高いログはS3やKinesis Data Firehoseへ送ると安くなります。
  • ログレベルを調整し、不要なデバッグ出力を抑えます。

4) コードとパッケージの最適化

  • 関数サイズを小さくするとコールドスタートが早くなり、実行時間が短縮します。
  • 不要なライブラリを削除し、処理を軽くします。

5) 同時実行・コンカレンシー管理

  • 予約同時実行(Reserved Concurrency)で予期せぬスパイクによる費用増を防ぎます。
  • プロビジョニング(Provisioned Concurrency)はコールドスタート対策ですが、常時コストが発生するため用途を限定します。

6) モニタリングと自動化

  • 定期的に実行時間や呼び出し回数、ログ量を確認します。
  • AWS Cost Explorerやアラートで異常を早期に検知します。
  • パフォーマンステスト(例: Lambda Power Tuning)で最適なメモリ設定を見つけます。

7) 小さな運用上の工夫

  • 環境変数や設定で挙動を切り替え、開発環境で詳細ログを出すなど使い分けます。
  • 大量処理はStep FunctionsやEC2/ECSで代替する方が安い場合があります。

これらを組み合わせることで、段階的な料金体系を活かした効率的な運用が可能になります。

AWS Lambdaの導入メリットとユースケース

導入メリット

AWS Lambdaは初期投資が不要で、コードをアップロードするだけで使えます。リクエストに応じて自動でスケールし、使った分だけ課金されるためコスト管理がしやすいです。AWSの他サービス(API Gateway、S3、DynamoDB、Kinesis、IoTなど)と連携しやすく、主要なプログラミング言語(Python、Node.js、Java、Goなど)に対応しています。運用負担を減らし、機能の投入を速めたい場合に向きます。具体例としては、短時間の処理やイベント駆動の処理で威力を発揮します。

代表的なユースケース

  • Web APIバックエンド:API Gatewayと組み合わせてREST/GraphQLのエンドポイントを構築できます。小規模サービスやマイクロサービスに向きます。
  • バッチ処理・定期ジョブ:CloudWatch Events(EventBridge)でスケジュール実行し、夜間の集計やデータ変換を行えます。
  • リアルタイムデータ処理:KinesisやSQSと連携してストリームデータの集計やフィルタリングを行う用途に適します。
  • 画像・ファイル処理:S3へのアップロードをトリガーに画像のリサイズやメタ情報抽出を自動で実行できます。
  • IoTイベントハンドリング:IoTデバイスからのメッセージを受け取り、リアルタイムで処理やルーティングが可能です。

注意点(導入時のポイント)

短時間で頻繁に起動するワークロードや、低レイテンシが厳しく求められる処理はコストやコールドスタートの影響を受ける場合があります。用途に応じてプロビジョンド・コンカレンシーや実行時間の最適化を検討してください。

AWS公式・関連ドキュメント参照のすすめ

なぜ公式を定期確認するか

AWSは料金や仕様を随時更新します。特に課金の仕組みが変わると、想定外のコストが発生します。公式ドキュメントを確認することで、最新の料金体系や仕様変更を早く把握できます。

主な参照先(具体例つき)

  • AWS Lambda料金ページ:料金表や変更履歴を掲載。例:INITフェーズの課金変更はここで正式発表されます。
  • AWS Lambda開発者ガイド:動作や制限、設定の具体例を確認できます。
  • What’s New(新着情報):サービスの新機能や重要なお知らせを日付順でチェックできます。メールやRSSで購読可能です。
  • AWS Billing(Cost Explorer・CUR):実際の利用額を月別・関数別に確認できます。例:ある関数だけ急にコストが上がった原因を特定できます。

日常の確認手順(簡単な手順)

  1. 料金ページとWhat’s Newをブックマークして週1回確認する。2. Cost Explorerで月次レポートを確認する。3. 重要変更があればステージング環境で影響を検証する。

注意点

リージョンごとに料金や制限が異なる場合があります。タグ付けやコストアラートを設定して、早めに異常を検出してください。

まずは料金ページの定期確認とCost Explorerの月次チェックを習慣にすることをおすすめします。

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